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2009年10月 6日
︻主張︼夫婦別姓 家族の絆を壊しかねない
夫婦が別の姓でも婚姻関係を保てるとする選択的夫婦別姓制を導入する民法改正案が来年の通常国会に提出される見通しになった。推進派の千葉景子法相と福島瑞穂男女共同参画担当相が早期法改正に意欲を見せているためだ。
︵産経ニュース 2009.10.1 03:38︶
ここで、まずは関連条文を確認してみます。
民法 第750条︵夫婦の氏︶
夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。
<解説>
夫婦同氏の原則を定めており、いわゆる選択的夫婦別氏制度は現行の民法では認められていないが、特定の社会的活動の場において通称として旧姓を利用することまで禁止する趣旨ではない。
旧民法では、結婚は妻が夫の家に入ること、という伝統的な考え方を反映して、妻が夫の氏を称する、と定められていたが、両性の本質的な平等︵日本国憲法第24条︶の成立後に改正され、上記のように改められている。
婚姻届には、夫婦の称する氏を記載しなければならない︵戸籍法参照︶。
なお、この条文には、結婚を期に新たに第三の氏を称することを禁止する意味もある。
出典: フリー教科書﹃ウィキブックス︵Wikibooks︶﹄
冒頭の条文のように、夫婦の氏は、夫または妻のどちらでも公平に選択できることとなっています。
しかし、現実は改姓す場合、女性が改姓を行なう割合が97%となっており、男女平等に反するという意見があり、それが夫婦別姓のために民法750条改正を推進する原動力となっているようです。
このように夫婦別姓制度が男女平等の象徴としています。
本当にそうでしょうか。
むしろ夫婦別姓は中国を中心に発生した同姓不婚思想から来るという意見もあります。
現在の夫婦同姓の習慣は、明治31︵1898︶年に公布された明治民法︵明治29年法律第89号︶以降に出来た制度であり、その歴史は約100年です。
それ以前は、日本の5-6%の士分を除いて一般民衆は苗字は持っていたにせよ公的には使わなかったため、当然に同姓・別姓による問題はなかったようです。
つまり、中国や、明治期以前の日本の男尊女卑の状況と比較するに、現行の民法は男女平等の観点で論じる問題ではまったく無く、今の社会制度が民法の思想に追いついていないだけであるということが言えそうです。
また、夫婦別姓制度には、将来子供が誕生したときに離婚をしていない両親の姓が異なることを、子供にどのように教えていくべきかの明確な指針がないことや、兄妹間での姓異なることを認めるか、両親が離婚した場合の親権の問題など様々な論議すべき課題があります。
ここで、次の記事をみてみます。
民主党の夫婦別姓政策、日本人と結婚する中国人女性に福音=日本姓名乗る苦悩なくなる
2009年9月28日、日本の華字紙・日本新華僑報︵電子版︶によると、日本人男性に嫁ぐ中国人女性はこれまで、中国の姓を捨て日本の姓に変更しなければならなかったが、民主党政権が夫婦別姓を含む民法の改正案を来年にも国会に提出することになり、この状況にも変化が生じることになる可能性が高い。
同記事によると、日本人に嫁いだ中国人の新婦たちの多くが、1947年制定の民法が明確に夫婦の同姓を謳っていることから、新婦個人はやりきれなさ、新婦の家族は日本姓となることへの拒絶感という葛藤をかかえてきたという。
日本人と結婚したある中国人女性は、一時帰国のたびに表現できない複雑な感覚になるという。彼女が実家に帰ると、なくすといけないからと言って、母親が彼女のパスポートを保管するのだが、その日本姓を見るたびに、母親は彼女を罵るのだという。﹁実家に置いてあった名詞もすべて破かれ捨てられた﹂と同女性。
1988年、当時の野党・日本民主党、日本共産党、日本社会党が夫婦別姓法案を共同で国会に提出したが、自民党が﹁家族の一体感を損ない、家庭の崩壊につながる危険がある﹂などとして審議を拒み、廃案になった。その後、民主党などが毎年同法案を提出しているが、すべて廃案になっている。
民主党政権が掲げるマニフェストの中に、夫婦別姓の実現がある。民主党が来年にも提出する改正案は、婚姻届の際夫婦に同姓か別姓かの選択の権利を認めること、結婚できる年齢を男女とも18歳にそろえることが柱となっているという。
同記事は、民主党の夫婦別姓政策について、日本の伝統的な家族制度に打撃を与えることになるが、日本人に嫁ぐ中国人女性には福音だと評した。
これは、無視できない報道です。
すなわち、国際結婚の際、中国人や韓国人のように家族主義・家名主義の習慣を持つ外国人が日本人と結婚する際、日本人配偶者の姓に改姓せずに日本国籍を得ることができるということです。
選択的夫婦別姓のメリットを享受し、夫婦別姓を﹁選択﹂するのは、このような事例ではかなり増えることになるでしょう。
日本国籍取得の要因は国籍法により次のように定められています。
・引き続き5年以上日本に住所を有すること。
・二十歳以上で本国法によって能力を有すること。
・素行が善良であること。
・自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること。
・国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと。
・日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。
︵注︶但し日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が上記の条件を備えない時でも、帰化を許可することができる。︵第七条︶
日本人との婚姻により日本姓になることについて、出身国の親族から﹁家を捨てた﹂と非難されることが選択的別姓より解消され、上記の制約があるにせよ日本国籍が所得できる。
そのため、日本人と婚姻する中国人には福音だとする記事です。
このように、夫婦別姓制度を一番歓迎するのは、これから日本人と婚姻する外国人なのかもしれません。
民主党が夫婦別姓制度を強引に進めようとする背景には、国籍法、移民法、外国人地方参政制度と併せて、この夫婦別姓政策を盛り込むことで、﹁新たな﹂票田を取り込もうとする意図が見え隠れします。
国際結婚の動きを、人口動態統計の婚姻件数の推移から見ると、日本人と外国人の結婚は、
1960年代には4?5千件であったものが、1980年代後半から急増し、1983年に1万件、1989年に2万件、1999年に3万件、2005年に4万件というように急増しています。
婚姻数全体に占める国際結婚の割合は、既に20件に1件以上の割合となっており、決して珍しいことではなくなってきました。
2007年の厚生労働省人口動態統計年報によれば、結婚総数︵婚姻件数︶の約5.6%︵=40,272/719,822︶が国際結婚であり、この数値は1980年の0.9%︵=7,261/774,702︶と比較すれば大幅に増加していることがわかる。同じく2007年人口動態統計年報によれば、国際結婚の相手の主な出身国籍は、配偶者女性︵夫が日本人︶では、中国︵11,926︶、フィリピン︵9,217︶、韓国・北朝鮮︵5,606︶、タイ︵1,475︶、ブラジル︵288︶、アメリカ︵193︶、ペルー︵138︶、イギリス︵67︶、その他︵2,897︶であり、配偶者男性︵妻が日本人︶では、韓国・北朝鮮︵2,209︶、アメリカ︵1,485︶、中国︵1,016︶、イギリス︵372︶、ブラジル︵341︶、フィリピン︵162︶、ペルー︵127︶、タイ︵68︶、その他︵2,685︶である。
出典: フリー百科事典﹃ウィキペディア︵Wikipedia︶﹄
あえて夫婦別姓を導入しなくても、夫婦が家庭と仕事を両立させるための方策は、いくつも考えられる。鳩山内閣はまず、このことに知恵を絞るべきだ。
自民党の谷垣禎一新総裁は就任後の会見で、夫婦別姓に慎重な姿勢を示した。野党として、夫婦別姓など鳩山内閣の行き過ぎた動きを正す責務がある。
冒頭の産経ニュースは、このように結んでいます。
まさにその通りで、家族制度を根本から覆すことになる夫婦別姓制度については、慎重に慎重論議を重ねて時間を掛けていくべきでしょう。
日本は次第に多民族・モザイク国家として変容しています。
選択的夫婦別姓が制度化されることにより、それはさらに加速されていくことでしょう。
数だけではなく、その﹁質﹂が変容してしまうことが問題です。
そのような中で、檀家制度に基づいている伝統仏教寺院はどのようにあるべきかということを併せて考えていく必要がありそうです。
lさん 何をもって﹁普通﹂とするかですね。﹁普通﹂って何でしょうか。 >ファーストネームや洗礼名があると 仏教徒であれば法名が心の支え、アイデンティティーの一部を形成するようになるといいですね。 投稿者 kameno | 2009年10月8日 09:34