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﹃Mad Science﹄
実験の目的はポップコーンに塩味を付けるという至って平和的なものですが、その方法は・・・網で吊る下げたポップコーンの下でナトリウムと塩素を反応させるというものです。
1935年、デュポン社のウォーレス・カロザースが合成に成功したナイロンは繊維化学史上最も重要な発明の一つとされています。
一から作り上げた最初の材料であって、当時欧米の女性に欠かすことの出来なかった絹のストッキングの﹁高価﹂であり、﹁伝染しやすい﹂という欠点を克服した夢の素材でした。
発売当時のアメリカではナイロン製のストッキングを求める群衆で店先が埋め尽くされたほどであり、さらに日本の重要な輸出産業の一つであった絹が大幅に落ち込んだのもナイロンのせいであるといっても過言ではないでしょう。
ナイロンは、ジアミンとカルボン酸の﹁縮合﹂結合により合成されます。
しかし、それでは製造に時間がかかるため、工業的には別の方法が取られます。
カルボン酸の代わりに、酸クロリドを用いるのです。
そうすると、ジアミンと酸クロリドが触れた瞬間にナイロンが合成されるので、それを上に引き上げることで次々と繊維状のナイロンが出来上がっていきます。
ウォーレス・カロザースが合成に成功したナイロンは6,6ナイロンで、﹁ヘキサメチレンジアミン﹂と﹁アジピン酸ジクロリド﹂を使いました。
﹃Mad Science﹄では﹁アジピン酸ジクロリド﹂ではなく﹁セバシン酸ジクロリド﹂を使っていますから、合成されるナイロンは6,10ナイロンですね。