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2009年5月 3日
横浜港開港150周年記念行事﹁開国博Y150﹂のメイン会場に隣接する﹁運河パーク﹂に縦40メートル、横30メートルの巨大花時計があります。
︵花時計のイメージ図より︶
花時計は、花を贈る日協議会、花時計プロジェクト実行委員会により企画され、市民の手によって花が植えられ、4月28日の開花式でお披露目されました。9月まで公開されています。
この花時計、実は曹洞宗の僧侶がデザインしたものなのです。
庭づくりは大切な修行 ?日本の風情を守り続ける?
開国博Y150の来場者を出迎える約二万株の巨大花時計︵日時計︶。
横浜開港百五十周年を祝う、その"モニュメント"をデザインしたのは、禅僧で庭園デザイナーの枡野俊明さん=横浜市鶴見区在住=だ。国内外で六十以上の日本庭園を手がけた枡野さんに、禅と庭園づくりについて聞いた。
花時計のテーマは﹁海と風﹂。
﹁百五十年の感謝を込めて港に花を贈ろう﹂と、横浜の経済人たちが企画した。その幹事の一人でもある。もともとは四月八日を﹁花を贈る日﹂とし、親や家族、恋人に日ごろの感謝を込めて花を贈ろうとのキャンペーンを始めた。﹁花を通して感謝を伝える。日本の文化に合った習慣を横浜から発信しようとの趣旨。そのシンボルでもある﹂と説明する。
国内屈指の日本庭園のデザイナーで、三渓園の鶴翔閣庭園、カナダ大使館、ベルリン日本庭園など、多くの寺院や公共施設、ホテルの庭園を手がけている。五月中には寒川神社の神苑も完成︵公開日は未定︶するという。
枡野さんにとって、庭づくりは修行そのものという。
﹁一日作さざれは一日食わず、という百丈禅師の言葉がある。禅宗では、坐禅や作務︵労働︶を通して修行を重ねるが、その作務の大切さを示した言葉です。ただ、作務は、畑作業や掃除だけではなく、水墨画や華道、茶道など、自分の特技を通してでもいい。わたしにとっては庭づくりなのです﹂
禅宗は昔、大自然の中で坐禅をし、悟りを開いた。
街中へ移るとともに、寺院の面積も小さくなっていった。そのわずかな場所に、世俗を離れ大自然そのものに包まれたような場所を作り出すための空間として結実したのが﹁禅の庭﹂だという。
現代の建物は巨大化し、素材もガラスやコンクリート、鉄骨となり、白砂やコケのついた石などが似合わなくなった。日本庭園が徐々に造られなくなったゆえんだが、枡野さんは、御影石や白砂の代わりにこぶし大の石を使うことでこれを解決した。石や樹木だけではなく、光や風、季節感を大切にし、﹁禅の庭﹂を守り続ける。
︵神奈川新聞2009/5/1)
桝野さんは次のことばでまとめています。
﹁修行によってできた自分自身が庭に表現されるため、自分の力量を超える庭を造ることはできない﹂
﹁庭は自分の分身、心を映す鏡。﹃毒蛇が水を飲めば毒になり、牛が水を飲めば乳になる﹄という言葉がある。庭を毒にするも乳にするのもわたし次第ということ。わたしは、庭づくりで社会に貢献していきたい。それが修行です﹂
このことばは、どんな人にも当てはめることができますね。
枡野さんにとっての﹁庭づくり﹂は、みなさんにとっては何でしょうか。
連休中に花時計をご覧になる︵ご覧になった︶方は多いと思います。
花時計には﹁次代を担う子どもたちと横浜の誕生日を祝うとともに、横浜から﹃花を贈る﹄という文化を全国に発信したい﹂という意味が込められています。
その背後に﹁禅﹂のこころが生かされているということを思いだしていただければということで御紹介させていただきました。
■関連リンク
﹁開国博Y150﹂公式サイト
﹁花時計プロジェクト﹂
枡野俊明+日本造園設計 ShunmyoMasuno+JLC