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2019年10月19日
毎年、東京の葬祭マネジメント学科のある専門学校で講義をさせていただいております。
︵各宗派の講義があり、今月は曹洞宗担当︶
2011年度から担当させていただいており、今年9年目に入りました。
受講生のほとんどが葬祭関連に従事する予定なので、葬祭業者と寺院・僧侶の連携を中心に、仏教の一般的なお話を取り混ぜて講義させていただきました。
■葬祭事業者として働く方へのお願い
︵1︶人の最大の出来事︵生老病死︶として、故人と喪家に対して心を込めて対応して欲しい。
︵2︶宗教性︵各宗派の教義、地域の風習︶への理解と、司祭者︵導師︶とともに、厳粛な葬儀執行をお願いしたい。宗教性の中心に入り込むことは避ける。
︵3︶正しい情報の提供とアドバイス。
喪家が菩提寺を持っているかの確認を確実に行い、早期に菩提寺に連絡を行って欲しい。
近年、寺院を持たない、葬儀だけを執行する僧侶があり、その後の法事や埋葬の面倒を見ないということによるトラブルが多くある。
葬儀の意味を捉え、むやみに簡略化しない。
︵4︶信頼のおける関係業種との絆を大切にして欲しい。寺院、住職との普段からの意思疎通など。
同じ仏教でも、インド・中国・日本の考え、また日本の中でも宗派によって死後の世界観は異なります。
どのような違いがあり、また、自分はどのように考えているのか、他の人はどのように考えているのかを話し合ってみるのも面白いことですね。
講義の最後には、特にここ数年で葬祭を取り巻く環境が大きく変わりつつあることをお話いたしました。
少子高齢化や地域の過疎化ももちろんその一因ですが、それに拍車をかけているのがマスコミの影響だと感じます。
伝統的と思われている葬祭儀礼は、実際には時代とともに変遷してきました。儀礼のありようは変化するものです。
その中で、いかに有用な情報を発信していくことができるか、また、施主さんとどのように向かい合っていくことができるかが重要になりましょう。
寺院と葬祭業者がおたがい信頼関係を築いていくことも大切なことです。
■これからの葬祭事業に思うこと
従来の死に臨んでの告別披露、弔問外交、格式の誇示などのような葬儀の形態は消滅した。
また、かつて近所、講中で世話役を中心に行ってきた葬儀、葬列などもほとんど見られなくなった。
合理的に、かつスリムに経費を削減した質素な形式の葬儀が増えていくであろう。
通夜無しの一日葬、炉前のみ、戒名無し、無宗教、散骨など、時代の変遷により様々な選択肢が増え、加速化される中で、生前に関ってきた家族、親族、職場、地域社会との縁を簡単に省略化してよいものかどうかも考えなければならない。
魂としての﹁いのち﹂と遺された者へのグリーフケアをどのようにするべきなのか。それを考えた時に、真の安らぎを求める道について、関係する業種に従事する人は真摯にとりくんでいく必要があろう。
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講義の後、紙にびっしりと書き込まれた感想文をいただきました。
いただいた感想はとても参考になります、本当にありがとうございました。。