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世界自動車事情として、ヨーロッパでは2020年代のガソリン車販売禁止が決定されたり、アメリカのカリフォルニア州でゼロエミッションでないトラックが段階的販売禁止になったりと、ガソリン自動車から電気自動車へ移行が急速に進んでいます。
日本においても、政府が2030年代半ばまでにガソリン車の販売を禁止するという方針を示しました。
現在、日本における電気自動車(ハイブリッドを除く、純粋な電気自動車)のシェアは1%にも満たない状況です。
はたして、今後どのようなペースで普及が進んでいくのでしょうか。
ここで、禁止されるとされるガソリン車についての定義について再確認が必要です。
ガソリンを使用する車すべての販売が禁止されるのでしょうか。
どうやら、(ハッキリと明言はされていませんが)そうではないようです。
自動車をガソリンと電気の使用割合で分類すると、ガソリン使用割合が大きい順に
・ICE:純内燃機関車両 (ガソリン・軽油のみで動く)
・HEV:ハイブリッド車両
・PHEV:プラグインハイブリッド車両
・EV:純電化車両 (電気のみで動く)
というように分類できます。
この中で、ICE(internal combustion engine)=純内燃機関車両のみを販売禁止とするということのようです。
少なくとも日本においては「EV、PHEVはガソリン車には含まれず、HEVもおそらくガソリン車に含まれない」という解釈になると思われます。
これは当然のことで、もしも日本においてEV:純電化車両だけになった場合、致命的な問題を引き起こすからです。
その一例が大雪による立往生の障害です。
記録的大雪 福井県内の北陸道 約1000台の車が立往生 福井県内の北陸自動車道でも9日から立往生が相次ぎ、午前11時現在も上下線の4か所でおよそ1000台が立往生しています。
NEXCO中日本によりますと、ドライバーに食料や水、携帯トイレの配布を行っていて、現地には午前10時前に自衛隊が到着し、救出作業にあたっています。
「約2キロ動くのに11時間かかっている。情報をプリントしてコピーしてドライバーに渡すこと励ますこと(が必要)」(立往生している人)
また、北陸道と並行する国道8号でも立往生を避けようとした車で渋滞しました。
11日朝までに予想される雪の量は、北陸で80センチ、東北で50センチで、交通障害や着雪による停電に厳重な警戒が必要です。
(2021年1月10日放送)
日本は国土の7割の地域で大雪になる可能性があります。
今冬も日本海側などで大雪による道路の障害のニュースが続いています。
国土交通省の資料によれば、日本の近年の雪の降り方の特徴は
・年降雪量は概ね横ばいであるが、昭和55年と比べ平成24年では24時間降雪量が多い日が増大
・近年、雪の少ない関東や西日本では、累積降雪量は平均の約2倍
・またこの6年で、積雪が観測史上最高を更新する地点が3割あり、ゲリラ豪雪が全国局所的に発生
ということです。
そして、道路で自動車が立ち往生する原因としては
・立ち往生車両は、大型車が約6割を占め、また冬タイヤを装着している車両のうち、チェーン未装着
(出典)雪寒対策の進め方 - 国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/001152386.pdf
・車が約9割を占めており、冬タイヤだけでは不十分。
・冬タイヤを装着していても、縦断勾配5%を超える区間では立ち往生が多く発生している
というように、現在では大型車両がスリップして動けなくなることが主な原因になっています。
しかし、今後、純電化自動車の普及が進んだ場合はどうでしょうか。
冒頭で述べたように、日本での純電化自動車の普及率は1%未満です。
純電化自動車の動力源であるバッテリーは気温が低くなると極端に性能が低下します。
また、暖房を使った場合は、バッテリーの消費はさらに大きくなります。
純電化自動車のバッテリーが上がってしまった場合は、簡単には充電することはできないでしょう。
自走できない多くの自動車が道路をふさいでしまう状況が発生した場合、その解消にはどれほどの時間と手間がかかるのか、想像に難くありません。
雪が多い日本においては、仮に純内燃機関車両の販売が禁止されたとしても、純電化車両の普及はせいぜい数パーセント程度に留まり、それほど進まないだろうと考えます。
HEV:ハイブリッド車両、PHEV:プラグインハイブリッド車両、あるいは、水素自動車などの石油を使用しない内燃機関など、大雪で立往生した際にも燃料の供給で自走できる自動車であることが必要だと考えます。
少なくとも日本の気候に合った施策を進めていくことが必要でしょう。
そして、「2030年代半ばまでにガソリン車の販売を禁止」という表現は誤解を生みやすいので、「ガソリンだけで動く車の販売を禁止」など、より誤解を生みにくい表現で示してほしいものです。