熱海市伊豆山地区で発生した土石流災害は、発生から5日目が経過し、引続き県警や消防、自衛隊などによる安否不明者の捜索が継続しています。
所在不明は現時点で27人、お亡くなりになった方が7人となりました。
活発化している梅雨前線、線状降水帯の影響で日本各地には非常に激しい降雨による﹁命に危険が及ぶ土砂災害や洪水による災害発生﹂が警戒されています。
今日は日本海側、特に島根県を中心に﹁顕著な大雨に関する気象情報﹂が発表されています。
引続き警戒が必要です。
国土地理院では、災害に関して様々な情報を発信していますが、今回の熱海市伊豆山の土砂災害について
令和3年(2021年)7月1日からの大雨に関する情報
が公表されています。
これは
・UAVによる調査隊︵国土地理院ランドバード、通称‥GSI-LB︶による被災状況の撮影を実施
・空中写真︵垂直写真、垂直写真︵速報︶、正射画像、正射画像︵速報︶、斜め写真︶
・航空レーザ測量による二時期および三時期の標高値変化量抽出
・崩壊地等分布図及び土砂堆積範囲図︵7月6日第3報公開︶
・火山土地条件図
・デジタル標高地形図
・土地条件図 (解説文)
・既往撮影の空中写真
という、災害全体を客観的に概観できる資料となっています。
例えば、土砂災害発生の起点となったとされる箇所の最新︵2021年7月6日撮影︶の垂直写真を災害発生前と比較検討することも出来る資料です。
︵国土地理院データを基にkamenoが比較画像を作成︶
災害は1つの要因だけではなく、様々な要因が重なって起こるものです。
現時点で偏った知識から、間違った情報を生み出すのことは、却って危険と混乱を招きます。
専門的かつ総合的な知見からの分析をもとに判断することが大切です。
以前、当ブログで
我が家は盛土の上に建っている?
という記事を書きました。
国土地理院だけでなく、地方自治体でも災害の原因となりうる各情報を多く発信してくれています。
一例として平成18年度から21年度にかけて横浜市で行われた大規模盛土造成地の分布状況の結果をご紹介します。
宅地造成等規制法では、宅地造成工事規制区域︵=宅地造成に関する工事について規制を行うために指定をした、宅地造成に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地又は市街地となろうとする土地の区域︶として、次のような場所には都道府県知事の許可が必要となります。
︵1︶切土で、高さが2mを超える崖︵30度以上の斜面︶を生ずる工事
︵2︶盛土で、高さが1mを超える崖を生ずる工事
︵3︶切土と盛土を同時に行う時、盛土は1m以下でも切土と合わせて高さが2mを超える崖を生ずる工事
︵4︶切土、盛土で生じる崖の高さに関係なく、宅地造成面積が500㎡を超える工事
このデータと古い地形図、航空写真、地形データを重ね併せて地図上にマッピングしたのが建築局 指導部 宅地企画課で作成された﹁大規模盛土造成地の状況調査結果図﹂︵PDF・739kB︶です。
■調査方法
市域、約435平方キロメートルうち、平地部、丘陵部の自然地形、ゴルフ場、森林区域及び埋立地等を除く、約312平方キロメートルを調査対象区域として抽出しました。
大規模盛土造成地の状況は、造成前の地形データとして、古い地形図・航空写真に平成14年度から19年度の地形データ︵デジタルマッピングデータ︶を重ね合わせ、その標高差から大規模盛土造成地を抽出︵谷埋め型は、調査データの精度の関係から高さ2メートル以上のものを含む一連の盛土部分を抽出︶しました。