演劇舞台撤収作業

私たちの世界は、放ったらかしにしておくと、整然とした状態から乱雑の状態へと進んでいきます。
例えば、水に青インクを一滴垂らすと、青い色が全体に拡散して広がります。
いくら待っていても、一箇所に青いインクが集まる状態には戻りません。

部屋もそうですね。
初めはきちんと整理されている状態でも、だんだんと散らかっていきます。
時々掃除をしたり整理整頓をしないかぎりは勝手に部屋が整理されていくということは絶対にありません。

そのような現象を表す法則に、「エントロピー増大の法則」というものがあります。
この法則は物理学の基本法則である「熱力学第2法則」の別名であり、本来は熱力学の法則です。

 


エントロピー (英: entropy) は、熱力学および統計力学において定義される示量性状態量である。当初は熱力学において、断熱変化の不可逆性を表す指標として導入され、後に統計力学により、系の微視的な「乱雑さ」を表す物理量という意味付けがなされた。 更に、系から得られる情報に関係があることが指摘され、情報理論にも応用されるようになった。 物理学者の E.T. Jaynesのようにむしろ物理学におけるエントロピーを情報理論の一応用とみなすべきだと主張する者もいる。
(ウィキペディア「エントロピー」項)

元々は熱力学の用語でしたが、「乱雑さ」という意味づけがなされて用いられることも多くあります。
整然とした状態を「エントロピーが小さい」
乱雑になった状態を「エントロピーが大きい」

というように表現されます。

 

整然とした状態は、自然のままでは乱雑になっていきますので、それを整然とした状態に戻すためには外部からのエネルギーが必要になります。
エントロピー増大の法則に逆らうのは大変なことなのです。

 

ここからが本題です。
お寺の本堂は、法事を行う場所となり、結婚式場となり、落語の寄席になり、演奏会会場になり、坐禅堂になり、演劇の舞台になります。
それぞれの準備のために、必要な資材を運び込んで組立て、場を作り、終わったらそれらをバラシて撤収する。
そこには「エントロピー増大の法則」に立ち向かうドラマチックな光景が繰り広げられます。

先日の本堂での演劇終了(午後7時半)から撤収の目処がつくまで(午後9時半)まで2時間の様子を早送りで記録しました。
舞台監督を陣頭指揮に、整然かつ丁寧に手際よく行われた見事な撤収作業をご覧ください。

※2時間を1分に縮めています


■関連ブログ記事

千秋楽

投稿者: kameno 日時: 2012年2月22日 23:50

コメントを送る