東京電力の検針通知が投函されていました。
貞昌院では、毎月27日頃に検針が行なわれています。
結果は 2012年7月の電力使用量(=以下、買入電力量と表記) 536kWh(昨年同月 403kwh)となり、昨年同月よりも買入電力量が多くなりました。
その理由は、今月モニターとしてプリウスPHVの試乗をしており、毎晩満充電を行なっていたこと(これで概ね40kwh程の増)、それと本堂・客殿の冷房使用が昨年よりも若干増えたことによるものが主な原因です。
2008年から2012年までの、「貞昌院買入電力量」と「余剰電力量」の推移をグラフにしてみました。
貞昌院には、5.544kwの太陽光発電設備が設置、稼働しており、一日の電力需給の推移はおおむね下の図のようになります。
太陽光発電パネルは、太陽が出ている間の発電となりますので、夜間は当然発電していません。
図のオレンジ色の部分が、東京電力⇒貞昌院に流れる電力の量となります。
朝太陽が昇り、太陽光発電の発電量が増えて貞昌院で消費している電力よりも発電量が上回ると、貞昌院⇒東京電力 という電気の流れになり、それが水色、余剰電力量の部分となります。
冒頭の2つの棒グラフは、貞昌院における毎日の電力需給曲線「貞昌院買入電力量」(オレンジ色の部分)と「余剰電力量」(水色の部分)を毎月分積算した電力量ということです。
■ポイント
貞昌院で消費する電力量 = 買入電力量(オレンジ部分)+自給自足電力量(黄色部分)
太陽光発電パネルの生み出す電力量 = 余剰電力量(水色部分)+自給自足電力量(黄色部分)
貞昌院の一日の電力需給の曲線、これを貞昌院と同様に東京電力管内の各企業、各家庭について積算したものが「東京電力管内の総需要量」ということになります。
火力発電所、水力発電所、原子力発電所などの発電設備はこの総需要量を賄うだけの設備を計画しなければなりません。
この需要曲線は、夏場は昼過ぎにピークがやってきますので、その最大需要電力量に合わせた発電所計画がなされているわけです。
従って、このピークを如何に下げるかが、とても大きな意味を持ちます。
太陽光発電は、ピーク時に発電量が最大となり、余剰電力が発生した場合にはそれを送り出すこともできるわけですから、ピークカットに大きな貢献をすることができるという特徴があります。
このように、時間帯ごとの電力需要の差を少なくすることを負荷平準化と言います。
電気は先ほど述べたように、必ずピークの需要にあわせて設備を建設しなければなないため、需要曲線が上下することは、発電設備の利用率に影響し、コストの上昇にも繋がります。
電力需要曲線を平準化させることにより、電力供給事業者は余計な発電所の建設を抑えられるとともに、電力不足が懸念される際にも、大規模な停電や、計画停電の実施を避ける手段ともなります。
ただし、良いことばかりではなく、現状ではやはり電力を創りだす際の発電単価が火力発電所、水力発電所、原子力発電所などに比べて高いことは否めず、政策的に補助金を出しています。
貞昌院でも、余剰電力は倍額買取制度によって1kwh当たり48円で買い取ってもらっていますし、今年七月から始まったばかりの全額買取制度でも太陽光発電の場合は、向こう20年間に亘って1kwh当たり42円で買取ることが保証されています。
この補助金は、結局は電力消費者の負担増につながりますので、今後の課題は如何にこの発電単価を下げるかということになるでしょう。
個人的には、20年間に亘って1kwh当たり42円で買取るという全額買取の単価は、大盤振る舞いもいいところだと感じます。
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さて、ここで、今日のブログ記事のタイトルである太陽光発電と電気自動車(PHVを含む)について考えてみます。
電気自動車のEV走行のためには、燃料に代わって電気を使うために、相当量の電力量を消費することになります。
電気自動車の普及が進むと、充電のために使用される電力量は無視できなくなるでしょう。
さきほどのピークシフトの観点からすると、電気自動車の充電は、可能な限り夜間に行うべきといえます。
プリウスPHV10days(2) において、外出先での充電ステーションの整備が進んでいない現状から「自宅での充電が前提」と書きましたが、仮に充電ステーションの整備が進んだとしても、可能な限り昼間の充電は避け、夜間の充電を基本とするべきといえます。
さらに、太陽光発電などの新エネルギーによる発電設備を設置している場合には、「太陽光発電による電力を直接電気自動車の充電に利用しています」というのは聞こえは良いですが、発電による電力を直接充電に使うことは特に避けるべきと考えます。
その第一の理由は、余剰電力・全額買取による売電単価は相当高いため、コストの面で相当負担が大きくなるということ。
例えば、貞昌院の場合、1kwh当たり48円という余剰単価ですから、プリウスPHVをこの電力単価で充電した場合には、HV走行によるコストよりもかなり高くなってしまいます。
第二の理由は、需要がピークを迎える前後の時間帯における太陽光発電の余剰電力は、社会に還元したほうが良いということです。
プリウスPHVの場合には、電池の残容量がゼロになってもHV走行が可能ですので、昼間に充電しなくても支障はありません。
試乗期間で感じたことは、むしろ急速充電に対応していないプリウスPHVは、外出先での充電は現実的ではないということでした。
急速充電機能を敢えて付けなかったプリウスPHVは、現状に合致した車なのだということをつくづくと感じます。
しかし、リーフやアイミーブは、ガソリンスタンドにあたる外出先での急速充電器が前提となります。
リーフに搭載されるバッテリーの容量は24kwh。これを30分程度で80%充電させるわけですから、充電に使用される電力はプリウスPHVの比ではないほど大きな電流が流れます。
まだまだ普及が進んでいない電気自動車ですが、その数が増えてきた場合、ピーク時の電力需要をさらに高めてしまう可能性もあります。
電力需要ピーク時の充電を制限する何らかの施策が必要になるでしょう。
■ポイント
太陽光発電による電力を直接電気自動車の充電に利用することは好ましくない
電気自動車の普及が進んだ場合、夏の電力需要ピーク時に急速充電する電気自動車が増加し、社会的な問題になりかねない。
やはり、電気自動車の充電は夜間が基本となるべき
数年後には問題となるような事案は、問題になる前に対策を具体化しておくべきでしょう。