« SZI主催大本山總持寺講演会 |
最新記事
| IPアドレス枯渇解消へ »
2011年6月 6日
東日本大震災‥津波でぬれた書類 160万ページ分乾燥
従業員10人の中小企業が、カップラーメンを製造する真空凍結乾燥法︵フリーズドライ︶の技術を使い、東日本大震災による津波で水にぬれた重要書類を乾燥させている。法務局が保管している土地台帳や大手企業の契約書、特許文書などが多く、乾燥させた書類は、約2カ月間でA4サイズ換算で約160万ページ分にも上る。
奈良市の﹁関西保存科学工業﹂︵樫根烈=いさお=社長︶。90年に創業し、乾燥作業だけでなく乾燥機も製造。文書や文化財の保存に特化して、奈良文化財研究所︵同市︶に文化財用としては世界最大の乾燥機︵直径1.6メートル、長さ6メートル︶を納入。木簡や井戸枠などの保存に活躍している。04年のスマトラ沖大地震時も、同型の乾燥機をインドネシアのアチェ州に納めた。
機械内で書類を氷点下40度に凍結させ、機械内部を真空状態にすることで、水分を固体から一気に気体にして飛ばす。常温で液体から水分を蒸発させると紙がくっついたり、表面が反ったりするが、真空凍結乾燥法では、大量の紙を1枚ずつバラバラにして乾燥できるという。
(毎日新聞2011/5/30より記事と写真を引用)
東日本大震災では、本州太平洋沿岸部の広い範囲で津波により、重要な文書類、文化財に被害が出ました。
貴重な文化財を如何に救うことができるかという問題も、時間との戦いです。
特に、塩水やヘドロに浸かった書類は、紙同士がくっついてしまい、その修復はかなり困難を極める作業であることが想像できます。
被災した文書を復元するために、埋蔵文化財の宝庫、奈良県の企業、西保存科学工業のフリーズドライ技術が活躍しているそうです。
西保存科学工業は、遺跡から発掘された木材や布、腐蝕が進行した金属などから復元、保存を行うことに特化した企業で、その分野では追随を許しません。
まさに世界最先端の文化財保存技術をもつ会社といえます。
日本国内の文化財保存用機械は、ほぼ全てが、西保存科学工業社の製品だそうです。
市民生活を支える公文書、そして地域の文化を伝承する文化財を救出するという重大な役割を担っている、日本の技術力はこのようなところにも生かされているのですね。
■関連リンク
関西保存科学工業
宮城歴史資料保全ネットワーク
東京文化財研究所