普天間移設で首相﹁今月中に決断﹂ シュワブ陸上1500メートル滑走路軸に調整
米軍普天間飛行場︵沖縄県宜野湾市︶移設問題をめぐり、鳩山由紀夫首相は4日夕、首相官邸で記者団に﹁できるだけ早く決めたい。3月中のいずれかの時点に政府の考えをまとめなければならない﹂と述べ、3月中に政府案をまとめる考えを表明した。5月末までとしてきた決着時期も前倒しとなる公算が大きい。政府は、米軍キャンプ・シュワブ︵同県名護市︶沿岸部に移設する現行案に代わり、シュワブ陸上部に1500メートル級の滑走路を建設する﹁陸上案﹂を軸に最終調整を進める。複数の政府関係者が明らかにした。
これに先立ち、平野博文官房長官と北沢俊美防衛相は2日夜、都内でルース米駐日大使と会談した。平野氏は会談で﹁現行計画は困難な情勢になった﹂と述べ、陸上案を正式に提示したという。
ルース氏は﹁現行案が最善だ﹂との考えを重ねて表明した上で、陸上案については﹁今週末に米本国で協議する﹂と含みを残した。もう一つの代案であるシュワブ陸上部に500メートルのヘリコプター離着陸帯を建設する案は拒否した。
会談でルース氏は﹁できるだけ早く﹂︵アズ・スーン・アズ・ポシブル︶と速やかな決着を強く求め、これが首相の﹁3月﹂発言につながったようだ。
1500メートル滑走路ならば、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの発着も可能となる。ただ、周辺集落に騒音被害が生じるため、訓練地を沖縄県内の伊江島、下地島、九州全域の自衛隊基地に分散することも検討している。
︵産経ニュース・2010/3/5︶
普天間基地移設を巡って新連立政権の方針が揺れ動いています。
都市の真ん中にあり最も危険な基地と言われる普天間基地の移設は﹁抑止力を維持しつつ、県民の基地負担を軽減する﹂という在日アメリカ軍再編計画の重要な目的の一つです。
現行案では2006年に日米合意した﹁在沖縄海兵隊の約8,000名と、その家族約9,000を部隊の一体性を維持する形で2014年までにグアムへ移転すると共に、普天間飛行場代替施設を辺野古キャンプシュワブ沿岸部にV字型の完成を目標とする﹂とされていました。
しかし、政権交代により白紙となり、新連立政権各党の思惑が交差し迷走状態となっています。
これまでに報道されている各案を表にまとめてみました。
| 内容 | 長所 | 短所 |
現行案 | キャンプシュアブ沿岸部に1800m滑走路 | 日米で合意、県知事も条件付容認 | 海面埋立による環境破壊、工事反対運動 |
政府有力案 | キャンプシュワブ内陸部に500m級滑走路 | 海面埋立不要 | 普天間代替滑走路がない |
政府有力案 | キャンプシュワブ内陸部に1500m級滑走路 | 海面埋立不要。滑走路確保 | 集落が近く騒音、事故の危険性 |
国民新党案 | 嘉手納基地に統合 | 新基地建設が不要 | アメリカが飛行機とヘリ併用に反対 |
社民党案 | グアムに国外移設、又は県外・大村航空基地など | 沖縄の軽減負担 | 海兵隊と地上部隊が離れ有事に即応できない |
その他 | キャンプハンセン | 新基地建設が不要 | 集落が近く騒音、事故の危険性 |
その他 | ホワイトビーチ・津堅島 | アメリカ側に一部肯定意見 | 海面埋立が必要 |
先延し案 | 普天間飛行場を継続使用 | | 解決先延ばし |
鳩山首相は冒頭のニュースにあるように、3月中のいずれかの時点で政府案をまとめることを表明しました。
どのような落とし所になるのか注目されます。
さて、この問題を解決するための私案を提示してみたいと思います。
それはテニアン島ハゴイ飛行場跡地を米軍普天間飛行場代替地とし、グアム島及び嘉手納基地と統合的に運用、そして自衛隊・海上保安庁を拡充させる という案です。
テニアン島は隆起珊瑚礁からなる平坦な島であり、北部にはアメリカ軍が旧日本軍の飛行場を拡張して建設した飛行場跡地があります。
︵対し、サイパン・グアムは比較的起伏が大きく平地が少ない島です︶
サイパンからテニアンにセスナで渡った際に上空を通過しました。
右方向が北です。
東西に貫く4本の滑走路が見えます。
うち、南側2本の滑走路はジャングルの木々に覆われてしまっています。
︵一番北側の滑走路の北部に見える空地が原爆をB-29に搭載したピットのある場所です︶
このように、現在は一部草木に覆われてしまっていますが、4本の8590ft(2590m)級の滑走路があるのです。
滑走路の周辺には住居は無く、手付かずのジャングルが広がっています。
使われていない滑走路を自由に車で走ることも出来ました。
現状は砂利の滑走路ですが、とてつもなく大規模な滑走路であることが判ります。
走りたい放題です。
2500メートル級の滑走路は実に広大だと実感します。
これまでに、在沖縄海兵隊のグアム移転費のうち60.9億ドルを日本政府が負担して海兵隊8,000名、その家族9,000名をグアムに移転することが決っています。現行の再編計画ではテニアンは海兵隊の訓練地とも位置づけられています。
とすれば、グアムに近いテニアン島に4本の8590ft(2590m)級の滑走路を持つ設備が整備されれば一体運用もできるというメリットが生まれます。
さらに、テニアンのデラクルス市長も基地機能の移設受入れに前向きな姿勢を示しています。
新たな空港建設、造成や埋立ての必要が無いために膨大な費用が削減できます。
現存施設を活用するために環境への負荷も抑えられるでしょう。
そして、削減できた予算を自衛隊並びに海上保安庁に配分し、沖縄空港の自衛隊及び海上保安庁関連施設を沖縄周辺に手厚く配置することが必要でしょう。
︵この自衛隊、海上保安庁に手厚くというあたり、今の連立政権、特に社民党ではムリでしょうね?︶
以上のことにより、テニアン移設案が最良案となるような気がします。
また、テニアン周辺に落とされた予算により、荒れ放題のまま放置されている﹁戦跡﹂の保存を進めることができれば一石二鳥でもあります。
何よりも普天間基地の跡地に沖縄全体が経済的に潤うような施設が設置され、一刻も早く街の安全が取り戻されることを切に願います。
礒貝様
国境問題を曖昧にして先送りするから問題が複雑化するわけで、早いところ明確にして欲しいものです。
この問題については当記事とは主旨がずれていきますのでこの辺で。
投稿者 kameno | 2010年3月 7日 17:03
そうなんですよねぇ
泉湧き出る良い土地だったようですね。
投稿者 kameno | 2010年3月 7日 19:53
お
投稿者 芹が谷の犬雄 | 2010年3月17日 06:01
カメノ様がおっしゃるようにテニアンはグアムに近いために米軍にとっても使いがってがよく、付近に住民がいないと言う点で日本にとってもメリットが有ります。しかしそれにも関わらず日米ともにテニアン案に対して進捗がありません。ここにはなにか原因があると考えられないでしょうか? そこでブログの中でも触れられていらっしゃる﹁海兵隊と地上部隊が離れ有事に即応できない﹂とうテニアン案のもつデメリットについて検証する必要があると思います。 そもそも今回の米軍再編成の一環としてアメリカは16000人の在日海兵隊の内、ヘリ部隊等の主要戦力を含めた8000人をグアムに移すとしています。これは日本のマスコミがほとんど報じないところで、報じるとしても司令部中心という政府の発言をそのまま伝えることに終止しているようです。 もしアメリカが主要部隊を含めた撤退をするとするならば、現時点で普天間にかわる新たな飛行場は必要ないのではないかと言う可能性が浮上します。この点に関しては素晴らしいブログ記事が有るのでコチラを参照してください。
[えっ、普天間の海兵隊ヘリ部隊がグアム移転するんだったら、県内移設って必要ないんぢゃない?] http://miyagi.no-blog.jp/nago/2009/12/post_d4d9.html このブログによればアメリカは﹁いつでも使える基地を残したままの形だけの撤退﹂をすることで、むしろ沖縄の基地化を永久化しようと言うのがその真意のようです。 この点から考えるとアメリカがテニアン案に同意する可能性は皆無です。外交には相手ありきと言う当然過ぎる原則を忘れてはなりません。 とするならば先程の﹁指導部中心﹂という政府の発言は一体どういう事なのでしょうか?ここから導き出せるのは理由は一つしか無いように私は思います。 すなわち政府はアメリカの意志をうすうすわかっているにも関わらず、国民を納得させることができないがために、さも海兵隊の主力が沖縄に残るように見せかけることによって国民の新基地への反発を抑えようとしているのではないでしょうか。 これは密約と考え合わせれば納得が行きます。 ﹃一体これまでの政府や官僚は、うそで何を塗り固めようとしたのだろうか。 密約を結んだ当時は、米ソ両大国が真っ向から対決していた。国内では安保問題が与野党の激突する対立軸だった。 報告書でも﹁冷戦下における核抑止戦略の実態と日本国民の反核感情﹂の板挟みとなった政府が不正直な説明に追い込まれていった―と総括している。 密約のフタを開ければ、政権が吹っ飛ぶ。当初はそんな﹁おびえ﹂があり、国際情勢が変わっても責任逃れでずるずるひた隠しにするしかなかったのだろう。﹄ 中国新聞
この構造は政権が変わった今でも全く変わらなかったと言うことができるでしょう。つまり北朝鮮から中国、中東までを見据えたアメリカの戦略の為の必要と日本国民の反基地感情がぶつかっているのです。しかし政権にはアメリカの真意を国民に暴露するだけの勇気はない。国民にもアメリカの世界戦略と対立する覚悟はない。それゆえ政府の杜撰な言い訳に乗っかっていくのです。
まずこの件については報道がいい加減すぎます。朝日流の﹁憲法九条﹂も、読売式の﹁地方選挙に左右されてはならぬ、国際協調が大切だ﹂も社民党の﹁国外﹂も、すべてアメリカの存在を無視したものと言えるでしょう。アメリカもそのことはよくわかっているはずです。アメリカはどうせ日本人に決断をすることはできないから我々の有利な方向に進んで行くだろうと踏んでいることでしょう。
つまりだれもアメリカを見ていません。アメリカに対して日本がどうあるかを直視している人間がどこにもいません。
問題は日本がアメリカの戦略に乗るか乗らないかということただ一つのはずです。乗るのなら乗るでアメリカが基地をいつでも使えるように積極的に便宜を図らなければなりませんし、国民もそのことを明確に自覚しなければなりません。乗らないのであればフィリピンのように国運をかけて米軍を追い出すべきでしょう。 いつまでも責任を負わない子供であることはできません。米軍に協力しながら戦争はしないといって中東にもいい顔をするようなことはもう通用しなくなるでしょう。今後世界の中に埋もれて行くアメリカはますます日本に大きな負担を要求するようになるからです。 すぐに決断しないにしても論点はここにあるべきなのです。このこと、アメリカとともに市場の治安を維持し、中東の人に恨まれ、中国とアメリカが対立したときも真っ先に攻撃されるのが日本だと承知した上でアメリカに付き合うか、それともアメリカの戦略を否定して断固として米軍を追い出す方向で行くのか。このことだけが論点であるべきです。このことに対する態度によって初めて移転先がどこになるかと言う議論がようやく始まります。
どうやら今回の政権交代はまさに政治家お灸を据えただけだったようです。顔ぶれが変わっただけでした。結局誰も本当のことを見ようとしない。まずはアメリカを直視すること。日本人はまずここから始めないといけないようです。 日本が異常と言えるのはこのようなときにそもそも日米安保は正当かどうか議論することがタブーになってしまうところですね。とても日本的だと思います。 投稿者 犬雄 | 2010年3月17日 06:09
南の島が危ない 陸自配備の兆しなし︵産経新聞2010/3/15︶ http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100315-00000022-san-pol
日本は国境に対する防衛意識が無いのでしょうか。 防衛の空白解消は当然であるはずで、在日米軍再編と併せて自衛隊・海上保安庁を拡充させることは必須のことと考えます。 日米安保の正当性に関する論議も、このような論議もタブー視されること自体、異常なことだと思うのです。 投稿者 kameno | 2010年3月17日 09:55