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2010年1月19日
今月︵2010年1月︶は様々な天体現象が目白押しです。
主なものは
1月1日 部分月食
1月15日 金環日食(西日本では日没帯食︶
1月25日 プレヤデス星団︵すばる︶食
1月30日 今月2度目の満月︵大きな満月︶
ここでピックアップした現象は、地球、月の軌道がもつ特徴に起因した特別な現象です。
そこに隠されている秘密について考えてみましょう。
月は地球の周りを、地球は太陽の周りを回っています。
太陽?月?地球 となるときに新月
太陽?地球?月 となるときに満月
となるということを単純に考えると、新月のたびに日食、満月のたびに月食となりそうなものですが、実際にはそうなりません。
折角ですから、なぜそうならないかということの説明をワードで図として作ってみました。
月が地球の周りを回る軌道は、地球が太陽を回る軌道よりも約5度傾いています。
また、地球からの太陽・月の見かけの大きさは、約0.5度︵10円玉を腕いっぱいに伸ばして眺めた程度︶です。
日食、月食はそれぞれ3つの天体がほぼ一直線︵例えば日食は見かけ上約0.5度の範囲内︶に並ばないと起きませんから、新月ごとに日食にならず、満月ごとに月食にならないということになります。
地球から見た見かけの太陽の軌道を﹁黄道﹂
地球から見た見かけの月の軌道を﹁白道﹂
といい、これも当然約5度の軌道面の傾きがあり、それが交わる点を﹁昇交点﹂といいます。
日食、月食は﹁昇交点﹂付近で起こることになります。
上図でいえば﹁昇交点﹂は地球が公転軌道上﹁A﹂の位置関係に来たときですね。
このときに月が満月であれば月食が起こりますし、新月であれば日食が起こります。
すなわち、地球の公転と月の公転に関する数字の最小公倍数が、日食、月食周期に関係してきそうだということがわかります。
地球から見た太陽が昇交点から昇交点にもどる周期は 346.6201日 ︵これを1食年といいます︶
新月から新月︵あるいは満月から満月︶までの周期は 29.530589日 ︵これを1朔望月といいます︶
ですから、この2つの最小公倍数は、ほぼ食年の19倍、朔望月の223倍となります。
19食年 = 6585.782日
223 朔望月 = 6585.3212日
6585.3212日 = 6585日+0.3212日 = 18年11日7時間42分32秒 ︵うるう年の関係で18年10日7時間?の場合あり︶
この周期で日食、月食が起こることになります。
これをサロス周期といい、アッシリア時代には既に知られていた周期であります。
ここでポイントはサロス周期の約8時間︵1/3日︶のずれです。
地球上のある地点で日食︵月食︶が見られたとして、その18年11日後には約+8時間のずれのため地球の経度で約120度ずれたポイントに日食︵月食︶帯があらわれます。
3サロス周期経つと、同じ地点にもどってきますので、昨年の南西諸島一帯で見られた日食は1サロス周期後には経度120度ほど離れた場所で同様の日食が見られますし、3サロス周期後には2009年と同じ地点で同様の日食が起こることになります。
実際にはサロス周期は1つだけでなく、地球全体で日食・月食ともにおよそ40もの系が同時進行しています。
逆に考えれば、1サロス周期の間に地球上のどこかで日食・月食が概ね40回程度起こるということです。
その確率として、1サロス周期あたり
日食‥皆既日食は11?14回、金環日食11?15回、金環皆既食0?3回、部分日食11?17回
月食‥皆既月食が13?17回、部分月食が9?15回、半影月食が13?17回
となります。
さて、今月のこれからの天文現象に話を戻します。
まずは1月25日の すばる︵プレヤデス星団︶食。
﹁風の中のす?ばる?﹂
冬の夜空でひときわ目立つおうし座の散開星団、すばる︵プレアデス星団=M45︶を月が隠します。
このように月が背後の星を隠す現象を恒星食といいますが、すばる食に関しては、数年前から度々起こっていました。
サロス周期の関係で、18?19年程の周期で起こりやすい時期が巡ってきます。
1月25日はその周期の最後のすばる食です。
今回を最後に、2024年まですばる食は見られません。
双眼鏡程度で充分楽しめますので晴れていれば冬の夜空を見上げてみることをお勧めします。
Stella teaterですばる食を観測地点横浜としてシミュレーションしてみました。
もう一つ、1月30日 今月2度目の満月です。
月は楕円軌道で回っていますので見かけ上の月の大きさは変わります。
1月30日は一年の中で再も地球に接近します。
また、地軸が傾いていることにより、冬の太陽は低く、その反対側にある満月は高い位置に来ます。
さらに冬晴れの天気となれば、夜空にひときわ大きく、明るく、高く輝く満月が望めること間違いありません。
特別な満月となります。
蛇足
逆に、低い満月︵正確には満月ではない︶を愛でるのが中秋の名月です。
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