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2010年10月18日
仏教情報センター主催の研修会が開催されましたので参加してきました。
仏教情報センターは、ボランティアとして集まった伝統仏教各宗派僧侶により、主にテレフォン相談やいのちの集い、街頭相談などを行なっている団体です。
普段から様々な悩み相談を通して広く人びとに接する活動を通して得た経験を元に、超宗派での意見交換ができる機会は貴重です。
今回研修のテーマとなった葬儀についていえば、昨年から大手スーパー﹁イオン﹂の葬儀費用を明示化した事業がきっかけとなり、これまで聖域とされていた葬儀費用の透明化の動きが広がってきました。
祭壇や霊柩車、生花からドライアイスに至るまで、判りにくかった料金にメスが入ったのは、それはそれで良い面もありますが、﹁お布施﹂の﹁金額﹂を提示するなど問題点も多々ありそうです。 ︵﹁イオン﹂の葬儀に対する取組みに関するブログ記事は以前に書きましたので、下記リンクを併せてご参照ください︶
最近特に、全日本仏教会主催で行なわれたシンポジウム﹃葬儀は誰の為に行うのか?﹄~お布施をめぐる問題を考える~ のように、葬儀の意義を考え直すシンポジウムや研修会が目立つようになりました。宗教者にとっても問題意識をもって取り組むべき課題であると考えている姿勢が見えます。
ただし、研修会で指摘されたことの一つに、どの宗派でも問題意識を持っている僧侶・寺院と、そうでないものが明確に分かれるということがありました。
今後情報化社会が進むにつれて、旅館や料理店が★の数で評価され、クチコミ書き込まれるということが寺院に対しても行なわれる時代が来るはずです。もしも寺院が淘汰選別されていくとすれば、問題意識をいかに持っているか、葬儀・供養にいかに真剣に取り組んでいくのかということが鍵になるでしょう。
仏教情報センターの研修会における具体的な論議は、ここで書くことは控えさせていただきますが、差し支えない範囲で一例を挙げると、経済的に困窮されている方や、ホームレスの方、外国人の方...火葬場で引き取り手が無く廃棄処分されてしまう遺骨が多く、そのような現状を憂慮し、行政と連携して引き取り手の無い遺骨を受け入れ納骨する施設を境内に作っている寺院の実例はとても参考になりました。
さらに派生して仏教情報センターとして、超宗派の埋葬施設を作るという構想もあります。
イオンの事業に菩提寺を持たない方々に仏式葬儀を行う窓口となりうる機能があるのであれば、むしろ仏教情報センターのような超宗派僧侶により構成された組織でネットワークを作り、イオンを凌ぐ取組みをすればよいという意見もありました。
もう一つ、市街地の寺院と過疎地の寺院の格差をいかに埋めるのかという点において、ある宗派の方より、修行を終えて師寮寺︵自分の出身寺院︶に戻る前に、インターン制のような感じで数年間出身地方以外にある寺院で実地修行することを課す。その際の費用の一部を全国寺院で負担する。というものがありました。井の中の蛙になってしまい、自分の地域の事情や法式ばかりに目が行きがちですが、地方地方の良い面を自分の地域に反映したりできますし交流の輪も広がります。良い面は多々あることでしょう。
この意見は大いに賛成でありますし、むしろ海外寺院にまで範囲を広げて導入しても良いのではないかとも考えています。
いろいろな本音を聞くことができる有意義な研修会でした。
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