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2019年2月26日
なぜカルピス?語源と歴史 ことしで誕生100周年
子どものころから多くの人が慣れ親しんだ﹁カルピス﹂。それもそのはず、2019年、カルピスは誕生から100周年を迎える。
21日、俳優の竹野内豊さん(48)、女優の長澤まさみさん(31)、永野芽郁さん(19)が記念イベントに花を添えた。
長澤まさみさん﹁カルピスウォーターは青春というのがテーマだと思うので、青春の味という感じ﹂
永野芽郁さん﹁皆さんの青春の中にカルピスを広めていけるよう、わたしも頑張りたい﹂
イベントでは、カルピスが出てくる“蛇口”が登場。
1番テンションが上がったのは...
竹野内豊さん﹁こんな蛇口あったら最高ですよね。学生の時は、水は蛇口から飲むのが当たり前だったけど、カルピスが出てくる蛇口があったら最高﹂
竹野内さんも青春時代を思い出したようだった。
ところで、当たり前のように口にしている﹁カルピス﹂という名前。100年前から変わっていないのだが、その由来は?
もしかして、﹁カルシウム﹂と﹁ピース﹂から?
アサヒ飲料株式会社 マーケティング本部・佐々木健さん﹁カルシウムの﹃カル﹄と、サンスクリット語の﹃サルピス(仏教の五味の熟酥)﹄を組み合わせて、﹃カルピス﹄という名前になっています﹂
なぜ仏教の言葉から名前がとられたのか。
それは、カルピスの生みの親・三島海雲さんが元々、僧侶だったことにある。
その三島さんが、モンゴルを旅行中に出会った乳酸食品にヒントを得て、1919年7月7日に生まれたのが、日本初の乳酸菌飲料﹁カルピス﹂だった。
発売当時のビンは、底の方が膨れた形状で、箱のデザインも当時としては斬新なものだった。そして、その3年後、1922年には、おなじみの水玉模様の包装紙に包まれた細めのビンになった。
甘酸っぱいカルピス独特の味わいを“初恋の味”と表現したキャッチフレーズも、このころから使われていた。誕生から1世紀、氷を入れたグラスにカルピスの原液を入れて水をそそぐその情景は、日本の夏の風物詩として定着している。
︵yahoo!ニュース 2019/2/21配信︶
今年はカルピスの誕生から100年の節目の年ということで、さまざまな記念イベントが行われているようです。
それだけ永く愛されてきた飲料ですが、その名前の語源は仏教に深く関連があるものでした。
記事にあるように、﹁カルピス﹂は、カルピスの生みの親、三島海雲師がモンゴルの遊牧民が作る乳酸食品と出会い、その乳酸食品をもとに新しい乳飲料を開発する課程で大正8年に誕生しました。
ここで、三島海雲師が出会ったモンゴルの遊牧民の作る乳酸食品はどういうものかというと、恐らく﹁ウルム﹂のようなものではないかと思います。
以前、私もモンゴルを訪問した際に︵詳細はブログ記事 幸せって何だろう 参照︶、ゲルに住む遊牧民の方からいただいたことがあります。
これがその時の﹁ウルム﹂です。
ゲルの中の台所には冷蔵庫が無いために、ヤギから絞られた乳は直ぐに火にかけられ、煮沸させます。
それをかき混ぜながら作る乳製品が﹁ウルム﹂のもとになります。いわゆる乳製品でつくるクリーム状のバターのようなものです。
沸騰する直前に小麦粉などを加え、柄杓でかき混ぜたり鍋の上から注いだりを繰り返し、泡が立ち始めるころに火を弱め、表面に出来た黄色い脂を集めてお皿に乗せます。
このウルムは、時間が経つにつれて次第に発酵していきます。
このように、生乳が精製される段階は﹁5段階﹂に区分され、それぞれ
1.乳︵にゅう︶
2.酪︵らく︶
3.生酥︵せいそ︶
4.熟酥︵じゅくそ︶ सर्पिस (sarpis)
5.醍醐︵だいご︶ सर्पिस मण्ड (sarpis maṇḍa)
と呼ばれ、これらを仏経用語で﹁五味﹂とされています。
この五味は、お釈迦様の成道の際に、ネランジャラー河の岸辺で村娘が作ってくれた﹁乳粥﹂と深いかかわりがあります。
約2500年前、19歳で出家修行されたお釈迦様は、インド各地を巡り様々な思想を学びましたが、どの教えも彼を満足させることはありませんでした。
その後、修行仲間とともに体を痛めつけたり断食をする苦行を行じますが、それでも悟りに至ることは無く、苦行の無意味さに気づき苦行を中断します。
ネランジャラー河の岸辺で村娘が作ってくれた﹁乳粥﹂を施され、そのままガヤの菩提樹の下で坐禅を組み禅定に入ったお釈迦様は、禅定を妨害する魔物たちをことごとく調伏し、12月8日未明ついに悟りを開かれます。
下写真は、私が1991年にインドを旅行したときに撮影した﹁ネランジャラー河から見たブッダガヤのマハーボーディ寺院大塔﹂です。
中央に見える大塔は、高さが52mもあります。
大塔の近くに、お釈迦さまが悟りを開かれた菩提樹と金剛座がありました。
お釈迦様の成道になぞらえた臘八攝心坐禅の最後の早朝、五味粥をいただくのですが、この五味粥をいただくたびに、モンゴルでいただいた栄養たっぷりの﹁ウルム﹂を思い出します。
そして、その﹁ウルム﹂が﹁カルピス﹂の由来になっていることも感慨深いものです。
カルピス生誕100年おめでとうございます。