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2011年7月19日
なでしこJAPANは、女子サッカーの歴史を塗り替えました。
今日のブログ記事は、サッカーボール型の﹁すごいヤツ﹂が世界中のエネルギー供給需給を﹁塗り替える﹂というものです。
このたび、三菱化学が東京大学﹁ERATO中村活性炭素クラスタープロジェクト﹂の技術を応用して、エネルギー変換効率10%を超える試作品を世界で初めて成功した というニュースが入ってきました。
現在普及している太陽光発電パネルは、半導体を製造する際に発生するシリコンの余りを結晶化してガラス基板でサンドイッチした形のものです。
ガラスの重量がありますので、パネル全体の重みもあり、既設の屋根に載せるためには、それぞれの屋根構造にあわせた架台を設置する必要もあり、これが結構大変だったりします。
⇒貞昌院の設置事例はこちら
これに対し、塗布変換型有機太陽電池は、液体を現場で﹁塗る﹂ことによって設置が完了します。
塗った後加熱してしばらく放置すると乾いて固まり、それが﹁半導体﹂の役割を果たしますので、そこに配線を施せば太陽光発電パネルの完成です。
主な特徴は
・エネルギー変換効率が10%を超え、結晶シリコンの太陽光発電パネルと比べても遜色が無い
・材料も簡単に手にはいるものばかりのため、安価に製造できること。製造コストが10分の1程度になる
・﹁塗る﹂だけなので、どんな形状の屋根でも壁でも、また布地のような曲がる素材であっても対応できる
・厚みが1ミリ程度、重量の負担もほとんど無い
・製品寿命は現段階で10年ほど
という特徴を考え合わせれば、これまでの太陽光発電の常識を塗り替える重要な技術であることがわかります。
では、具体的にどのようなものなのかを簡単に見てみましょう。
結晶シリコンの太陽光発電パネルが発電を起こす仕組みは半導体として結晶シリコンを用いますが、塗布変換型有機太陽電池も、フラーレン誘導体﹁SIMEF﹂を半導体として利用します。
フラーレンとは、最小の構造が多数の炭素原子で構成されるクラスターの総称であり、冒頭のサッカーボール型の図が、炭素原子が多数集まってできているフラーレンという分子構造です。
そのうち、一番左のものがベーシックなフラーレンC60、一番右が塗布変換型有機太陽電池に利用されるフラーレン誘導体﹁SIMEF﹂です。
主要原料にテトラベンゾポルフィリンを用い、n型半導体としてフラーレン誘導体を組み合わせることにより、塗布変換型の有機薄膜太陽電池が実用化にむけて大きな前進をしました。
フラーレンは、さまざなま化学修飾を施すことにより、トルエンのような有機溶媒に溶かすことができます。
テトラベンゾポルフィリンは、その前駆体がトルエンなどの有機溶媒に溶けやすいので、どんな曲面にも塗布することが可能です。
塗布後、加熱することにより結晶化し固まります。
これが良好な半導体特性を有する発電パネルになるのです。
・フラーレン
・テトラベンゾポルフィリン
・塗布変換型有機太陽電池
このあたりのキーワードはとても重要なキーワードです。
今後耳にすることが多くなることでしょう。
三菱化学では、国内工場で年間3-5メガワット分の生産を始め、2015年には年30メガワット規模まで拡大する予定だそうです。
塗布変換型の有機薄膜太陽電池は数年のうちに各方面での応用、普及が進んでいくことでしょう。
地球に降り注ぐ太陽光のエネルギーは膨大です。
どれだけ大きなエネルギーであるかを見ると、例えば、日本全国にある寺院の数は約7万か寺。
仮に一か寺あたりの土地面積を1000m2とします。
1,000 m2×70,000 か寺=70,000,000 m2
この土地全体に降り注ぐ太陽光のエネルギーは、ピーク時には約7000万KWにも達します。
記録的猛暑だった2010年夏の東京電力管内の最大電力供給量は6000万kWでしたから、それを賄うに余りある太陽光エネルギーが全国の寺院境内に降り注いでいるわけです。
太陽光発電はメンテナンスがいらない、クリーンな発電装置として注目されていますが、私は、一番の特徴は電力消費のピークカットに貢献するということであると考えています。
日本の電力消費のピークは、夏場、特に学生が夏休みに入る丁度今の時期の昼過ぎ︵エアコンの電力消費時︶に来ます。
夏の日射の多い時は太陽光発電の電力生産のピークでもあるわけです。
つまり、太陽光発電設備がある程度普及する事により、電力消費のピーク値が押し下げられ、その分だけ過大な火力・水力・原子力の電力発電施設投資が不要となります。
図 夏の最大電力を100としたときの電力需要の比較︵東京電力資料︶
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