原油高騰でもサンマは安値

以前、供物としてあげられる盛籠からマクロ経済の変化を考えた ことがありましたが、経済の変化を一番敏感に感じることができるのはスーパーの店内ではないでしょうか。


近年、特に今年に入ってからの原油の高騰は異常なほどでした。レギュラーガソリンの小売価格はリッターあたり200円間近にまで跳ね上がり、さまざまな影響をもたらしています。

第一次産業に与える影響も大きく、例えば水産業では、漁船に使う重油の価格高騰により、出漁できなかったり、その窮状を訴えるために組織的に出漁を取りやめたりといったことがニュースで流されました。


漁船の燃料を少しでも節約するため、集魚灯を点ける時間を制限したり、エンジンの回転数を下げ漁船の速度を落としエコ運転したりという努力も焼け石に水のようです。

政府は、燃料上昇分をいくらか補填する政策を打ち出しました。
しかし、そもそも大手小売スーパーにより価格が支配され、また、水揚げ直後にセリで価格付けされてしまうという、コスト上昇分を漁業従事者に反映できない流通のしくみを抜本的に改善しなければ、日本の水産業は壊滅的となってしまうでしょう。
 


昨日、地元のスーパーでのサンマの価格です。

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消費者にとっては、新鮮な魚が安く購入できることは嬉しいのですが、漁業従事者の現状を考えると手放しに喜んでばかりはいられません。
この倍の価格でも十分安いでしょうし、その分を漁業従事者に還元できる仕組みができたらとつくづく思います。

かつては世界に誇る水産国であった日本でしたが、いまや魚介類の自給率は約60%。
日本は世界一の輸入国となってしまっています。

また、いつまでも輸入に頼るわけにも行かないでしょう。
農産物の例にもれず、水産物でも食の安全性に対する不安はありますし、それ以前に今後は「買い負け」により、輸入すらできないケースも増えていくことでしょう。


水産業側は、漁船の低燃費化、漁業主体の大規模化が進み、消費者側は魚介類の消費量の低下、魚から肉主体の消費構造へと変化しています。
また、一時的には水産業全体の規模の縮小により、魚価が安定しているように見えています。

しかし、長期的にみると、この構図は持続しないはずです。

一消費者にできることは、まずは今安値のサンマをたくさんおいしく頂くことでしょうか。


■余談
ダイエット効果を期待してバナナは品薄。スーパーの棚にはまだ青いバナナも並ぶようになりました。
一本あたりの価格は、サンマ一尾の価格よりも高くなっています。

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北海道産の餡子(左2つ)と中国産の餡子(右2つ)との価格差。
食の安全性と安値、どちらを選びますか?

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投稿者: kameno 日時: 2008年10月 5日 09:29

コメント: 原油高騰でもサンマは安値

国産と中国産の価格差は驚くばかりです。安全はお金で比べないかたが増えれば良いのですが、現実は「安ければ正義」という感じが強いですね。
米牛肉のBSE問題の際も 同じだったと思います。
潜伏期間20年後の世界を想像するのは難しくありません。
出来ることからやっていきたいと思います。

投稿者 ゆ?じ@FreeTibet | 2008年10月 6日 20:02

世界的に経済が縮小し、「お金」が回らない危機的状況が続いています。数年後にどうなっているか予想すらつかないですね。
円高が進行すると、ますます価格差は開いていくばかりです。

投稿者 kameno | 2008年10月 7日 00:00

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