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| 睡蓮 »
2009年7月31日
来日していた﹁世界ウイグル会議﹂のルビア・カーディル議長は日本で予定されていた一般向け講演会出席を急遽取りやめ、予定を変更し米国へ出国しました。
カーディル議長の来日に際しては、日本政府が議長にビザ発給を行ったことに対し、中国政府は日本政府に対し猛烈な抗議を行っているところです。
<ウイグル問題>カーディル議長来日、中国で﹁反日﹂大合唱
中国では、﹁世界ウイグル会議﹂のルビア・カーディル議長が28日から5日間の日程で訪日することが伝えられ、日本非難の声が高まった。中国政府は新疆独立運動・テロの黒幕としてルビア・カーディル議長非難を続けている。
カーディル議長来日を報じた中国のニュースサイト、環球網が設けた掲示板には、日本を罵︵ののし︶る書き込みが相次いだ。﹁日本製品など、だれが買うか!﹂、﹁日本を世界から消滅させろ﹂など、感情的な意見が目立つ。記事はインドがカーディル議長の入国を拒否したことも紹介したため﹁われわれの敵はインドでなく日本であることが、よく分かった﹂との書き込みもある。
カーディル議長の入国を認めたことについて、﹁主権国家として、その程度の権利行使は何でもない﹂など、大騒ぎする必要なしとの書き込みもあるが、ごく少数だ。
(Search China)
かの国の新聞のネットアンケートはこのような状態です。
日本が中国の反対を顧みず、強行に﹁新彊独立﹂の目的を持ってカーディル議長を入国させました。
あなたは日本に対し制裁を実施することに賛成か反対か?
?于?球网
----?成 93.6% ︵7/30 9:00現在︶
まあ、中国の反応は何時もながらこんなものでしょう。
さて、新疆︵しんきょう︶ウイグル自治区での暴動には、中国政府による強烈な同化政策︵Sinicization︶があります。
同化政策︵Sinicization︶のほんの一例
・ウイグル人の若者は出稼ぎを強要され、故郷にいると刑罰の対象となる
・大学においてウイグル語は禁止
・漢人の大量移住とウイグル人戸主の減少政策
など
その他にも次のようなバックグラウンドもあることを念頭に置く必要があるでしょう。
米科学誌、中国・核実験でウイグル人数十万人が死亡した可能性
米国で最も人気の高い科学雑誌﹁サイエンティフィック・アメリカン﹂最新号が、中国の新疆︵しんきょう︶ウイグル自治区で中国当局が実施した40数回の核爆発実験の放射能により、数十万ものウイグル住民が死亡した可能性があるとする記事を掲載した。
記事は、ウイグル人医師のアニワル・トヒティ氏と札幌医科大教授で物理学者の高田純氏の合同調査結果を基礎に書かれたもの。高田教授は同自治区のシルクロード紀行番組を長年、放映したNHKの核実験無視の姿勢を非難している。
﹁サイエンティフィック・アメリカン﹂7月号は、﹁中国の核実験は多数の人を殺し、次世代を運命づけたのか﹂﹁中国が40年にわたり核爆弾を爆発させたことで、放射能の雲は住民の上を覆った﹂という見出しの記事を掲載した。
同記事はまず、トヒティ医師が新疆ウイグル自治区で1973年の子供時代、3日間、空が黒くなり、土砂のような雨が降ったのを目撃し、後年、それが核爆発の結果だったことを認識したと指摘。その上で﹁シルクロード上のロプノル実験場における、1964年から96年までの40数回の核爆発による放射能の結果、数十万の住民が死んだ可能性がある﹂と報じた。
︵2009.7.30 産経新聞︶
チベットが消される のブログ記事でご紹介したように、チベット自治区には中国人民軍の核兵器およびそれに付随する施設が点在し、450とされる核兵器の1/4が集中しているといわれています。
同様に、核開発施設は中国の華人が多い地域に与える影響を最小限にするよう、新彊ウイグル地区のような中国周辺自治区に配置されています。
︵地図はリンク先記事より引用︶
民族・宗教的な迫害だけでなく、基本的な生活さえも脅かされている現状があるのです。
しかし、中国では報道規制が厳しく行われており、真実の姿がなかなか伝わってきません。
報道規制に関しては中国国内だけではなく、日本のメディアでさえも恣意的に行われているという現状を私たちは認識しておく必要があるでしょう。
その1つとされているのが日中記者交換協定です。
日中記者交換協定
日中記者交換協定︵にっちゅうきしゃこうかんきょうてい︶は、日中国交正常化以前に、日本と中国の間で取り交わされた、日中双方の記者を相互に常駐させる取り決めのこと。日中記者協定とも呼ばれる。正式名は﹁日中双方の新聞記者交換に関するメモ﹂。
すなわち、中国政府︵中国共産党︶に不利な言動を行わない・日中関係の妨げになる言動を行わない・台湾︵中華民国︶独立を肯定しないことが取り決められている。違反すると、記者が中国国内から追放される。これらの協定により、中国に対する正しい報道がなされていないと批判がある。
概要
・日本政府は中国を敵視してはならない
・米国に追随して﹁二つの中国﹂をつくる陰謀を弄しない
・中日両国関係が正常化の方向に発展するのを妨げない
出典: フリー百科事典﹃ウィキペディア︵Wikipedia︶﹄
この協定が現在どのように運用されているのかはわかりませんが、少なくとも中国から何を言われるか判らない、とりあえず中国との関係を穏便に保っておいたほうがよさそうだという姿勢が現在の報道の状況を生み出していることは間違いないでしょう。
世界で何が起こっているのか、その情報を日本のマスメディアだけから得るということは愚かしいことです。
かといって、不確実な特定の情報源のみを猛進することはさらに愚かしいことです。
アンテナを多方面に張り巡らせ、総合的に判断できる力をつけることは、多様化する情報化社会の中でますます求められていくことでしょう。
<ウイグル問題>米政府内に﹁制裁﹂求める動き―中国反発
16日付環球時報によると、米国国際宗教自由委員会は15日、新疆ウイグル自治区ウルムチ市で5日に発生した暴動などに絡み、﹁中国政府はウイグル人の文化と宗教上の伝統を抑圧している﹂として、オバマ大統領に対中制裁に踏み切るよう求めた。
同委員会は、新疆ウイグル自治区から出荷される商品の輸入制限や、同自治区と関係がある中国の官僚の米国渡航規制を提案したという。
米国国際宗教自由委員会は、米国政府の一部門。設立は1998年。これまでにも、中国では宗教が抑圧されているとの見方を表明してきた。
北京大学国際戦略研究センターで国際問題を研究する余万里氏は同委員会の動きに対して、﹁西側諸国は中国の制度について、伝統的な偏見を持っている。さらに中国が発展したため、彼らは脅威と考えている﹂、﹁このような方法で、中国に真の圧力をかけることできない。不快感を示せる程度だ。なぜなら、中国政府の行いは、疑う余地がないほど正しいからだ﹂と述べた。
環球時報も、5日の事件では死亡者が192人に増加したにも関わらず、米国国際宗教自由委員会は法を犯し事件を起こした者の責任を棚上げしたなどと、厳しい調子で批判した。
︵Y! V 2009/07/16(木) ︶
ラビア・カーディル議長が日本滞在の日程を繰り上げて出国したのは米国議会から議会が夏季休暇となる前に出席するよう要請を受けてのことです。
むしろ日本で講演を行うよりも米国議会で証言したほうが影響力が大きいと判断︵当然の判断といえますが︶したのでしょう。
米国議会での発言内容と議会での動向に着目したいと思います。
日本では、残念ながらマスメディアによるルビア・カーディル議長の来日、帰国についての報道すら殆どありませでした。
ましてや、中国・核実験でウイグル人数十万人が死亡した可能性などという報道は、ほとんどのマスメディアでは口が裂けても行えないでしょう。