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声明ドイツ公演渡航まで一週間となり、仏具の最終点検が行われました。
航空貨物として運搬するため、丁寧に梱包し、運送会社へ引き渡していきます。
同時にインボイスの作成などなど、事務的な作業も進めます。
まもなく出発なのだな~と実感が湧いてきます。
今回の渡航の中を取り持ってくださっているのが、声明研究家のドイツ人Rさんです。
おそらく曹洞宗では初めてとなるこの国際的な事業は、Rさんの力無くしては実現しなかったことでしょう。
R氏は声明研究家であると同時に、日本文化の優れた理解者、紹介者でもあります。
日本を代表する文化といえば、今ではアニメ、MANGA、ギャルファッション・・・・そんな風潮でありますが、能や鼓、尺八といった伝統音楽、その源流となる声明などなど、日本人ですら気付かない素晴らしさを熱心に説かれるドイツ人です。
また、その人脈の広さは特筆すべきであり、鼓の大倉正之助さんをはじめ、日本の伝統音楽家はほとんど関わっているといって過言ではありません。
けれども、日本の伝統音楽への欲求や評価も高いのに、現地の日本政府高官の方々は日本の伝統音楽にそのようなものには興味が無いという現実があるようです。
2年前の宗教音楽際のオープニングを声明が飾り、大反響だったにも関わらず係らず、その場に政府高官の方の出席はありませんでした。
能や尺八の公演でも然り。
日本の伝統音楽は、退屈で詰まらない、取るに足らないという先入観が日本人に根付いているようなのです。
Rさんもそのことを指摘されていました。
一種の風評被害のようなものなのでしょう。
今日、東日本大震災支援コンサートが横浜市南区の寺院で開催されたので参加してきました。
東日本大震災支援コンサート
東日本大震災の被災地では、現在懸命の復旧作業が行われておりますが、復興への道のりはまだまだ始まったばかりでこれからが長丁場です。
また、放射性物質検出の報道以来、近隣農家の方々は風評被害によって生活に大きな打撃を受けておられます。
私たちにできることは、被災地の一日も早い復興を願うこと、被災者の方々へ熱い思いを届けることだと思います。
今回、このような思いを同じくする多くの方々が集結することにより、支援コンサートが実現できることになりました。
(演奏会パンフレットより)
この演奏会は、やはりドイツ人のRさんと関わりの深い尺八奏者の田嶋直士さんが主催されたものです。
田嶋さんは、エンジニアとして大手メーカーに勤めていましたが、虚無僧が吹く尺八本曲に出会い、20代半ばに会社を辞めて尺八の道に入られました。
吹奏の場を求めて全国行脚するなど修行を重ね、「直簫流田嶋会」を創設、洋楽との共演など新しい試みにも積極的にチャレンジし、国内のみならず海外公演を毎年行って高い評価を受けていらっしゃる方です。
もちろん、ドイツでも公演経験は多数あります。
ちなみに、この寺院は3年前、横浜市仏教会の涅槃会で会場となった寺院です。
会場には、新鮮な野菜が並べられています。
これらは震災で風評被害を受けている福島県産の野菜たちです。
地元農家からは次のようなメセージが添えられています。
この度の東日本大震災による東北地方太平洋沿岸地域は地震・津波の被害はもとより当地福島県は収束の見えない原発事故による復旧作業も進まない状況にあります。
また、農業面におきましても放射線等の問題もあり、丹精込めた野菜は大半が廃棄処分されるとともに、販売可能な品目についてもスーパーマーケット等からは福島県産は敬遠され出荷されても値がつかないなど、大打撃を受け、今後の再生産の意欲も失いかねない状況でした。震災後一ヶ月が過ぎ、当地も桜の開花とともに再起を目指し、一歩一歩前を向いて動き始めました。
尺八はヨーロッパでは Zen Music として親しまれています。
その源流は禅宗の一派である普化宗です。
そのようなこともあり、田嶋さん曰く、洞窟やさまざまなホールで演奏を行ってきたけれども、本堂で行う演奏会が一番しっくりとくるそうです。
シンプルな楽器ですが、そこから奏でられる音色はとても幅広いものです。
洗練された楽器であることを感じます。
来週から始まる声明のドイツ公演でも、このあたりに踏み込んでいけたらと考えています。
さて、今日のブログのタイトルは風評被害と先入観というものにしました。
日本の伝統音楽の評価が日本国内において必ずしも高くなかったり、理解されない原因の一つには先入観があると考えます。
同時に、日本のみならず世界中に広がっている福島県産(あるいは日本産)の農産物などに風評被害にも、先入観と無理解がその原因にあると思います。
風評被害とはどのようなことかを考えるに 「事件、事故、災害、汚染などの社会問題が報道されることによって、実際は安全とされる食品、製品、商品、企業などを、間違った認識により危険視し、消費行動や観光、取引を停止することによる経済被害 」といったことになるでしょう。
風評被害が風評被害となる前提には、「実際は安全とされる」という部分が重要になります。
安全とは何かを、科学的な根拠に基づいて確認されることが必要となります。
ですから
どこが(何が)安全で、どこが(何が)安全でないのかという明確な基準が必要なのだと思います。
それが分からないし明確でないから、余計に風評被害は広まっていくのです。
政府、自治体には、一定基準に基づいた緻密な測定を行っていただき、速やかに公開して欲しいものです。
そのことこそが風評被害を少しでも軽減させることに繋がるものだと考えています。
今回の記事は、今日直接ご相談した内容と、今まで色々と思いを巡らしてきた内容とが、一瞬線になった気がした内容でした。
>どこが(何が)安全で、どこが(何が)安全でないのかという明確な基準が必要なのだと思います。 それが分からないし明確でないから、余計に風評被害は広まっていくのです。政府、自治体には、一定基準に基づいた緻密な測定を行っていただき、速やかに公開して欲しいものです。
まさに上の一言に尽きると思います。
P.S.
TB、不適切だったら削除下さい。
投稿者 叢林@Net | 2011年6月22日 00:13
叢林@Netさま
風評の迷走、混乱が少しでも早く収まることを願っています。
投稿者 kameno | 2011年6月22日 23:19
ドイツまで気をつけて行って来てください。
わたしも、福島の農産物を応援してきました。
いわれなき風評被害から生産者を守るために
うちのブログでもキャンペーンをはってきました。
横浜市教育委員会が毎日調査している学校給食の食材からは
一件も放射性物質は検出されていません。
マスコミがそうした情報を流してくれれば、消費者にも安心してもらえると思うのですが、マスコミが流すのは、不安を煽るような情報ばかりです。。。
投稿者 袋田の住職 | 2011年6月25日 20:01
袋田の住職さま
食材に関しても、居住環境にしても、どこが安全でどこが注意すべきかを明確に提示して欲しいものです。
福島の豊かな農作物を生み出す農家の皆様を心より応援したいと考えています。
投稿者 kameno | 2011年6月26日 00:00