ドイツでの写真展報告

昨年10月後半、宮城県に滞在しておりました。
この時の主たる目的は、管内寺院から宗務所へ届けていただいた梅花法具を宮城県にお届けするというものでしたが、その合間の時間はドイツ人カメラマンMichael Santifaller氏と過ごしていました。

彼が来日された理由は、ドイツにおいて正しく報道されていない(と感じる)震災後の日本の様子を、自分の眼で確かめたいこと、そしてカメラマンとして出来ることをしたいということでした。
その思いに少しでも応えたいと考えたからです。

Michael Santifallerはドイツへ帰国後、Galerie Patrizia Zewe で写真展を開催されました。
その様子がこちらに報道されています。
Ausstellungstipp: Michael Santifaller in der Galerie Patrizia Zewe

20120223-0220120223-01

写真展には三味線奏者「音悦」の演奏会もあり、多くの来場者が訪れたとのことです。
写真展で披露された挨拶文がメールで届きました。

 


挨拶 Ansprache
ギャラリー Patrizia Zeweへようこそいらっしゃいました。今日ここに脚を運んで下さいましたことを大変嬉しく思います。どうもありがとうございました。2005年9月26日に初めて日本に行きました。あの時まで私は日本と何の関係もなくて、漫画やアニメにも全然興味がありませんでした。お寿司を食べたり茶道などに参加したことは一度もありませんでした。
日本に初めて着いた時の感じを良く描写(びょうしゃ)することは出来ませんが、久しぶりに帰ったような感じがしました。その前も色々な国に旅行に行きましたけれども今回の感じは何となく違いました。空港から都心に行く途中、最初は外国っぽいものはまったく見られませんでした。ところが突然(とつぜん)私が載っていたバスが左側に走っていて道沿いにある立て札(たてふだ)に書いてある文字が全然読めないと気がつきました。
それでドイツに帰ったら日本語の勉強をし始めようと思いました。最近はもう哲先生と田中先生のおかげでちょっと日本語が話せるようになりましたが、まだ分かりにくい所が多いです。それでさらに、いつも日本人誰でもと会った時、その機会を捕(とら)えて日本語で話したり文法の質問したりしました。
ここにいる私の事を知っている日本人の皆さんはその話がよく分かると思います。いつも会った時日本語の質問をしてばかりで、イライラさせてごめんなさい。でも本当にお世話になりました。今年もよろしくお願いします。
これまでの7年間私は結果7回日本を訪れることになって、信じられないです。日本の色々な所を見て回って沢山の人々と知り合いになれてとても良かったです。その7年間の良い瞬間(しゅんかん)を撮る事が出来た写真のいくつかを、ありがとうの感謝を込めて展示したいです。日本の滞在を可能(かのう)にする為に手伝って下さったり日本語や色々な事を教えて下さった皆様に、また、知っていても知らずとも私の写真に写っているすべての人々に、心の底(そこ)から感謝の意(い)を表(あらわ)したいです。。。
日本に行くたびに日本がだんだん故郷(ふるさと)になります。またドイツに帰らないといけないとき飛行機に乗ると、とてもとても長い橋を渡るような感じがします。その橋で一歩踏(ふ)み出したら、一歩一歩そのほとんどで、懐(なつ)かしく見返(みかえ)します。いつかそこに留まると思っています。
去年の3月11日に私は夜行列車で西ウクライナから朝7時19分にキエフに着きました。私がキエフに着いた時間に7時間足すと、だいたい日本で地震が起きた時間と 同じ時間になります。
着く少しまえに目をこすって水を一口飲みました。それから持ってきた水のボトルを私が座っているベッドにおいてリュックサックをまとめ始めました。急に私のズボンがまったくぬれてしまったのに気がつきました。飲んだ後でボトルを閉めるのを忘れてしまったようでした。
津波が起きたところの状況を自分の目で見るために十月に被災地の方に行きました。曹洞宗(そうとうしゅう)の亀野さんというお坊さんが車で石巻市までありがたいことに連れて行って案内してくれました。そこで亀野さんの知り合いのお坊さんのお寺をたずねることができました。津波が起こった後そのお寺は一時は400人もの人々のために半年間避難所(ひなんじょ)になりました。私たちの訪問について亀野さんは何行か(なんぎょうか)明記(めいき)してあります。亀野さんが書いた文書はここのギャラリーにおいてありますから良ければ一度読んでみてください。
展示される写真は買い求めいただけます。売上げは、津波被災者(つなみひさいしゃ)および遺族(いぞく)の方へ寄付(きふ)させていただきたいと思います。今日展示会にいらっして下さってほんとうにありがとうございました。これから音悦による三線の演奏お楽しみください。
(原文はドイツ語/日本語併記・原文ママ)

写真展で、彼の写真が500ユーロ分売れたそうで、次に来日される際には、昨年訪れた場所へ直接寄附されるそうです。

なお、宮城県滞在中にはO老師とN老師には一方ならぬお世話になりました。
このような活動は、ほんの一握りの小さな活動に過ぎないと思いますが、改めて御礼申し上げご紹介させていただきます。


追記
現在、貞昌院の客殿前廊下で(冒頭の写真展とは関係ないですが)、演劇開催に併せて写真展示を行っています。

20120223-11

うち、モノクロの写真がMichael Santifaller氏の写真です。

20120223-12


■関連ブログ記事
木の屋石巻水産「感謝の缶詰」
地盤沈下の現状
避難所としての寺院の役割
残したいもの、残したくないもの

投稿者: kameno 日時: 2012年2月23日 23:03

コメントを送る