曹洞宗 貞昌院 Teishoin Temple, Yokohama, Japan
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1 |
世尊は妙相を具(そな)えたまえり 我 今重ねて彼を問いたてまつる 仏子は何の因縁あってか 名づけて観世音と為るやと |
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妙相を具足したまえる尊は 偈をもって無尽意に答えたまわく 汝 観音の行の 善く諸(もろもろ)の方所に応ずるを聴け |
3 |
弘誓の深きこと海の如し 劫を歴(ふ)るとも思議(しぎ)せじ 多千億の仏に侍(つか)えて 大清浄の願を発せり |
4 |
我 汝が為に略して説かん 名を聞き及び身を見て 心に念じて空しく過ごさざれば 能(よ)く諸(もろもろの)の苦有るを滅す |
5 |
たとえ害の意を興して 大いなる火の坑(あな)に推(お)し落さんに 彼の観音の力を念ぜば 火の坑は変じて池と成らん |
6 |
或いは 巨海に漂流して 龍、魚、諸(もろもろ)の鬼の難あらんに 彼の観音の力を念ぜば 波浪も没すること能(あた)わじ |
7 |
或いは 須弥(しゅみ)の峯に在って 人に推(お)し堕されんに 彼の観音の力を念ぜば 日の如くにして虚空(こくう)に住せん |
8 |
或いは 悪人に逐(お)われて 金剛山より堕落せんに 彼の観音の力を念ぜば 一毛をも損ずること能わじ |
9 |
或いは 怨賊(おんぞく)に かこまれ 各の刀を執(と)って害を加うるに値わんに 彼の観音の力を念ぜば 咸(ことごと)く即(たちま)ち慈心を起さん |
10 |
或いは王難の苦に遭(あ)いて 刑せらるるに臨んで寿(じゅ)終らんと欲せんに 彼の観音の力を念ぜば 刀は尋(にわか)に段段に壊れなん |
11 |
或いは 囚えられ枷鎖(くびかせくさり)に禁せられて 手足に手かせ足かせを被らんに 彼の観音の力を念ぜば 釈然として解脱することを得ん |
12 |
呪詛(じゅそ)や諸の毒薬に 身を害せんと欲られん者 彼の観音の力を念ぜば 還(かえ)って その本人に著(つ)きなん |
13 |
或いは 悪羅刹(あくらせつ) 毒龍(どくりゅう)諸の鬼等に遇わんに 彼の観音の力を念ぜば 時に悉(ことごと)く敢(あ)えて害せじ |
14 |
若しは 悪獣に囲まれて 利き牙爪(きばつめ)の怖(おそ)るべきに 彼の観音の力を念ぜば 疾く無辺(むへん)の方に走りなん |
15 |
とかげ 蛇及び蝮(まむし)蠍(さそり) 気毒(けどく)の煙火の然(も)ゆるごとくあらんに 彼の観音の力を念ぜば 声に尋(つ)いで自ら廻(かえ)り去らん |
16 |
雲雷の雷掣(いなずま)を鼓し 雹(ひょう)を降らし 大いなる雨をそそがんに 彼の観音の力を念ぜば 時に応じて消散することを得ん |
17 |
衆生の困厄(こんやく)を被(こうむ)って 無量の苦身に逼(せ)まらんに 観音妙智の力 能く世間の苦を救う |
18 |
神通力(じんづうりき)を具足し 広く智の方便を修して 十方の諸(もろもろ)の国土に 身を現(あらわ)さざる刹(ところ)無し |
19 |
種種の諸(もろもろ)の悪趣(あくしゅ) 地獄鬼畜生 生老病死の苦 以(も)って漸(ようや)く悉(ことごと)く滅せしむ |
20 |
真の観(かん) 清浄の観 広大なる智慧の観 悲観及び慈観あり 常に願い常に瞻仰(あおぎみ)るべし |
21 |
無垢(むく)清浄(しょうじょう)の光あって 慧日(えにち)諸(もろもろ)の闇を破り 能(ことごと)く災いの風火を伏して 普(あまね)く明らかに世間を照らす |
22 |
悲体(ひたい)の戒は雷震(らいしん)のごとく 慈意(じい)の妙は大雲のごとく 甘露の法雨をそそぎ 煩悩のほのおを滅除(めつじょ)す |
23 |
諍訟(いさかい)して官処を経(へ) 軍陣の中に怖畏(ふい)せんに 彼の観音の力を念ぜば 衆(もろもろ)の怨(うらみ)は悉(ことごと)く退散せん |
24 |
妙音なる観世音は 梵音(ぼんのん)なり海潮音(かいちょうおん)なり 彼(か)の世間の音に勝(すぐ)れたり 是の故に須(すべから)く常に念ずべし |
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念念に疑いを生ずること勿(なか)れ 観世音なる浄聖(じょうしょう)は 苦悩と死厄(しやく)に於いて 能(よ)く為に依怙(えこ)と作(な)れり |
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一切の功徳を具して 慈眼をもって衆生を視(み)る 福聚の海は無量なり 是の故に応(まさ)に頂礼すべし |
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爾の時に持地菩薩 即ち座より起って、前んで仏にもうして言さく 世尊 若し衆生有って |
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当に知るべし 是の人の功徳少からじ 是の観世音菩薩品の自在の業 普門示現の神通力を聞かん者は |
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仏 是の普門品を説きたもう時 衆中の八万 |
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四千の衆生、皆無等等の阿耨多羅三藐三菩提の心を発しき。 |