電気料金32年ぶり値上げ申請

5月11日、東京電力は家庭・個人商店等の小口契約の電気料金を約10%値上げする申請を経済産業省に出しました。
電気料金の値上げは32年ぶりです。
日本の電気料金は高いというイメージがありますが、それでも日本の経済成長を支えてきた電力を、そして精密産業を支えてきた世界一安定した電力を、私たちは享受してきたという事実をまず認識しておく必要があるでしょう。
32年間値上げが無かったという理由はなぜだったのか、ということも併せて考えておく必要があります。


さて、本題に入ります。
今回の値上げ申請の内容は、使用量の少ない契約者では値上げ額が小なく、使用電力量が大きいほど値上げの幅が大きくなっています。

実際に、個別にどれほどの負担増になるかについては 電気料金シミュレーション で確認できます。

電力料金値上げの根拠が東京電力のサイトに

徹底した経営合理化に取り組んでいます
一方で、火力発電の燃料費等が大きく増加しています
そのため、やむを得ず料金値上げをお願いしています

というように纏められておりますので、まずは一読されることをお薦めします。


東日本大震災前に日本の電力全体の約3割を賄っていた原子力発電所は、順次点検のため停止し、再稼動しないまま今月全ての発電所が停止しました。
このまま全国の全原子力発電所を停止したまま全て廃炉することも選択肢の一つでしょう。
しかし、それを実現するためには、私たちは相当の覚悟が必要です。
原子力発電所反対論者も含めて、世間一般的にその覚悟がされているとはとても思えないのです。
 
振り返って、一年前の今頃は、私たちは計画停電を強いられ、自主的にもかなりの電気使用削減に努めていました。
街の明かりは可能な限り落とされ、店舗、駅構内の照明は薄暗く、エレベーター、エスカレーターも最低限の稼動、電車の間引き運転・・・・
その中で、なんとか夏を乗り切ることができました。
昨年は夏は一昨年のような猛暑で無かったことも幸いしました。

 

しかし、現在、一年前のちょうど今頃に比べて如何でしょうか。
照明はかなり明るく灯されています。エレベーター、エスカレーターの稼動も制限がかなり解除されました。
電車も通常通り運行しています。
工場も、観光地も震災直後から相当復旧復興し、電力需要は総じて伸びています。

 

さらに、今年、あるいは来年、再来年のうちには必ず猛暑がやって来るはずです。


両者を考え合わせるにつけて、今後の電力需給バランスは、状況次第で電力不足に陥る可能性が高く、安定した電力供給が望めないことは明白です。
今のところは老朽化して寿命を迎えた火力発電所を含めてフル稼働して凌いでいますが、余裕・ゆとりの無い発電所稼動は、万が一の場合重大な事故を引き起こしかねません
さらに悪いことに、中東の政情不安も重なって、原油、LNGの料金は高騰しています。

つまり、急に原子力発電に頼らない方向に舵を切り替えるためには
・これまで以上の節電
・電気料金値上げの容認
・経済的に後退した状況への覚悟

等々が必要不可欠であるにもかかわらず、それがなされているようには到底感じられないのです。

ここまでの結論は、節電に頼った電力需給対策は、一時的には凌げるかもしれないけれども、持続性に欠ける施策である ということです。

 

さらに、電気料金の値上げによって私たちが負担する電気料金の増分のほとんどは、重油やLNGなど火力発電所の燃料輸入として、日本国外に流出してしまうという事実も重く認識しておく必要があります。
原子力発電所代替の火力発電所焚き増しによる燃料費の増加は一昨年に比べて2~3兆円の増加と試算され、その分、日本の貿易収支の支出増に燃料費が重く圧し掛かっていることがわかります。
その年間何兆円ものお金を被災地復興のため、或いは放射能汚染地域除染のために使ったほうが、どれだけ有用なのでしょうか。

 

これら全てが日本経済復興の大きな足かせになっていることを考え合わせて、現実的な着地点として、事故を起こした原子力発電所の原因を踏まえ、この経験を生かし、適切なストレステストを経た上で安全性が確認された電子力発電所の再稼動を行うこと が必要であると考えます。

 

これまで少なからず原子力発電施策を容認してきた私たちの暮らしを、いきなり原子力発電に頼らない社会構造に移行することは無理です。

しかし、原子力発電に頼る社会構造からの緩やかな脱却は可能でしょう。
今後、原子力発電所の新設を行わないこととすれば、数十年のうちに自ずと原子力発電所の割合は減少していきます。
寿命を全うした発電所設備は廃炉になるからです。
その間に、原子力発電に頼らない社会構造に移行していけば良いのです。
廃炉を行うにしても、向こう数十年、あるいは数百年単位のプロセスが必要であることも勘案する必要があります。
廃炉に向けた安全なステップで、日本は世界をリードする技術を培うことができればさらに良いでしょう。

 

やみくもに「値上げ反対」「原子力発電所再稼動反対」を唱えるだけでではなく、その場合にどのような対案があるのかを提示して、真剣に考えていくことが大切です。


 

東京電力は、夜間の電気料金が安くなる新料金プランを6月から導入することを併せて発表しました。
この料金体系は「電気ジョーズ」として、これまでもあったのですが、それはオール電化の設備を設置した場合に限られていました。
しかし、その選択肢が全ての家庭、事業所に広がったことにより、太陽光発電を含めた新エネルギー普及の原動力となりそうです。
また、特に太陽光発電を設置している家庭・事業所にとっては、直接的な料金のメリットを受けることができそうです。


新たなピーク抑制型料金(選択約款)の設定
ピーク時間(夏季の13時~16時)に割高な料金を設定し、ピーク時の節電インセンティブとさせていただくとともに、夜間時間の料金を安く設定し、電気のご使用をピーク時間から昼間時間・夜間時間に、または昼間時間から夜間時間に移行していただくことにより、電気料金の低減が可能となる新たな料金メニューとして、ピーク抑制型季節別時間帯別電灯(以下「ピークシフトプラン」)を設定することといたしました。

ピーク抑制型料金


ピークシフトプランにおいて料金が高くなる時間帯は、晴天時の太陽光発電の発電ピーク時と重なります。
(この発電ピークは、日本の電力使用のピーク時間帯とも重なります)
貞昌院でも、このプランでの契約変更を具体的に検討してみたいと考えています。

地球温暖化対策としての太陽光発電設備が、原子力発電に頼る社会からの脱却に貢献できるということも大きな意味を持ちます。

 


■関連ブログ記事
ソーラー作戦、地球温暖化対策として大展開 (2005年の記事)
全国の寺院に太陽光発電があると(2007年の記事)
エネルギー源分散のメリット(2011年の記事)
屋根貸し制度と曹洞宗メガソーラー(2012年の記事)

投稿者: kameno 日時: May 12, 2012 10:36 PM

コメント: 電気料金32年ぶり値上げ申請

拝読致しました。大変説得力のある重厚なご意見だと思います。
私も今の日本国民に反原発がもたらす種々の影響への覚悟が備わっているとは到底思えません。
ですが、想像力の欠如した大半の有権者に、それを覚悟させるのは極めて困難……というより殆ど不可能に近いと考えます。
現実的な対案代案もなく、感情的に反原発を謳っておられる方々が有権者にも、マスメディアにも、あろうことか各府県の首長の方々にも大勢います。
身をもって経験すれば……少しは変わるのかもしれませんが……。

投稿者 Sa・Ga | May 13, 2012 1:18 PM

2chからつられて来ました。

>どのような対案があるのかを提示して
 この考え方が実は大問題です。対案(ある程度はなんとかなること案)があることが前提になっています。この前提が間違っていて実はもっともっと日本の状況は厳しいかもしれないのです。*1(要するに最善手を尽くしてもマトモといえる対策はとれない状況かもしれないということ。)
 実はかなり酷い道であってもそれを通るのが選べる中ではマシという場合がありえるのです。

 もともと日本は国家のエネルギー政策として原発を推進することを決めていました。それが今回の話でひっくり返ってしまいどう進むにしろ険しい道なのです。それを(どちらかをとって)こっちに進むと険しいからNGだという議論の進め方は多分間違っていて、両者のデメリット同士を比較してまだまともなほうで答えを出すしかないのです。

再稼動の可否に関しては、再稼動した場合に得られるメリットと再稼動しなかった場合のメリット((1-事故発生確率)×事故被害額)の比較になります。

 それをどのように見極めて再稼動すべきと判断したのでしょうか?(事故発生確率はどの程度以下ならよくて、今再稼動させた場合の事故発生確率はどの程度と考えられたのでしょうか?)

 また(ゆるやかな)脱原発によるデメリットと、即全原発停止によるデメリットの切り分けがきちんとされていますでしょうか?

 日本はすでに(速度はどうあれ)脱原発は決めていて、そのためどうしても火石燃料に頼らざるを得ません。このため燃料費が上がるのは当然ですし大飯を多少動かそうが電気代などの議論にはあまり変わりないのです。
(もちろん震災前の水準まで原発を使うというなら別ですが、そんな解はすでにないでしょう。)
 大飯の話は今年の夏の停電のリスクを下げるか下げないかがメインの話なのです。

 まずは原発は全て止める。福島の検証が終わり、その検証を踏まえて対策を打ち終えた上で再稼動をする。多分これが一番筋道が通っていると思っています。(残念ながら現在は対策途中ですし、検証不十分です。*2*3)

 これがなぜできないのか?

*1 ある意味この点は安全神話に通じています。安全性を考えていくとコストがベラボーに上がりすぎる。でもそんなにコストがかかると原発はなりたたない。ならば危険性は0といってしまうしかない。などの議論の仕方です。

*2もちろん2年程度日本経済は大打撃を受けますが、事故の発生確率から見てこちらのほうが私はメリットが大きいと感じています。

*3福島の検証としてしなければならない重要な点は次の2点と私は考えていて、①地震による被害では今の状況までいかなかったのか?(これに関してはある程度できてきてはいると思います。)
 ②津波の予測はなぜ間違ったのか?(これに関してきちんとしたものを私は見ていません。)

投稿者 ハグ | May 13, 2012 11:25 PM

Sa・Gaさん
コメント有難うございます。
即全原発停止、これを継続して全ての原発を廃炉にするということも当然選択肢の一つと考えます。
しかし、その選択肢を選んだ場合、並大抵ではない覚悟を必要とするということが周知されていないと感じます。
なんとかなるんじゃないの・・・・・という考え、それは日本人の良さでもありますが、重大な事象を引き起こしてから初めて気付く、ということにもなりかねません。
客観的で冷静な論議がなされることを望みたいものです。

投稿者 kameno | May 14, 2012 12:16 AM

ハグさま
コメント有難うございます。
このように冷静に論議できることを嬉しく思います。
まず、私も、即全原発停止、これを継続して全ての原発を廃炉にするということも当然選択肢の一つと考えています。
ただし、東日本大震災の復興を含め日本経済が相当打撃を受けること、昨年以上の節電を行うことの覚悟を国民全体で共有するということが大前提です。
それと、既に2~3兆円規模での燃料輸入費増(この数値は正確な貿易統計が出ています)の負担。これもやむをえないでしょう。2兆円とすると、国民一人あたり年間約2万円ですね。

さて、戴いたコメントのアスタリスクの部分を中心に私の考えを書いてみます。
*1 これは当然のことでしょうね。事故のリスクをコストに入れて原子力発電単価を算出していない、これは根本的な問題です。事故発生率と事故時の損害の大きさは、今回の事故に鑑み今後盛り込んでいくべきでしょう。
このあたりは以前書いたことがあります http://teishoin.net/blog/004169.html
*2 これは慎重に検討していく必要がありそうですね。私は節電に頼った電力需給対策は、一時的には凌げるかもしれないけれども、持続性に欠ける施策であると考えています。
*3 今回の福島第一原子力発電所事故の原因は、私は(1)電源喪失と(2)緊急時の対応ミス(人為的エラー)この2点であると考えています。
東日本大震災の地震および津波で倒壊した高圧鉄塔は、東北電力管内では福島第一原発に繋がる1塔のみでした。もしも2系統のバックアップ電線が整備されていれば、少なくとも水素爆発は回避できていたでしょう。
なぜバックアップ電源、あるいは電線をきちんと整備していなかったのか、その点はまさに事故発生リスクとコストを見誤ったことによるものです。
事故時に、安全に停止し(ここまでは出来ました)、安全に冷却する(これができなかった)ことの原因を明確にしていくことは当然必要と考えます。

投稿者 kameno | May 14, 2012 12:50 AM

どの様なことになろうと、原発は止めるべきです。
電気料金値上げ結構。不便な生活も覚悟の上です。
福島の半永久的に失われる土地があることを思えば
そんなことは我慢できます。
それが故郷を失い苦しんでいる同胞達のためならば
どんな苦労でもしましょう。
私は66年から東京電力管内に暮らし、電気のある豊か
な暮らしを謳歌してきた世代です。原発立地の人達の
苦しみを尻目に、どの様に電気が作られたかも意識せずに
のんきに湯水のごとく電気を使ってきた世代です。
私達のそういった日々の無関心さが、今回の事故の原因である
電力会社の傲慢な経営感覚の温床を作ったことを思うと、
猛省しても足りないくらいです。
電気の無い不便な生活結構。構わず停電してください!

投稿者 Anonymous | May 14, 2012 4:09 AM

匿名様
コメント有難うございます。
「電気料金値上げ結構」「不便な生活も覚悟」ということが国民の総意であり、そこまでの覚悟が出来るのであれば「どの様なことになろうと、原発は止めるべき」という選択肢もありなのでしょうね。
ただし、残念なことは、必ずしも「電気料金値上げ結構」「不便な生活も覚悟」という意見が多数でないことです。

例えば
・私たちは昨年に比べて3割の電力消費を必ず削減します。
・火力発電の燃料費増分、一人当たり年間2万円を進んで負担していきます。
・太陽光発電や新エネルギー発電設備の設置を積極的に進めます。
ですから、どんなことがあっても原子力発電所は止めるべきです・・・というように、より具体的かつ説得力を持たせる形で訴えかけてみては如何でしょか。


匿名様はそんなことはないでしょうけれど、全般的に事象に対する無関心さは、現在も継続している感じがしてなりません。
「なんとかなるだろう」という甘い曖昧な感覚を引き起こしす源にもなります。

投稿者 kameno | May 14, 2012 7:44 AM

>ただし、東日本大震災の復興を含め日本経済が相当打撃を受けること、昨年以上の節電を行うことの覚悟を国民全体で共有するということが大前提です。それと、既に2~3兆円規模、、、、

 ナンセンス。反論になっていない。それをいうならば、「原発を再開するには次に同等の原発事故が起きたときに今の福島以上(これは単純に地理的要因。)の被害を受けることの覚悟を国民全体で共有することが大前提です。」などともいえてしまう。(こんなこといわれてだから再稼動できないという意見に賛成できますか?)そんな国民が覚悟する必要があるなどとのことは前提にならない。必要のない感情論を議論に持ち込むのはまったくのナンセンス。
 また、どちらにしろ大飯などを再開したにしろ、今年は2兆程度の輸入費増は既に発生する。(上にも書いたように、原発の発電量がかなり減る問題と0にする問題はわけなければならない。すくなくとも原発の発電量をかなり減らすのは規定路線。)

 国民の覚悟など無関係にどちらの道(原発を再稼動すべきか、そうでないいか?)が優れているかで判断すべき問題。

 なぜ「原発を再稼動したほうが優れていると判断しているのか?どのようにメリットデメリットを比較したのか?」それが出てこないから説得力がない。

 原発再稼動に反対している人間は何も考えていないから再稼動したほうがいいという反対派批判は、別に再稼動の根拠を強めることにはまったくならない。

*もちろん私自身は経済に打撃を受けるのは覚悟している。ただしそれと国民が覚悟しなければ原発を0にしていけないのとはまったく関係がない。
 また、すでに福島事故が起きた以上かなりの経済的な打撃は受けているんですよ。それからの大小で語るべきで、福島事故以前との経済的な打撃の比較で語るのは再稼動の是非に関しては間違い。
 政治家ならば国民感情で語るのもOK。しかしそんなことを議論にいれたらどちらが好きか嫌いかなど、また、宗教論になってしまいます。

投稿者 ハグ | May 15, 2012 7:18 PM

>(1)電源喪失と(2)緊急時の対応ミス(人為的エラー)

電源喪失に関しては当たり前。原因として(1)と(2)をどのように考えているのかが問題。(1)と(2)の両方が重なったので今回の事故になったと想定しているとの話で下は書いています。(そうでない想定であれば訂正ください。)

 私は人為的なミスは無かった(もちろん結果論としての最善を果たせたかどうかに関しては違うでしょう。ただし、今回の事故に対しての大きな影響を与えるミスはなかったとの)見解ですし、今まで出てきている報告書も基本事故後の対応に大きなミスを認めているものは見受けられません。

 人為的なミスというのが具体的に何をさしているのでしょうか?

 実はここが一番問題で、今回の事故は運営ミスではなく設計ミスで発生しているのです。ここでいう設計ミスは本来の仕様を満足していないという意味ではなく、設定していた仕様が本来環境から要求される仕様を下回っていたという意味です。それに対して、チェルノブイリ、スリーマイルは明らかに運営ミスです。

 そのためチェルノブイリ、スリーマイルはここ(人為的な操作)が事故の原因でした、なので、このような操作をできない(しない)ようにすれば事故は再発しません。という論旨が成り立ちました。

 それに対して福島の事故は設計ミスのため、そのような論旨が成り立たず再設計(これは装置全体をつくり直してもいいのですが、安全指針を再度設定してそれにそって設計しなおした場合に今のものが基準内にはいっているか判断するという再設計でもOKです。)をしなければ安全といえない状態になっています。
 しかし現在福島事故を踏まえた安全指針はいまだに再設定どころか議論すらできていない状況です。(そのため安全指針を再度きめずにストレステストといういままでに無い概念を持ってきているのです。斑目さんが1次のストレステストだけでは安全の判断ができないといっていのもこの点です。)

今回の問題を事故後の人為的ミスと間違って(失礼。これはあくまで私の見解です)捉えているのであれば、再稼動をしても問題ないという判断がでてくるのもわからなくはありません。その人為的ミスをとりのぞけば福島事故には至らないのですから。
(しかしその前提の人為的ミスというのは間違っていると考えています。)

投稿者 ハグ | May 15, 2012 7:47 PM

ハグさんはこのまま原発0のまま全て廃炉に向かうべきという立場で宜しいですか?
私は、現在停止している原発のうち、全電源を喪失しない、或いは万一喪失しても燃料損傷に至らない安全対策がなされ、想定値を超える地震・津波にも耐えられる措置がなされていると判断されたものから順次稼動して行く。原子力発電所が寿命を迎えて廃炉になるまでの間に可能な限り新エネルギー(脱原子力、脱化石燃料)へ進むべきだと考える立場で当該記事を書いています。
まずそのことを確認した上で回答していきます。

前段のコメントに関して
デメリットは、記事中の太字にしている部分です。
そのうち1つを挙げます。火力発電所がフル稼働状態で運転を継続していることは、良い状態とは言えません。多少なりとも余裕をもった運転をしなければ重大な事故を引き起こす源にもなります。
また、発電余力ぎりぎりの運転は、常にブラックアウトと紙一重であり、想定よりも暑い夏であったり、火力発電所の故障などが起きれば、それが現実になります。(ここまで挙げた例は、デメリットのほんの一例です)
福島第一原子力発電所で受けた経済的打撃からどのように立ち直るか、あるいは更に悪化するのか、それは電力事情に大きく左右されるものと考えます。


後段のコメントについて
ハグさんは事故に大きな影響を与える人為的ミスは無かったと書かれていますが、私は
(1)鉄塔倒壊による外部からの引き込み電源ラインの喪失
(2)(1)が起きてしまった直後、適切に行われなかった初期ベント及び海水注入
この2点が事故(=爆発という事象)の大きな要因であると考えます。

したがって、原子力発電所本体の設計ミスということではないと考えます。
つまり、(1)(2)が機能していれば事故は起きていなかったと考えています。


投稿者 kameno | May 16, 2012 8:21 AM

>ハグさんはこのまま原発0のまま全て廃炉に向かうべきという立場で宜しいですか?

No.すくなくとも安全性が現在確保されていない原発を再稼動すべきではない。というスタンス。

>現在停止している原発のうち、全電源を喪失しない、或いは万一喪失しても燃料損傷に至らない安全対策がなされ、想定値を超える地震・津波にも耐えられる措置がなされていると判断されたものから順次稼動して行く

文章が理解できない。「想定値を超える地震・津浪にも耐えられる」というのはどのようなことを意味しているのか?
 ①想定値をどれだけ超えても大丈夫ということ?
 ②それとも想定値をある一定量を超えても耐えられるということ?

②の意味だと仮定。(それだと文章がおかしいですが。)その津波の「想定値+ある一定量」でなぜ安全不安全を議論できるのか?
 福島でも今までも想定値+ある一定量までは津波に耐えられると想定していました。しかしそれを超える津浪が襲い、福島事故にいたりました。津波の予測が間違っていたという結論です。で、今の津浪の予測はなぜ正しいのか。津波の新しい予測手法などが開発されたわけではありません。
 「津波の予測はなぜ間違ったのか?」これは最初にも書いておいたはずです。まったく議論になっていないのは残念です。この安全性の確保に、津波の高さの議論は現在*は必須です。これが判らない(なぜ前の津波の予測は間違っていたのかの結論が出ない)限り安全性の判定はできません。

*現在はと書いたのは、津波が襲っても大丈夫なように原発を設計することもできなくはないからです。(例えば、海中に作る(これはフランスが現在検討中)、河川沿いに作るなど)このようなことが設計により安全性を確保するということです。

投稿者 ハグ | May 22, 2012 8:45 PM

>デメリットは、記事中の太字にしている部分です。

 原発を再稼動しない場合のデメリットなんぞは判ってる。
「どのようにメリットデメリットを比較したのか?」と書いてあるでしょう。原発を再稼動しないことにどんなにデメリットがあろうとも、再稼動することのデメリットのほうがさらに大きければ、再稼動しないほうがいいでしょ?

だとしたら原発を再開したときのデメリット(これは事故の発生確率×事故の規模の期待値になる)の大きさとの比較になるでしょう。それをどのように比較して再稼動したほうのデメリットが小さくなると考えたのですか?と聞いているのです。

これが再稼動推進派の多くの人間の(議論の進め方として)間違っているところです。(結論が間違っているかは別の話)

投稿者 ハグ | May 22, 2012 8:59 PM

>(1)鉄塔倒壊による外部からの引き込み電源ラインの喪失

 電源供給設備も含めて「設計」というもの。当たり前。開いた口が正直ふさがらない。敷地外ならまだその論もわからなくないが、、、鉄塔が倒れたのは設計ミスなのです。もちろん、鉄塔が倒れても安全なように設計しているならそれでもいいのですが、、、

>(2)(1)が起きてしまった直後、適切に行われなかった初期ベント及び海水注入

 ベントとは何をさしているのか?圧力容器のほう?格納容器のほう?

 格納容器と仮定すると、ベントをすれば水素爆発を防げるのか?これは正直あまり関係ない。ベントは圧力による格納容器の破損を防ぐためのものです。もちろん圧力を下げることはできる(外部からの水の供給はやりやすくはなる。)が同時に蒸気などとしてでていく冷却材(水)の喪失も意味する。(また水素を外に逃がすことになるので、それによって建屋内部で水素爆発が発生する。建屋をベントしろ?そんなものついてないので、後になって屋根に穴を開けましたが、、、)1号機の圧力容器の安全弁は作動してちゃんと開いて格納容器に圧力を逃がしているのですよ?その結果、圧力容器内の冷却材が失われたのですが。結局は冷却ができるかできないかが全てです。
 崩壊熱に対抗するには最低25ton/hr程度の水を入れて、またその水が蒸発してでていかなければならない。そのような設計にはなっていないので水がいれられない。あたり前ですがそんな冷却をするような事態は想定されていないので、循環冷却で冷やすようにしかなっていません。(いれることを躊躇したという可能性はありますが、やろうとしても設備が無ければできません、崩壊熱に対抗するだけのオープンな冷却サイクルなんぞ設計されていません。)
 1号機の時系列のデータをみられたことがありますか?圧力容器3/12朝1時ころには格納容器と圧力容器が連通、朝4時ころに敷地内の放射線の上昇(=格納容器も含めたの破損)が発生しています。
 これらを防ぐことは時間的にいって正直無理というものです。また格納容器が破損してしまったら圧力が下がったのでベントしたのと正直同じです。事実そうなったので水がいれられるようになりました。しかし、それで入れられた量は爆発するまでに80t程度であり、全然崩壊熱に対抗する量になっていません。
(もちろん、1号機のICを手動で止めていなければ別の経過になっていたかもしれません。それはミスとは想定していないのですよね?)

 また、ミスというならば、事故に対してのベントのタイミングなどが決められていなければならないがそのようなものもなかった。そういう話は事故後のミスという話でない。
 これはマニュアルの不備ということでもありますが、、誤解しないでほしいのは私はそういうマニュアルがあったからといって今回の事故が防げたとは考えていません。ただ、事故が起きてから結果論で最善の行動を議論してもある答えがあったとしても、そのような行動を取れなかったとしてもそれはミスではないということです。普通に考えて、普通にそのような行動をとるべきところを取れなかった場合をミスというのです。

*ミス(適切でなかった)というならばどの時点でどこのベントを実施して、どのように海水注水すれば水素爆発を防げていたのか?前にも書いたように、事故後の対応をミスとしているレポートは見たことがありません。(当然細かいミスはいろいろありますが、概ねちゃんと仕事をしているという評価になっています。)

**正直、ミスという話では1号機のICの手動停止をさしているかとおもっていましたが、まあ、原発事故時になにがやられたのかの時系列のデータをみていないのでしょうね。

投稿者 ハグ | May 22, 2012 10:35 PM

私の意図が伝わらなかったようなので「鉄塔倒壊による外部からの引き込み電源ラインの喪失」に的を絞って書きます。


福島第一原発に電源供給をする「夜の森線№27鉄塔」が倒壊したことにより、電源が断たれました。
つまり、鉄塔の設計に関る想定、一ルートしか供給ルートを用意していなかったことが、今回の事故の直接的な原因でありましょう。
今後に向けて、他原発に対しては、地中など別ルートを通るバックアップ線の整備や、移動式の電源車を用意するなど、電源喪失を万が一にも防止する対策は幾らでも講じることはできると考えます。
想定値を超える地震・津波にも耐えられる措置と書いた意図は、具体的にはそのような対策ということです。


福島第一原発から10km程度の位置にある第二原発では、やはり想定を超える津波に襲われたにも関らず、こちらでは冷温停止が出来ています。
その違いは何だったのでしょうか。
第二原発では、外部からの高圧送電線が1回線生きていたため(これは必ずしも褒められたことではありませんが)、中央制御室において原子炉の状態を把握でき、事故4日後の3月15日には全ての号機で冷温停止をすることができました。
また、逆に、福島第一原発4号機では検査のため停止していたにも関わらず爆発が起こってしまいました。
今回の事象に関しては、電源対策がその全てといっても過言ではないでしょう。


その後に付記した(2)に関しては圧力抑制プールから配管⇒AO弁⇒MO弁⇒排気筒⇒屋外放出となったはず、と私は考えますが。
ただ、こちらの方は、電源喪失が起きた後のことでありますし、ハグさんと見解が異なるようですので、各方面の報告書を点検した上でまた記事に書きたいと思います。


結論としては、今回の事故を踏まえ、電源ラインの喪失への対策がきちんとなされていれば、再稼動は容認すべきだと考えます。

投稿者 kameno | May 23, 2012 10:42 AM

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