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2014年7月10日
ベネッセが顧客情報漏洩を発表 最大2070万件流出も
通信教育大手のベネッセホールディングスは9日、通信教育の顧客情報が外部に漏洩していることを確認したと発表した。最大2070万件を収容するデータベース︵DB︶の個人情報すべてが漏洩している可能性もあり、すでに760万件の流出が確認されるなど、大規模な事態となっている。東京都内で会見した原田泳幸会長兼社長は﹁再発防止と、情報の拡散防止に真摯に取り組む﹂と謝罪した。
今回の問題は6月下旬に、顧客から﹁ベネッセにしか登録していない住所に、他の教育産業会社からのダイレクトメール︵DM︶が届いている﹂とした苦情が相次ぎ、それをもとに調査を開始して発覚。今月7日までに個人情報が、名簿業者に大量に漏洩していることを確認した。
社外からの不正アクセスなどのハッキングではなく、グループ社員以外の内部者の関与が推定されているという。だが、警察の捜査も始まっているため、﹁︵関与者が︶社員ではない﹂︵原田氏︶こと以外の詳細は開示していない。
原田氏は、個人情報を購入してDMを発送している通信教育事業者に対し、﹁悪意を持っての流出情報の使用﹂と批判した上で、情報の拡散防止などへの協力を求めると同時に、協力が得られない場合は、告訴も辞さないと強調した。
︵産経新聞7月9日︶18時27分配信
これまで、企業の顧客情報流出の事件はいくつかありますが、とてつもない規模の情報流出があったようです。
情報化社会の進展とともに、情報そのものがデジタル化され利便性が飛躍的に高まりました。
その反面、一旦流出した情報は完全に回収することは不可能です。また文字通り一瞬に流出してしまい、流出したことさえ気づかないことすらあります。
何百、何千万もの家庭には情報が流出したことの不安が残されてしまいました。
どのような実害があるか、どれほどの実害があるのかは不明です。
ベネッセにとっては信用失墜は免れないでしょう。
さて、今回の件のほか、たびたび繰り返されるこのような情報流出の事件は、決して対岸の事例として傍観するべきことではありません。
何故ならば、寺院にも企業の顧客情報に相当する﹁大切な情報﹂をお預かりしているという事実があるからです。
﹃曹洞宗報﹄平成26年6月号には、寺院向けに次のような緊急のお知らせとお願いが掲載されています。
緊急のお知らせとお願い
﹁過去帳﹂等記録の厳重管理と人権擁護の徹底を
<中略>
本宗は前述した﹁﹃過去帳﹄等の管理についての指示要望﹂を全国寺院住職・代表役員に通知し、過去帳等の﹁閲覧禁止﹂の原則を指示要望している。
﹁閲覧禁止﹂とは、過去帳現物を直に見せなければよいというものではなく︵中略︶先祖供養等の宗教目的以外での情報開示は原則禁止である。
(﹃曹洞宗報﹄平成26年6月号 P56より一部引用︶
寺院で保管・管理されている﹁檀信徒名簿﹂﹁過去帳﹂等には、各寺院の檀家さん、信徒さんの住所、電話番号のほか、各家のご先祖様の戒名、命日、享年、俗名、続柄、施主等が記載されています。
過去帳は﹁冊子﹂として管理していますので、鍵の掛かった書庫に入れるなど、誰でも閲覧出来る状態にすることが無いよう厳重に管理されます。
冊子という現物であれば管理も明確化されています。
しかし、近年、情報化社会の進展とともに、名簿や過去帳の情報をデジタル化し、パソコンで管理する事例も増えてきました。
確かに利便性は飛躍的に向上します。
各種お知らせを的確に行なうことも、手間を掛けずに出来るようになりました。
その反面、冒頭のような事例もあるということを心しておく必要があります。
特に、寺院の過去帳情報が流出してしまうと、取り返しのつかない事態となりますし、信用失墜どころか、檀信徒の皆様にも多大なる影響を及ぼすことになるでしょう。
僧侶も、いや、僧侶だからこそ情報の取り扱いに関する研修を行った上で、普段の情報の取り扱いに気を抜かずに真剣に向き合う姿勢をもつ必要があるでしょう。
パソコン等で情報を扱っている場合、
・名簿や寺院管理のデータは何処に保存しているか。
・そこには外部からインターネットアクセスされる心配は無いか。
・使用しているパソコンは第三者が簡単に起動できないように設定されているか。
・信用が置けないクラウドにデータを保存していないか。
・名簿や寺院管理のデータを不用意に業者等に託していないか。
⇒やむをえず託している場合には、その業者との情報取り扱いに関する取り決めがきちんとなされているのか。
・データのバックアップデータの保管・管理に関しても、充分に配慮ができているか。
等々・・・・・
気を付けなければならないことは山ほどあります。
詳細はこちらを参照下さい。
何よりも、重大な情報を預かっているのだということを常に心しておくことが大切です。
寺院から冒頭のような事例が発生しないことを願います。
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