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2011年3月25日
There's an old folk warning that if you throw a frog in boiling water he will quickly jump out. But if you put a frog in a pan of cold water and raise the temperature ever so slowly, the gradual warming will make the frog doze happily . . in fact, the frog will eventually cook to death, without ever waking up. |
イギリスの人類学・社会学・言語学者、グレゴリー・ベイトソン(Gregory Bateson︶が紹介した有名な寓話です。
蛙を熱湯に放り込むと、熱さに吃驚して蛙は直ぐに飛び出します。
しかし、水の中に入れて、ゆっくりと加熱していくと、蛙は水温が上がっていることを感じ取ることができずに、茹で上がって死んでしまうというものです。
状況を的確に捉えて対応することができず、遅々として入る情報に対処療法的にしか対応できない組織と、それに属する人の心理を説いたものです。
何とかなるだろう、たぶん大丈夫・・・事実の深刻さに気付くのに時間がかかり、気が付いた時には手遅れになってしまうという警鐘です。
日本人は世界各国より大震災の際も﹁冷静でパニックを起こさない﹂﹁怒鳴り合いもけんかもない﹂﹁本当に強い国だけがこうした対応ができる﹂と報道されています。
とても素晴らしいことだと思います。
誇るべきことでもあります。
しかし、それゆえの短所もあります。
﹁何とかなる﹂﹁喉元過ぎれば暑さ忘れる﹂﹁長いものには巻かれろ﹂﹁皆で渡れば怖くない﹂・・・・
本当はとても深刻な状態なのに、その事象を少しづつ悪化しているような捉え方をしたり、オブラートに包んだような表現をしたり、すぐ身近まで迫って来ないと気が付かない。
そして気付いた時にはもう手遅れ。
そうならないことを願います。
政府が世論に押されてようやくSPEEDI︵緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム︶の被曝予測図を出したのは3月23日になってからのことです。
つまり予測ではなく、事後発表。
事故発生から一週間ほどの東電、政府、原子力保安員の記者会見を改めて振り返ると、それらが適切だったかどうか疑わしいことも多い。
海外ではいち早く被曝予測を行って公表しています。
例えば、一週間も前にワシントンポスト紙で出されていた潜在被曝予想図、フランス原子力安全研究所の拡散予想、オーストリア気象台の拡散予想、ドイツ気象台の拡散予想 などなど。
海外メディアは早い段階から詳細に分析し、その結果を踏まえて今回の原発事故はスリーマイルでの事故を超えてレベル6と報じています。
対し、政府は、最初はレベル4、その後レベル5に引き上げ。現在ようやくレベル6への引き上げを検討中としています。
事故の重大さを適切に捕らえ、迅速な事後対応が適切に行われていれば、事態が深刻かつ長期化しなかった可能性があります。
原子力発電所への対応が障害になり、政府がなかなか被災地復興に全力を注げない状況にも、もどかしさを感じます。
今一度、災害復興に立ち向かう体制をきちんと見直す時期ではないでしょうか。