法事の盛籠からみるマクロ経済

法事の際に施主さまより、お供物として盛籠をあげていただくことがあります。
盛籠とはどういうものかというと、このようなものです。

最近、特に気づく事があります。
それは、数年前は果物の中にグレープフルーツやオレンジが相当の割合盛られていたのですが、最近は顕著にその割合が減っているということです。

その理由として考えられることは、環境に優しいとされ、積極的に導入が進んでいる「バイオ燃料」です。


バイオ燃料は、以前、このブログ  バイオ燃料の功罪 でも紹介いたしましたが、トウモロコシ・サトウキビなどを原料として製造する燃料です。
近年の原油価格の高騰や、二酸化炭素排出量の削減を目的として、バイオ燃料などの代替エネルギーが製造されるようになりました。

ブッシュ大統領はガソリンの年間消費量を10年間で2割削減する目標を掲げており、日本においても、今年春からガソリンスタンド、バイオ燃料入りのガソリンが販売されています。
アメリカに限らず、バイオ燃料の需要は拡大する一方で、その影響でトウモロコシ・サトウキビの価格が高騰しているのです。

高騰しているのは、バイオ燃料の原料ばかりではありません。
バイオ燃料の導入が盛んなブラジルやアメリカは、オレンジの産地でもあります。
特にブラジルではバイオ燃料製造のため、オレンジからサトウキビへの転作が進み、極端なオレンジ不足をもたらしています。
それに加え、アメリカを襲った寒波などによる作物の不作や、中国などでの穀物・果物の需要増加が重なり、オレンジの価格までもが高騰するという構図です。




 
乳業大手、果汁飲料1割値上げへ・原料高騰で


乳業大手が果汁飲料を5月以降に値上げする方針を固めた。値上げ幅は希望小売価格ベースで1割前後の見通し。原料果汁の価格が高騰し、製品価格への転嫁が避けられないと判断した。果汁飲料が値上げされれば、牛肉・オレンジ輸入が自由化された1991年以降初めてとなる。
キリンビールグループの小岩井乳業は数量で首位ブランドの「トロピカーナ」で、1リットル紙容器の「ホームメイドスタイル」(現在は税抜き希望小売価格260円)を40円程度、高品質の「ピュアプレミアム」(同380円)を70円程度の値上げする。




お供物としての盛籠一つを着目するだけでも、マクロ経済の変化を見て取ることが出来るのですね。
(大げさですけれど)


改めて

■バイオ燃料生産のために、熱帯雨林などの森林開発を行うのは本末転倒。
■既にある農地を転用して、バイオ燃料の原料となる植物を植えるべきではない。
■バイオ燃料の原料として、人間や家畜などの食料となりうる部分を用いるのは、たとえコストが低くても行うべきではない。

の三点を主張します。

投稿者: kameno 日時: 2007年5月18日 04:22

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