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ここのところ、各方面より貞昌院に設置している太陽光発電についての問合せが相次いでいます。
3月11日に発生した大震災の影響で、電力会社の電力供給力が失われ、東北から関東にかけて幅広い地域で行われている計画停電への対策、そして震災復興支援のために節電・創エネルギーへの貢献のためというのが主な動機のようです。
今日の記事では太陽光発電を含めたエネルギーの源について考えてみます。
貞昌院でも、これまでに計画停電が何回か行われました。
また、電力消費をさらに見直して、可能な限り節電につとめています。
その結果が「東京電力からの電力量のおしらせ」の数値として現れはじめました。
昨年2010年・今年2011年の「3月分」の比較です。なお、対象期間は2010年、2011年それぞれ 2月26日~3月27日の30日間です。
2011年は、震災発生からの期間が16日間含まれています
電力会社からの買電量(左オレンジのグラフ)が昨年同期と比較してだいぶ減っていることがわかります。
これまでも、出来る限り節電に努めていたのですが、まだまだ節電の余地があったのですね。
また、余剰電力量(右 水色のグラフ)はかなり増えました。
この量は、太陽光で発電した電力が貞昌院で使い切れずに東京電力に還元し、他の家庭・事業所に送っている電力量です。
一日の太陽光発電電力量と貞昌院で消費する電力量のイメージ図(下図)を併せてご覧いただくとわかりやすいと思います。
節電により、図中の「貞昌院で消費する電力量」の線が下がると、水色の「余剰電力を電力会社に売電」の面積が増え、オレンジ色の「電力会社より買電」の面積が減少することがわかります。
それが冒頭のように結果として表れました。
■オール電化の弊害
太陽光発電設備を導入する際には、「オール電化」を薦められることがあります。
オール電化は、ガスコンロを電磁調理器に、給湯器を深夜電力を利用したエコキュートにすることにより、電力料金が安くなるというものです。
火を使わないため火災の危険性が少ないということで、高層マンションで積極的に取り入れられるなど、かなり普及してきました。
しかし、計画停電によって、全ての機器が使えなくなり、さらに高層マンションではエレベータ、給水も止まり、日常生活に大きな影響が出ています。
エネルギー供給源を一元化したことによるデメリットといえます。
■エネルギー源は分散するべき
貞昌院では、敢えてエネルギー源を分散しています。
ガスコンロはプロパンガス、風呂の給湯は貯湯式の灯油ボイラーです。
太陽光発電・プロパンガス・灯油ボイラーの組み合わせは、災害時にはとても強いということを実感しています。
計画停電時でも、コンロや風呂は通常通り使えます。
町内会、地区民生委員を骨格とした「災害時支援者委員会」でも、都市ガスエリアにある町内会館にプロパンガスボンベとコンロを災害備品として昨年揃えました。
プロパンガスの機動性の良さは抜群です。
■将来に向けて
貞昌院では、数年前より灯油ボイラーによる給湯器を燃料電池へ置き換えることを検討しています。
(図はエネファームのサイトより)
燃料電池はエネルギー効率が極めて高い特徴があります。
例えば火力発電所の発電効率は約40%程度であり、送電ロスを併せると3割程度の効率となってしまいます。
対し、燃料電池であれば発電効率は飛躍的に高まります。
太陽光発電+燃料電池という組み合わせにより、電力会社からの購入電力昼間・夜間を通してほとんど無くなることでしょう。
(つまり、電力に関して完全に自立できる)
今後は日本全体でエネルギー供給政策の抜本的見直しがなされることでしょう。
国民全体でよくよく考えていかなければならない問題です。
■関連資料
曹洞宗総合研究センター平成18 年度 第8回学術大会 発表原稿
「太陽光発電設備設置の意義について」(PDF)
■関連ブログ記事
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エネルギー供給構造高度化法と燃料電池