« 地域子どもの安全対策協議会 | 最新記事 | 情報化社会と情報管理の重要性 »
東京電力福島第一原発の事故以降、日本ではそれまで3割を超える電力供給を担っていた原子力発電所の可動はゼロとなりました。
反面、隣国である中国では、国家主導の巨大原子力プロジェクトが加速しています。
中国では273基もの原発建設が計画されており、東シナ海沿岸部を中心に各地で建設ラッシュが起きています。
既に稼働中の原子力発電所は19基。
これに加えて建設中が29基、計画中は225基で、これらが完成すると合計273基、2億8138万kWという桁外れの規模になります。
日本と東シナ海を挟んだ隣国の沿岸を中心にそのようなプロジェクトが進行していることを、私たちは注視していく必要があります。
『中国原子力ハンドブック2012:中国が変える世界の原子力』
発行・編集元: 日本テピア株式会社 テピア総合研究所
発行日: 2012/12/12
ページ数: 560ページ(A4版)
価格: 280,000円(税・送料込)
ちょっと高い本ですが、図書館にもあると思いますので目を通しておくと良いと思います。
中国の具体的な原子力プロジェクト(公表されているものに限る)の概要は下図のようになります。
エネルギー政策は国家の根幹を担う重要な命題です。
化石燃料に頼り、その結果大気汚染に悩まされてきた中国にとって、原子力は魅力的なエネルギー源です。
さらに、現在世界で主流として稼働している軽水炉のみならず、高速炉、高温ガス炉、トリウム溶融塩炉、進行波炉、原子力船への軍事的な開発、軍事利用に至るまで原子力に対してあらゆる研究開発を国家主導で進めています。
水を冷却材として用いる軽水炉に対し、中国では高温ガス炉に着目しています。
このタイプは、何らかの原因で仮に電源供給が止まったとしても、自然に止まって冷え、炉心溶融を起こさないという安全性の高い原発とされています。
この分野で最も研究が進んでいるのは現在は日本(日本原子力研究開発機構の高温工学試験研究炉)とされていますが、数年のうちに(具体的には2017年、山東省に建設中の原子力発電所実証炉が完成した後には)、高温ガス炉の分野で中国に先を越されてしまうことでしょう。
世界に目を向けると、新興国では原子力発電所の計画が進行しています。
先進国の電力供給においても、原子力発電所が電力供給のかなりの割合を担っています。
特に隣国の中国で桁違いの原子力発電所建設ラッシュが進行しているということに常に意識を向けていく必要がありましょう。