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これらは港南区内のある中学校の歴史史料室に保存展示されていた(過去形)地域文化財の写真です。
(港南歴史協議会により撮影されたものです)
パイスケ、竹駕籠、石臼、壷、枡などの民具や、ジェラ?ド瓦の鋳型、その他ここには写っていませんが筵編機、縄撚り機なども展示されていました。
しかし、校舎改修工事のため、資料館が無くなることとなりました。
本来ならば市で予算化して近くの別の場所へ移転するべきでしょうが、財政難のためそれも叶わないという市側の回答により、それではその史料をどのようにするのかを歴史協議会で検討していました。
今月15日には歴史協議会の皆さんが史料室へ行き、展示物を選別し、何処に保存するべきかを具体的に決める作業を進めていました。
もしも受け入れ先が見つからなかった場合、貞昌院でも一時的にでも保管することも具体的に考えていたところです。
・・・・ところが、そんな矢先、何時の間にかその史料が粗大ゴミとして処理されてしまっていたことが判りました。
冒頭の写真の展示物はゴミとなってしまい、もう有りません。
横浜市、区役所と学校の連携が図られていれば、そして学校側の郷土文化財への理解と対応がもう少しあれば、このような扱いにはならなかったはずで、その点が残念です。
さらに残念なことは、地域文化財を粗大ゴミのコンテナに詰める作業を、学校が生徒に行なわせたらしいといういこと。
これでは郷土愛を育む地域の歴史教育の観点から大きくマイナスとなりますし、文化財の大切さを教えるということからも逆行してしまいます。
地域文化財への理解と大切さを伝えるために、さらなる啓蒙活動が必要になりそうです。
追記
ジェラ?ド瓦の鋳型だけは、間一髪事前に別の場所に移すことができたため無事だったようです。
それがせめてもの救いでした。
■さらに追記
タウンニュース港南区版(2010/3/18)に掲載されました
学習環境整備の犠牲に 歴史資料を廃棄 笹下中は苦渋の決断
笹下中学校(小新(こしん)幸康校長)の郷土資料室に保管されていた古民具の一部が2月19日、来年度から普通教室に転用することを受けて廃棄された。これらは地域から寄贈されたものだが、教室数が限られるなかで学習環境の整備を優先した学校の決断だった。一部の歴史研究団体は懸念を表明するが、歴史資料の管理は学校に一任されている現状も浮き彫りとなった。
同中ではこれまで、通常の学級では学習困難な生徒を保健室で受け入れてきた。しかし、本来の使用目的とは異なることや、生徒の安定した生活の確保という観点から、専用の教室が必要と判断。郷土資料室を「特別支援教育」の教室として転用することを決めた。
これに先立って同中は、農機具など約80点の歴史資料の元所有者で、連絡先の分かる人に了解を得た。さらに近隣の町内会長にも相談し、処理については学校が判断することが決まった。その上で、同様の資料室を持つ区内の小学校に呼びかけ、歴史資料の一部が3校に引き取られた。しかし、引き取り手の見つからなかったものは、教室移転の日程上、学校がリミットに定めた2月19日に廃棄された。この際、資料室から運び出す作業を学校は生徒に手伝わせたという。同様の資料室があるのは横浜市内でも一部の市立小中学校に限られる。その歴史資料は学校周辺地域から提供されたものが多く、郷土史を知る上で貴重な財産である一方、保存に注意を要する。しかし、市が管理に関するガイドライン等を定めることはなく、学校に任されているのが現状だ。
小新校長は「地域のご好意があって完成した資料室。残したい気持ちは当然あった」と話す。しかし次年度以降は生徒数増加が見込まれ、「更に3つの教室を新設しなければならない状況」と、郷土資料室の継続は困難であった現実を明かす。同中の郷土資料室に展示されていた石臼、枡、筵(むしろ)織り機など古民具や農機具は約80点。これは、かつて農村地帯だった笹下地域の宅地開発が進んでいたことから昭和50年ごろ、農村文化を後世に伝えようと当時社会科の教諭だった馬場久雄さんが中心となり地域から収集したものだという。
現在は、区の郷土史を調べて地域に発信する活動を行う港南歴史協議会で会長を務める馬場さんは、「生徒の学ぶ環境を整えることは大切だが、郷土文化を守る点では大きなマイナス」と残念がる。また、他の会員は生徒が廃棄作業に携わったことについて、「文化財を大切にするという点で配慮に欠けている」と指摘する。
馬場さんは、「区に歴史資料を一括で管理する施設があれば別の結果になったかもしれない」とし、「地道な活動を通じて多くの人に郷土史への理解を深めてもらい、保存に対する意識を高めたい」と話していた。
言語道断の話ですね。
子供達がかわいそうです。
関係者の厳正なる処分(最低でも関係者は懲戒免職でしょう)と、再発防止策の必要がありますね。
投稿者 狸 | 2010年2月22日 20:18
大変な事になりました!これが、現在の横浜市の実態です。360万人の巨大横浜市が抱える根本的な課題です。即ち、360万人、18区に1人の市長、1つの市議会しかありません。各区分権化はお題目だけで、20万、30万人を預かる各区の区長さんへ与えられている権限は地方都市や特別区である東京都とは比較になりません。
従って、郷土史に関して「地元各区に委ねる」の一項が無い限り、区長権限で対応が出来ません。それで横浜市文化財課に確認をした所「横浜市には唐箕、筵織機等はあります」との回答で、廃棄対象となりました。それも粗大ゴミ扱いです。港南区の昔は農民社会でした。その保存記録です。矢張り「郷土史」は大横浜市で管理するものではなく、地元文化財として地域管理に委ねるものではないでしょうか?横浜市は、郷土史に関して、第3セクタ?「ふるさと財団」に委ねてしまいました。「ふるさと財団」は財政難です。横浜開港以降の歴史を管理するのに精一杯で、開港以前の鎌倉に通じる中世の歴史が疎かにされています。港南区は昭和40年代に港南台・野庭団地と言う大規模な宅地造成開発が約5年?10年の間に進められ、太古の昔からの「たたらの遺跡」も潰され、更に近年では環状2号線の開通の際に「杉本遺跡」の上に蓋をされて、道路が通ったとの事です。
もう一度、市民力で郷土史保存に向けた見直しを検討しなおしたいと思います。皆様方のご協力をお願い致します。
投稿者 チノシンイチ | 2010年2月22日 21:43
悲しいことです。
郷土に根付いた歴史を知る素晴らしい遺産が粗大ゴミとは・・・・・・。
ゴミとして子供達が文化財を運んでいた時 それを目の当たりにした関係者はどんな気持ちでいたのでしょうか。
子供の好奇心や探求心の芽を育てる為に反省を活かしてほしいと思います。
投稿者 葉月 | 2010年2月23日 09:44
狸さん
>子供達がかわいそうです
本当にそう思います。文化財の大切さを教えるどころか「棄てて良いものだ」と教育しているようなものです。
チノ様
詳細なコメント有難うございます。
背景には様々な事情と問題点が隠されています。
その一つひとつを解決しなければ同じことは繰り返されることでしょう。
民間レベルでも古民家に伝わる大切な文化財が急速に失われていっています。保存継承するための早急な対策が必要ですね。
葉月様
展示されていた文化財も、地域の方の厚意によって寄せられた物ですから、それを簡単に棄ててしまうという行為が信じられないですね。
同じことを二度と繰り返して欲しくないと思います。
投稿者 kameno | 2010年2月23日 15:57
地域文化を救いましょう
区の権限とかではなく横浜市の官庁のレベルが大変疑われます。区に権限があまりにも無さ過ぎるのでしょう。それとあまりにも弱者救済とかの方に頭が行き過ぎているのではないでしょうか。自然でもそうです。木でも切れば壱巻の終わりです。元には戻りません。何故教育者がそこに気が付きませんか。人権は煩いが、歴史の保存には気が付かない官庁人港南区なのでしょうか。
投稿者 k | 2010年3月 4日 13:11
K様
コメント有難うございます。
このような事例はほんの氷山の一角で、知られざるところで行なわれてきたことなのかも知れないですね。
過ぎてしまったことはどうしようもない事です。このことを教訓に今後、どのように啓蒙していくことができるか、行政側にどのように働きかけていくことができるかが鍵だと思います。
投稿者 kameno | 2010年3月 4日 21:30
郷土史に対する、行政の対応の地域間格差は驚くばかりです。横浜市の文化財保護に対する姿勢は、過去から認識が低いと思います。先日も、東京都港区役所を訪問する機会があり、区役所に資料室がある事には驚きました。加えて、各区の図書館に資料保存館が隣接、設置されており、そこに郷土史に関する文化財の品々は保管されています。それに対して、横浜市では郷土史に関しては第3セクタ?である「ふまさと歴史財団」が管理をしています。従って、財源的にも、人材も極めて乏しい現状です。郷土史は360万人の大横浜市全体を一括管理するのではなく、各区分権化の元に各区毎に保存管理を行うべきものではないでしょうか?ここにも「大都市問題」が出てきました。矢張り、市民だけでなく、日本全体で「大都市問題」を検討して行く時代になったと思います。
投稿者 ちのしんいち | 2010年3月 6日 01:39
ちの様
行政による温度差は大きいですね。
予算配分もカットカットの方向で、寂しい限りです。
無駄を省くことは良いのですが、何が無駄で何が無駄でないのかをよくよく検討していかないといけないですね。
同じ横浜市でも、地域の成り立ちは異なり、違った文化が育まれています。それを一元的に扱うのは無理があります。
市民の声が届きやすい体制にもしていただきたいものです。
投稿者 kameno | 2010年3月 6日 10:21