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2011年8月 8日
東海テレビで﹁怪しいお米セシウムさん﹂のテロップが流れたのは4日前。
テロップに関ったのは東海テレビ50歳代の社員だそうで、このようなテロップを作成し放送したことはもちろん許されることではないし、東海テレビを含めて放送業界全体で検証していかなければならない事件だと考えます。
さて、身近な周囲を見回してみれば、例えば最近スーパーなどに行くと昨年産の米が飛ぶように売れている現状があります。
近所のスーパーでは銘柄を選ばなければまだ買うことが出来ます。
しかし、そのうちに在庫も尽きてしまいそうな勢いです。
東京に近い地域ではまったく在庫がなくなってしまっている店も多く、また在庫があっても購入制限がかけられていたり、また、古米の卸問屋と小売店の取引価格は急騰しています。
早場米の高知県産の新米ですら売れ行きが悪いそうです。
東日本大震災直後に発生した買占めが米穀市場では再び発生しているのです。
政府は、2011年産の東日本の新米について、放射線の検査を二重に行うことを打ち出しています。
よって、市場に出回るのは暫定基準値より低い米のはずです。
それでも、消費者が古米獲得に走るのは、検査体制や基準値自体が信用できないことを含め、﹁怪しいお米﹂という疑念を払拭できないということなのでしょう。
消費者心理に、言葉には発しないけれども、その奥底に隠された﹁怪しいお米セシウムさん﹂という感情が潜んでいるのだとしたら、古米を買い占めた消費者を責めることはできるのでしょうか。
米は毎日の食生活に欠かせないものであり、日本文化は米中心に育まれてきたことを考え合わせると、なんともやるせない気持ちです。
もう一つ、やるせないニュースといえば京都五山送り火で、岩手県陸前高田市の松で作られた薪使用する計画が、薪に含まれるかも知れない放射能が拡散される懸念があるということで中止となった ということです。
陸前高田市の薪350本には、震災遺族からのメッセージが既に書き記されていて、16日に京都で五山送り火として再び燃やされるはずでした。
︵右写真は毎日新聞記事より引用︶
この計画は、大分市の美術家、藤原了児さんの発案により京都五山送り火保存会の理事長を経て、藤原さんの知人である陸前高田市の旅館経営、鈴木繁治さんが被災地での薪集め、メッセージの呼びかけを行い準備が進められていました。
ところが、計画が報道されたころから京都市や関係者の自宅に﹁放射能汚染された灰が飛ぶ﹂﹁子供に後遺症が出たらどうなるのか﹂﹁琵琶湖の水が飲めなくなる﹂などと抗議の電話やメールが寄せられるようになったということです。
保存会では薪の放射能検査を独自に行った結果、全ての薪から放射性セシウムもヨウ素も検査されませんでした。
しかし、﹁不安に思う人がいるのなら押し通すことはない﹂という判断で岩手県陸前高田市の薪が京都で燃やされる計画は無くなりました。
保存会の理事長は陸前高田市に出向いて、この経緯を説明し深謝の上、今夜︵8月8日︶精霊の﹁迎え火﹂として陸前高田市で燃やされました。
理事長の実直な心の実行により計画に携わった多くの方々の思いは晴らされたのかも知れませんが、それでも後味の悪さは残ります。
このような事例はこれから数多く出てくると思われます。
風評と実害と、そして放射性物質への尽きない疑念。
そんなことにいつまで振り回されなければならないのでしょうか。
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やるせない風評被害の現実
叢林@Netさま
「一つになろうニッポン」という言葉が少し空しく響く報道ですね、
被災地とそれ以外の地域というような見えない区分けが生じてしまっているのでしょうか。
投稿者 kameno | 2011年8月 9日 08:59