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2008年5月 2日
アウキ・ティトゥアニャ知事により、エクアドルを元気付けている地域通貨の事例が紹介されました。
エクアドルでは、2000年に国家通貨であった﹁スクレ(ECS)﹂を廃止して、米ドル化を行いました。
しかし、物を売りたい人、欲しい人がいても、遥か遠くの国で発行されたドルが無いというだけの理由で、売買が成立しないという混乱が生じ、その頃草の根で始まっていた地域通貨﹁シントラル(SINTRAL)﹂はドル化後の経済混乱※の中で着実に広まっていきました。
※2008/5/1現在、1.00 米ドル (USD) = 25000 エクアドル スクレ (ECS) ひぇ?!
エクアドルにおける地域通貨の仕組みは非常にシンプルです。
・そこに住む地域の人が、地域通貨の仕組みを共有する
・地域住民が通貨を発行、供給する
・住民同士が直接売買を行い、その際小切手にサインする
・小切手は地域通貨の窓口で遣り取りが登録、全体情報を提供
というものです。
所詮、米国の発行するドルは﹁紙﹂だけにすぎません。
例えば、このお寺の本堂に集まっている人たちのグループが幾つかあるとして、それぞれにコメ、金、太陽・・・などの名前を付けます。
シンプルなチケットを作り、一つを一ドル相当と決め、あるグループがあるグループから魚を買い、また或いは他のグループがコメを買い・・・
ここで重要なことは、購入・売買は直接的であり、しかも税金がかからないという点にあります。
もちろん、金利もつきません。
コタカチ郡では、毎月、地域通貨により大体6万ドル相当規模の経済活動が地域通貨により行われています。
一年間では6万ドル×12ヶ月=72万ドル規模。
政府は税金が取れない地域通貨の仕組みを弾圧しないのか?という質問には、﹁禁止もしないし支援もしない﹂とのこと。
さらに、コタカチ郡では逆に地域通貨を支援、例えば物品がトラックでスムーズに運べるように便宜を図ってすらいます。
先進国では、いわば﹁足し算﹂の経済の考えが常識です。
つまり、月10万円で生活してきたものが15万円になれば豊かになり、それが﹁進歩﹂だと考えてきました。
しかし、地域通貨の考えは﹁引き算﹂の経済です。
地域通貨を用いることにより15万円の生活であったものを10万円に減らすことが出来ることが﹁進歩﹂だと考えるのです。
最後に、とっておきの新しい情報が披露されました。
それは、現在、エクアドルでは、地域通貨の単位として﹁シントラル(SINTRAL)﹂ではなく﹁エコシミア︵ECOSIMIA)﹂を用いているということです。
経済を意味するエコノミア(ECONOMIA)には、否定を意味する"No"が含まれています。
そこで、この"No"を、肯定の"Sí"に入替えて、エコシミア︵ECOSIMIA)としたのです。
粋な言葉遊びですね。
しかし、南米の凄いところは影響しあうということです。
この地域通貨の考え﹁エコシミア︵ECOSIMIA)﹂にはベネズエラの大統領も共感し、この地域通貨のアイデアを是非取り入れたいと表明しているとのことです。
人と人がお互い繋がりながらお互い活かし合い生活を営んでいくという、エコシミア︵ECOSIMIA)の考えこそが、本来の経済のありかたなのかもしれません。
﹁僕たちは、ファストな社会に生きています。いわゆる、“早い者勝ち”の社会。速さをめぐって競い合うと、人間と自然との間の、そして人間同士の繋がりが絶たれ、その結果、環境破壊や、地球温暖化、紛争や戦争が起こってきた。“スロー”というのは、もう一度その失われた繋がりを取り戻せるところまでスローダウンしよう、という意味です。ぼくたちは、自然界との繋がり、人々との繋がりやコミュニケーションなしに生きていけない存在です。またその繋がりこそが歓びであり、生き甲斐ですよね﹂
︵辻信一先生のことばより︶
地元戸塚で﹁オーエン﹂という地域通貨を実験的に発行し、実績を重ねている善了寺︵今回会場となった寺院︶の住職さんと、全国に7万以上ある寺院が繋がって地域通貨を作ったら、きっと仏教界は檀信徒の皆さんを含めて、もっともっと元気になるでしょうね、という話で盛り上がりました。
通貨の単位は﹁縁﹂で。
■関連資料
全国地域通貨リスト
ちょうどこのお話しの最中子どもが騒いでいて聞き逃したので、ブログに書いていただいてありがとうございました!
投稿者 asami | 2008年5月 7日 23:58