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2010年10月 3日
来年7月に予定されている地上デジタル放送への完全移行が大々的に宣伝されています。
家電エコポイントの効果もあいまって、テレビの売れ行きが好調なようです。
売れているテレビはほぼ液晶テレビが100%。
ブラウン管テレビから液晶テレビへの入れ替えが進んでいます。
ということは、不要になったブラウン管のテレビが大量に排出されるわけで、リサイクル業者の倉庫はこのように大量のリサイクル待ちの家電であふれていました。処理しても処理しても次から次へと運び込まれてきます。
エアコン室外機も大量に持ち込まれていますね~
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一旦話が脱線しますが、家電リサイクルによって古いブラウン管テレビをリサイクルする場合、3000ポイントのエコポイント︵税金からのプレゼント︶が付きます。
大抵は、新型テレビを買った家電量販店や電気屋さんに引き取ってもらうことでしょう。
家電量販店や電気屋さんに引き取ってもらうと、リサイクル料+指定引取場所への運搬費が加算されますから5000円前後の請求となります。
もしもテレビの運搬が可能であれば直接 指定引取場所 に持って行ったほうがオトクです。
手続きは簡単。
郵便局の窓口で﹁家電リサイクル券﹂を請求し、その場でリサイクルするテレビのメーカー名と画面のインチ数に基づいたリサイクル料を振込みます。
振込印の押されたリサイクル券とテレビを 指定引取場所 に持ち込めば、それで終わりです。
例えば、14インチテレビをリサイクルした場合は郵便局に1785円の振込。これで3000円分のエコポイント︵税金からのプレゼント︶がもらえます。 運搬の部分を自分で行なうことによって、3000円程度の運搬費を浮かすことができ、1215円余計に税金からのプレゼントが貰えるのです。
これからブラウン管テレビを排出する予定の方は、是非ご自分で持ち込むことをお薦めします。
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さて、話を元に戻します。
家電リサイクル法では、業者に対し廃棄されたブラウンガラスの55%を再資源化することが義務付けられています。 ︵ブラウン管テレビの重量の大部分はブラウン管ガラスの重量です︶
このブラウン管ガラスが曲者です。
ブラウン管の仕組みは、電子銃により加速された電子を蛍光体にぶつけることにより光が発生するというものです。この光が発生したときに付随してにエックス線が発生してしまいます。ブラウン管の宿命ですね。
発生したエックス線が視聴者に届かないようにするために鉛入りのガラスを使って防御しているのです。
ブラウン管CRTを日常使っているオフィスでは、﹁防磁エプロン﹂を着用することが義務付けられました。これもエックス線を含む電磁波対策の一つです。
このようにエックス線対策のためにブラウン管のガラスには、15~25%の鉛が含まれています。
リサイクルする際に、ガラスから鉛を取り除くことが出来れば良いのですが、簡単にはいかないようです。
結果、ブラウン管ガラスはブラウン管としてしか再資源化できません。
日本では既にブラウン管テレビは殆ど生産されていませんから、家電リサイクル法に基づくリサイクル率を達成するためにアジア新興国への輸出に頼るしかなくなります。
厄介者を海外に押し付ける仕組みはどうかと思いますし、またアジア新興国でもブラウン管離れが進んでいますので、今後大量に発生する鉛ガラスの処理方法が問題となりそうです。
︻格言︼ 地デジ対策はブラウン管テレビから液晶テレビへの置換えとは非なることを知るべし。
︻要望︼ 家電メーカーには是非地デジに対応した薄型ブラウン管テレビを生産して欲しい。
廃棄されたブラウン管ガラスの有効利用にはこれが一番。
■蛇足
鉛入りガラスは、意外にも身近なところでも使用されています。
特に、食器として使われているということはあまり知られていないと思います。
一番の顕著な例は﹁クリスタルガラス﹂です。
そもそも、クリスタルガラスの定義そのものが酸化鉛の含有率により決まっています。
酸化鉛の含有率が30%を超えるガラスが﹁フルレッドクリスタル﹂︵レッドlead=鉛︶、酸化鉛の含有率が24%を超えるガラスが﹁レッドクリスタル﹂と定義されています。
鉛の含有量が上がるほどガラスの透明度と屈折率が高くなり、高級感が増します。
また、鉛により比重が大きくなり、ガラスを弾いたときに良い音が出るため、よく、ワイングラスを弾いて独特の音を楽しむ方がいらっしゃいますが、良い音がするほど鉛が多く含まれているということです。
その鉛の含有率はブラウン管のそれを超えるということも知っておくべきでしょう。
もちろん、ガラスに酸化鉛として封印されている分には人体には影響はなさそうですが、美しいものには﹁毒﹂があるということです。
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