数年前のおなはしです。
たまたま庭の手入れをしていると、隣の天満宮との境界にある出入り口から、かわいい笑顔が2つこちらを覗き込んでいる。
目と目が合うと
﹁入ってもいいですか?﹂
慎重な足取りで近づいて来る。
女の子は近隣の小学生で、仲良し二人組みとのこと。
﹁ここは何ですか?﹂
﹁さっきいた所がお宮で、ここはお寺ですよ﹂
神様のこと、仏様のことを手短に話すと、初めて聞いたという顔をしている。
﹁あれは何ですか﹂
と山門脇の六地蔵の方を指差す。
﹁皆の願い事を聞いて救って下さるお地蔵さまですよ﹂
﹁拝んでもいいですか?﹂
と聞いてから、二人でお地蔵様の前に行き暫く真剣な表情で手を合わせている。
満ち足りた表情で戻ってきて、
﹁私たち、何のお願いをしたと思います?﹂
﹁あれが欲しい、是が欲しいというお願いではないの?﹂
﹁皆が仲良く平和に暮らせますように﹂。
﹁それから最後に、お勉強がもう少しできるようにとお願いしたの﹂
﹁偉いなー。 お地蔵さまは、必ず二人のお願い事を叶えてくださるよ﹂
もうすぐ花祭り、午後からは花御堂を表に出すので外からお釈迦様に甘茶を掛けることが出来るようになると話すと、
﹁必ず来ようね﹂
さて、当日の午後。
午前の花祭り法要に参詣された檀家の皆さんと懇談している時、ふと外に目をやると、来ました、来ました、二つの笑顔。
参拝のし方を教えてから甘茶を振舞うと、
﹁この間ね、田舎に行って来たの。﹂
﹁それでね、田舎のお婆ちゃんに仏様のことをたくさん教えてもらって来たの・・・・・・﹂
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最近では、昨今の世相を反映してか、大人でさえご先祖さまや、大自然を敬う心を失って身勝手な行ないをする人も増えているように思えてなりません。
けれども、そんな中で、お彼岸や休日などにお墓参りに来られる人は逆に多くなりました。
特に子ども連れでお墓参りをする家族が以前に増して多くなり、お墓も明るい雰囲気に包まれています。
また、ご法事での寺参りも子ども連れで参詣される家族が多くなりました。親に倣って、かわいい手つきでお焼香をしています。
﹁子は親の背を見て育つ﹂
この言葉を思い出させる爽やかな出会いでした。