東北電管内、使用率95%に…追加融通分含め
東北電力管内で6日、最大電力使用量が1148万キロ・ワットに達し、供給力1158万キロ・ワットに迫ったため、急きょ50万キロ・ワットの追加融通を東京電力から受けた。
4日から既に東京電力から30万キロ・ワットの融通を受けており、2日連続で自前で管内の使用量をまかなえない事態となった。
東北電力によると、この日は最大需要を1080万キロ・ワットと予想していた。ところが、気温が上昇して増加が見込まれたため、50万キロ・ワットの追加融通を受け、1208万キロ・ワットの供給力を確保した。
当初の供給力に対する電力使用率は99・1%で、追加の融通分を含めた供給力に対する使用率は95・0%となった。追加融通を受けなかった5日の使用率は97・7%だった。
東北電力は、日曜日の7日に電力融通を受けないが、週明けの8日から再び、東電から30万キロ・ワットの供給を受ける。東北電力は、水力発電所が豪雨などで100万キロ・ワットの供給力を失っており、復旧を急いでいる。.
︵読売新聞 2011年8月6日︶
東日本大震災により、太平洋沿岸部の主要な発電所が被害を受け、また福島第一原子力発電所の事故をきっかけにした各所の原子力発電所の運転停止により、日本の電力供給が需要に追いつかなくなる事態が発生しています。
特に、3月末から4月にかけて行われた東京電力管内の計画停電では社会全体に大きな影響が発生しています。
一年を通してみると、電力需要のピークは夏にやってきます。
︵出典‥﹁原子力・エネルギー﹂図面集 2007 1-21 電気事業連合会資料より引用︶
例年は7月後半、特に小中学生が夏休みに入る頃の7月20日前後に電力需要のピークがやってきます。
今年の夏は、産業界、各家庭で行われた節電対策と、﹁涼しい夏﹂で推移したために7月に電力需要が逼迫することはありませんでした。
ところが、8月に入ってからは東北電力管内で電力需給の状況が厳しくなっています。
特に7月下旬の新潟・福島豪雨により、新潟、福島両県内の実に29か所もの水力発電所が停止してしまいました。
このために東北電力管内の電力供給力が100万KWほど減少しています。
さらに暑い夏がやってきたために電力需要が増え、東北電力の発電所だけでは賄えない事態が発生し、8月4日から東京電力から30万KW︵8月5日にはさらに50万KW︶の電力を送ることでようやく凌いでいます。
一日も早い水力発電所の復旧を望みます。
明日は週明けとなります。月曜日以降、産業界の電力需要が増えるころ、お盆の前後に猛暑が重なった場合には夏の計画停電も現実的になりました。
東京電力管内も、これまで産業界、各家庭で行われた節電対策と、﹁涼しい夏﹂により多少の余裕がありました。
そのおかげで東北電力に電力を融通することができていますが、冷夏が続くとも限りませんので今後はどうなるか分かりません。
今年と、あと数年の間は夏の節電対策を継続する必要がありそうです。
ところで、節電のありかたについて、例えば﹁各家庭に15%の節電要請﹂という文言があったとすると、全ての期間、全ての時間帯で節電を行わなければならないという誤解がありますが、そんなことは決してありません。
冒頭の﹁一年間の電気の使われ方の推移﹂のように、月別に電力需要をみると、1年を通しても電気の使われ方に大きな変化があります。
夏と冬に需要のピークが来るのですが、エアコンの普及により、特に夏のピーク増大が著しいことがわかります。
冷暖房需要の少ない春・秋とでは大きな格差が生じています。
さらに一日の電力需要の推移を見ると
︵出典‥﹁原子力・エネルギー﹂図面集 2007 1-21 電気事業連合会資料より引用︶
このように、電気の使われ方は昼と夜で大きな差があり、その差はエアコンの普及とともに年々増加傾向があります。
従って、電力需給が逼迫するのは、一日のうち数時間のみです。その数時間が何処に来るかは日によって変化します。
ですから、電力会社より発表される毎日の電気予報でその日の電力消費量が供給量に対しどの程度かを注視して、電力需給逼迫が予想される時間帯に重点的に節電を行えば、それ以外の時間帯は平時の生活でまったく構わないと考えます。
特に夜間の電力供給は余裕があります。
熱帯夜で寝苦しい場合には昨年同様にエアコンを使っても全く問題はないでしょう。
照明を白熱電球→蛍光灯型電球→LEDに換える、節電型の家電に換える、スイッチをこまめに切るといったベースの電力を抑えることと併せて、無理の無い節電を効率的に行うことが大切なことと考えます。
蛇足ですが、電気は、貯めておくことができないエネルギーです。そのため発電所は需要のピーク、最大電力に合わせて設計されます。
季節や時間帯により電力需要が大きく変化すると、発電設備の利用効率が下が、結果として電気のコストが割高になります。
ピーク需要量が抑えることにより、電力会社は余計な発電所設備を作る必要がなく、結果的に電気料金を下げることになります。