原油高騰が続く

5年前にはレギュラーガソリン価格は100円を切っていたのに・・・・・・

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ここのところ、中東・イラクで起こっているイスラム教反政府勢力による内戦、ロシアとウクライナの問題など国際情勢が不安定な状態になっており、原油価格が高騰しています。

原油価格の国際指標となる米国産標準油種(WTI)のチャートはこんな感じで推移しています。
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直近の米国産標準油種(WTI)価格は1バレル 106ドルを超え、9カ月ぶりの高水準となりました。
これにより、日本の原油の輸入価格上昇がレギュラーガソリン、重油や軽油に波及しています。
当然に関連の業種(運輸業・漁業・製造業など)燃料や石油を元にしる産業への影響は大きなものとなります。

冒頭の米国産標準油種(WTI)チャートと併せて、円ードルの為替チャートも併記してみました。
ガソリン価格の高等は円高の影響という印象はありますが、5年ほどの中期で観ても、決してそんなことはないということがわかります。
リーマン・ショック直前(2008年)までは、1ドル120円程度で推移しており、この時期、米国産標準油種(WTI)価格は1バレル 140ドルを超えていました。

 

このように、わずか5年間だけを取ってみても、原油価格や為替レートの変動が激しくなっています。
したがって、化石燃料だけというように、一つの原料に頼る社会構造は非常に脆弱な側面を持つということを心しておかなければなりません。

原油の高騰傾向は今後暫く続くと考えられます。

 

 

さて、東日本大震災をきっかけに、日本のエネルギー供給構造が一変しました。
一例として、電力がどのようなエネルギーにより供給されているのかを改めて考えてみます。

 

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震災前は、石炭・LNG・石油等の化石燃料による発電は約60%でした。
震災直後の2012年は化石燃料が92%。
現在は原子力発電はゼロとなっていますから、化石燃料による発電が94%程度となっています。

 

すなわち、日本経済全体が「国際情勢による原油価格の影響を」まともに受ける形となっています。

 

高度経済成長期、日本の火力発電は化石燃料を活用してきました。
しかし、国際的には、1975年の第3回国際エネルギー機関閣僚理事会において「石炭利用拡大に関するIEA宣言」による「石油火力発電所の新設禁止」が採決され、それがスタンダードになっています。

近年懸念される 原油価格の高騰により、火力発電コストは上昇しており、電力料金もさらに高騰傾向にあります。
原子力発電所の可動がゼロとなっている今は、その影響が顕著になっています。

少なくとも、現在の日本の経済が、原油価格の影響をまともに受ける状況にあることを認識しておき、今後の貿易収支の推移にも着目する必要があるでしょう。

 


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投稿者: kameno 日時: 2014年6月26日 09:16

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