港南歴史散策の会@貞昌院歴史カフェ

港南区生涯学習支援センター『港南歴史散策の会』主催 地域を歩き歴史を学ぶ会が貞昌院を会場に開かれました。定期的にテーマを決めて行われています。
今日のテーマは「古都鎌倉」を中心とした三古道、特に鎌倉中ノ道を散策し、貞昌院にてお茶を飲みながら学ぶ、体験型の学習会です。
 

 
古道の歴史を辿ると、もともと、大化の改新(645年)当時の東山道(信濃路?碓氷峠?上野国邑楽郡?五宿駅?武蔵国国府「府中」への道があり、中世12世紀末、源頼朝が鎌倉幕府を開き、政治の中心が鎌倉になると鎌倉を中心とした鎌倉道が造られます。

この近辺では、腰越から都へ上る東海道が栄え、武蔵国でも上ノ道、中ノ道、下ノ道が整備されました。

上ノ道は、鎌倉化粧坂を越えて、藤沢・柄沢へを通り、瀬谷、原町田、関戸などを経て府中、入間、菅谷?上野国へ通じる道です。終点は奈良、京都です。

中ノ道は、鎌倉山内、鼬川、戸塚、二俣川、白根、川和、谷本、麻生、是政の渡、府中?奥州街道へ通じる道です。

下ノ道は、鎌倉山内、鼬川、宿谷戸、七里掘、弘明寺、保土ヶ谷、神大寺、新羽、駒林、小高、丸子、大井、豊島、中川?下総へ通じる道です。

このうち、本日、港南歴史散策の会で歩いた「中ノ道」は、この近辺では別名「早駆けの道」と呼ばれ、相模国鎌倉郡永谷村と舞岡とを分ける尾根道伝いの道であり、日限地蔵近辺で「下ノ道」と合流します。
「吾妻鏡」が元久2年(1205年)に記した「二俣川合戦」は、この「中ノ道」での戦いとして有名です。
鎌倉幕府は、源頼朝の死後、元治元年(1199年)北条時政ら御家人が権力を握り、頼朝の有力御家人排除を狙い、比企能員を初め、畠山重忠、和田義盛を倒し、御家人の統率権を握ります。
北条本家による執権政治の確立です。
畠山重忠は「鎌倉に異変あり」との一報により武蔵国菅谷より鎌倉に馳せ参じますが、一方、鎌倉では時政が「重忠謀反」との流言を出し、大軍を率い重忠討伐に向かわせます。
中ノ道、二俣川にて合戦となったのが「二俣川合戦」です。
重忠は、この合戦により戦死。
鶴ヶ峰薬王寺の六ツ塚は重忠一族を祀る墳墓と言われています。


港南歴史散策の会での散策では、午前中にこの中ノ道を歩き、午後からは貞昌院において地域の歴史を学びました。

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その中の資料で使った写真をご紹介します。
次の写真は、同一位置から同一方向を撮影した写真です。
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現在のイトーヨーカドー上永谷店の屋上近辺から西方向を撮影した写真です。
昭和40年前後の港南区における住宅開発の特長は、広大な面積を一気に造成し、街を一気に造る手法をとりますから、昔の面影が全くなくなってしまうということも珍しくありません。
昭和46年の写真に写っている山(貞昌院の裏山?日限山へ続く尾根)は、昭和50年代前半に削り取られます。
平成20年の写真を見ると、貞昌院の裏山の一部が見えますが、それ以外、山が全く無くなってしまっていることがわかります。
とても同じ場所とは思えません。
それゆえ、地域の歴史をきちんと残し、伝えていく作業はとても重要なことであるといえます。

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昭和46年

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平成20年


貞昌院を会場とした地域の学習会。
これから夏に掛けていくつか計画されています。

■7月26日(貞昌院施餓鬼会法要の日の夕刻=予定)
サイエンスカフェ in かながわ・貞昌院
『ロウソクの炎から宇宙を観る』
講師 亀野誠二(鹿児島大学准教授・天文学)
※当初8月9日とお知らせしておりましたが、変更いたします。

■8月9日夕刻
サイエンスカフェ in かながわ・貞昌院
講師 未定

■8月16日 9:30より
地域いきいき楽習
講師 亀野哲也(貞昌院副住職)
坐禅の後、『文化財に接する際のマナーを知る』体験学習
※親子20組程度を対象とします。
※この講座は永野小学校、永野小学校土曜塾実行委員会と貞昌院の協働講座です。
※永野小学校以外の親子も歓迎します。

投稿者: kameno 日時: 2008年6月 7日 21:37

コメント: 港南歴史散策の会@貞昌院歴史カフェ

環境以外に歴史も好きなので、お話とても興味深かったです。
以前住んでいたとことは新しい街でしたので、
こちらに越してきて由緒ある場所があちこちにあり、散策も一段と楽しくなりました。
地域にお寺を開放して、色々な講座をされていて、まさに現代の寺子屋ですね! 歴史カフェにサイエンスカフェ・・・命名もお洒落で素敵です。8月16日、実家に帰省しなければ参加してみたいです。

投稿者 asami | 2008年6月 8日 05:36

asamiさん
街を歩いていて、昔の人の生活の息遣いを感じるものを発見するとなんだか嬉しくなりますよね。
逆に、私たちは未来の人たちに何を遺していくことができるのでしょうか。
こちらへもどうぞお気軽に参加下さい。お待ちしております。

投稿者 kameno | 2008年6月 8日 12:04

4月から「港南歴史散策の会」に参加させて貰っていますが、6日の貞昌院副住職様の映像による説明で鎌倉古道と上永谷地区の開発の様子がよく判りました。
副住職様のパソコン技術には脱帽です。

投稿者 安藤博之 | 2008年6月 9日 17:12

安藤様
先日は貞昌院におこしいただきありがとうございました。
港南区エリアの人口は昭和25年から昭和60年に掛けて、一気に10倍に増加しています。
つまり、9割の方は新しく引っ越してこられた方ということになります。
地域の昔の歴史の伝承が如何に大切かがよくわかると思います。
まだまだ面白いことをいろいろと考えておりますので、どうぞお楽しみに!

投稿者 kameno | 2008年6月10日 01:13

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