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2011年8月 4日
放射性物質に汚染された地域を浄化するために ヒマワリ や アブラナ を植えるプロジェクトが提唱されています。
ただし、ヒマワリ や アブラナ に放射性物質を吸い上げる力があるのだとするのであれば、正しい理解に基づいて行わないと却って汚染を拡大する結果を招く恐れがあるので注意が必要です。
広まるヒマワリ作戦、間違えれば汚染拡散も
東京電力福島第一原発事故による周辺土壌の汚染を解消しようと、放射性物質を吸収するとされるヒマワリの種まきが、福島県内で進められていることに対し、﹁方法を間違えると汚染拡大の恐れもある﹂と、専門家から慎重な対応を求める声が起きている。放射性物質を吸収したヒマワリは、放射性廃棄物としての処理が必要だが、処理方法が確立されていないからだ。 石川県内からも現地に種を送る動きが活発化する中、専門家らは事前の情報収集の必要性を指摘している。 ヒマワリなどキク科やアカザ科の植物は、放射性セシウムを吸収するとされる。
農林水産省は、同原発周辺の土壌から放射性物質を吸収するのにヒマワリなどがどの程度効果があるか、5月から福島県飯舘村で実験を行っており、8月に刈り取って吸収量などを分析する。
ヒマワリに吸収効果があるという結果が出た場合は、原発周辺で植え付けを検討しており、﹁燃やしても放射性物質が外に出ないような焼却施設を開発する﹂として、専用処分場の建設も視野に入れる。
だが、現時点で処分場所も種まきに際してのマニュアルもなく、同省は﹁︵緊急時避難準備区域の︶30キロ圏内などでは、実験結果が出るまで行わない方が良いのでは﹂としている。
新潟大の野中昌法教授︵土壌環境学︶によると、吸収した放射性物質はヒマワリに蓄積され、いずれ処分しなければならない。 ただ、焼却すれば放射性物質が飛散する恐れがあり、種まきの際に土を耕すと地表の放射性物質が土壌深くに混ざってしまう。汚染を拡散させる危険性があり、﹁種まきは将来的な処理方法を考えた上で、正しい知識を持って行う必要がある﹂と指摘する。
︵讀賣新聞 2011年7月17日 )
寒地土木研究所月報№646 2007年3月号解説﹁ファイトレメディエーション︵植物を用いた地盤の浄化法︶について﹂の修正について
平成23年︵2011年︶福島第一・第二原子力発電所事故に関連して、ファイトレメディエーション︵地盤浄化︶に関する当所の資料﹁解説 ファイトレメディエーション︵植物を用いた地盤の浄化法︶について︵寒地土木研究所月報第646号︶﹂を引用される方が増えております。このことに関して、資料の内容について訂正を行いましたのでお知らせします。
訂正の趣旨
本解説は、重金属による土壌汚染対策手法のひとつとして植物の重金属吸収能力を利用した浄化方法について紹介したものです。
ファイトレメディエーションに関して、一部正確性が欠如した表現が含まれておりましたので、下記の通り修正を致しました。
訂正内容
﹁上記の5種類以外にも放射性物質を吸収する能力も研究されている例があり、それによるとヒマワリの根を用いた水耕栽培試験によりセシウム、ストロンチウムを蓄積することが判明した内容である。﹂
紹介した事例は、放射性物質を水溶液から吸収して植物体内に蓄積されるものであり、放射性物質を消滅させるものではありません。空気中や根の届かない範囲の放射性物質に対する効果は期待できませんし、全ての放射性物質に効果があるかどうかも不明です。また、土壌の浄化には、植物の除去・運搬などの処理を行う必要があります。植物を植えたから問題が解決するというものではなく、その処理まで含めた対応が必要であることに御留意いただきますようお願いします。
本解説を引用された方々にお詫び致します。
︵独立行政法人土木研究所 寒地土木研究所︶
さらに、宇宙農業研究の放射能汚染除去への貢献として、ひまわり作戦を提唱している JAXA宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所宇宙科学研究所宇宙農業のサイトには
●被曝線量管理の手段を持てない状態にあるなら、播種などの作業を勧めることはできない
●収穫植物体について安全に処理する手順や施設の建設が国や自治体により準備されないかぎり、福島におけるヒマワリの播種は勧めることはできない
●すでに播種した人にお知らせします。ヒマワリにかかわらず植物の放射性セシウムの取り込み能力がすばらしく優れていると、土壌中の放射性セシウムが植物体内に移ります。放射能の量は土壌の中にある時とおなじかわりませんが、放射線が植物の体からでるようにかわるので、計測してその効果がわかるまでは、あまり近づかず、植物体の高さが高くなる場合や 長い間接する場合には、安全面から目安として最低1.5 mほど離れてください。植物の取り込み能力やそのリスクは実験で判明します。ご質問のある方は、himawariproject@auone.jp に連絡してください。
との記述があります。
少なくとも、国や研究機関によるきちんとした放射性物質除去に関する実証実験が行われないうちは、被曝線量管理の手段を持っていない素人が 除染を目的としたヒマワリの播種を行うこと は控えたほうがよさそうです。
効果があるのであれば、刈り取ったヒマワリ自体に放射性物質が集まっているということですし、効果が無いのであれば、ヒマワリを植えること自体意味が無いことになります。
むしろ、福島県のホームページに記載されている
生活空間における放射線量低減対策について
手引き(PDF:1,804KB)
モデル事業結果(PDF:372KB)
パンフレット(PDF:2,927KB)
子供向け放射線対策パンフレットについて
未就学児童用(PDF:1,456KB)
小学生用(PDF:1,519KB)
中学生用(PDF:1,098KB)
保護者用(PDF:1,225KB)
を地域全体で協力して進めていったほうが、即効性がありますし、一度除染を行えば継続的に放射線の影響は抑えられます。
上記の福島県による生活空間における放射線量低減対策について、特にパンフレット(PDF:2,927KB)はよく纏められています。
生活空間の中で、どのような場所に放射性物質が集まりやすいかを理解し、それを効率的に取り除いていくことが除染のポイントとなります。
除染を実行するに当って、いちばん厄介な場所は水田だと考えます。
田植えが行われた水田は、水が張られています。土の表面に薄く堆積した放射性セシウムが拡散され、また、周辺環境から水によって集められた放射性セシウムが流れ込んでしまいます。
農林水産省は今日(7月3日︶、近く収穫期を迎えるコメについて、収穫の前後2段階で放射性セシウムを調査する方針を発表しました。
収穫後の本調査で暫定規制値︵500ベクレル/kg)を超えた地域のコメはすべて出荷停止として廃棄処分を義務づけ、他の食品より綿密な二重チェック体制を取ることになりました。
今年はかなりの地域のコメが廃棄処分となってしまう可能性があります。残念なことですが、食の安全を確保するためには必要な措置であると考えます。
以下は実用化に向けて研究が進められている話題ですが、復興構想会議に参加されている玄侑宗久師が提唱して有名になった細菌、ロドコッカス・エリスロポリスにも期待を込めたいところです。
緊急提言 玄侑宗久
日刊工業新聞︵4/6︶の報道によると、セシウム137 を約10分の1まで減少させるロドコッカス・エリスロポリスという細菌があるらしい。国立環境研究所の富岡典子主任研究員らがすでに10年前から研究し、その効果も実証確認しているというのである。海では使えないらしいが、校庭や農地の除染に役立つのかどうか、文科省や農産省には早速にも調査していただきたい。
︵第6回 復興構想会議提言より引用︶
ロドコッカス・エリスロポリスが除染に大きな役割を果たすことが実証できれば大きな成果となります。
放射性物質を消滅できないという前提を覆すことができるからです。
以下、日刊工業新聞の記事を引用します。
国立環境研、細菌使い放射能を10分の1に-水浄化で注目
国立環境研究所の研究グループが過去に行った放射性物質を取り込む細菌の研究で、水中の放射性物質が放射線を出す能力︵放射能︶を10分の1まで下げる細菌を発見していた。福島第一原子力発電所の事故で放射性物質の環境汚染が懸念される中、浄化手段としてあらためて注目される。ただ﹁簡単に増えるため大量培養は難しくないが、海水の中で利用できないことや温度や酸性度の条件で制約がある﹂︵冨岡典子主任研究員︶など実用化には課題があるようだ。
冨岡主任研究員らの研究グループはチェルノブイリ原発事故をきっかけに1988年から約10年間、細菌が放射性物質を取り込む現象を研究した。当時高精度な放射性物質の監視︵モニタリング︶装置がなかったため、細菌によるモニタリングの可能性を探るのが当初の研究目的だった。
︵日刊工業新聞 2011年04月06日︶
一日も早く美しい大地が戻りますよう願っています。
■追記
2011年8月4日放送された東海テレビの番組の中で、東北地方の米の当選者の名前として﹁汚染されたお米 セシウムさん﹂という文字が画面に出てしまい、局が謝罪文を掲載した。
この日朝に放送された情報番組﹁ぴーかんテレビ﹂で、視聴者プレゼント﹁岩手県産ひとめぼれ 10kg﹂の当選者が発表された。
■﹁視聴者の皆様に不快な思いを与えたことに対し、深くお詫び申し上げます﹂
その当選者の名前が﹁怪しいお米セシウムさん﹂﹁汚染されたお米セシウムさん﹂。東北の農家が放射能の風評被害に苦しむ中、それを揶揄するという、とんでもなく不謹慎な内容だ。
その後、番組内で、福島智之アナが﹁今、幸せ通販の映像の中で、違う映像が出てしまいました。考えられないような不謹慎な内容でした。本当にすみませんでした﹂と謝罪。局のHPにも
﹁番組途中、﹃夏休みプレゼント主義る祭り﹄の当選者をお知らせする内容に不適切な記述が誤って送出されました。大変常識を欠いた不謹慎な内容が画面に出てしまい、視聴者の皆様に不快な思いを与えたことに対し、深くお詫び申し上げます﹂
という謝罪文が掲載された。﹁誤って﹂とは書いてあるが、具体的な経緯については書かれていない。ネットでは、リハーサルで使うためのダミー用の映像が間違えて流れてしまったのではないかという指摘も出ている。このシーンの動画がすぐYouTubeにアップされ、﹁背筋が凍った﹂﹁放送事故とかいうレベルじゃないですよね?完全に悪意もあるし、被災地をバカにしてますよね?﹂といった非難のコメントが殺到している。
︵J-CASTニュース 2011年8月4日︶
これは絶対に許せない﹁事件﹂です。とてつもない悪意を感じます。
こころ折れそうになりますが、ここが踏ん張りどころ!
真価が問われる時だと自らに言い聞かせております。
投稿者 叢林@Net | 2011年8月 4日 01:06
叢林@Netさま
多くの研究者が放射線量低減のための研究を進めています。
その成果に期待したいものです。
投稿者 kameno | 2011年8月 4日 01:16