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2008年1月14日
コーヒー味わいながら楽しい科学の話
コーヒーを味わいながら、科学などの第一線で活躍する研究者の話が聞ける﹁かながわサイエンスカフェ2﹂が十二日、横浜市鶴見区の鶴見大学で約百人の参加者を集め開かれた。中高生らの理科離れを防ぐことを狙いに、神奈川科学技術アカデミー、鶴見大学、日本学術会議化学委員会が連携し企画した。
二部構成の一部は﹁ピアノはなぜ黒いのか﹂。講師は鶴見大学文学部教授の加藤寛さん。黒い塗料がなかったバロック期のヨーロッパ。真っ黒な東洋の漆に出合い、その色合いを出すために技術革新を行い、現在目にする黒いピアノを完成させたという。その過程を欧米で黒が持つステータスシンボルの意味を交えながら解説した。
二部は﹁人体の矛盾﹂。同大歯学部講師、小寺春人さんが動物にはない咽頭︵いんとう︶について話した。人間はこの器官を持つことで言葉を発する能力を手にした。しかし、むせたり、誤飲したりする負の構造を背負い込むなど、進化がはらむ矛盾について平易な言葉で紹介した。
講演の合間にはバイオリンとチェンバロの演奏もあり、参加者はゆったりとした気分で話を楽しめた。東京から父親とともに訪れた堀**さん︵13︶は﹁自分の知らない知識を得られるのでとても楽しい﹂と目を輝かせた。
企画にあたった鶴見大歯学部の瀬戸?一部長は﹁くつろいだ雰囲気の中で研究者の話に耳を傾け、理科は面白いと興味を持ってもらえれば﹂と話している。次回は夏に開催する予定。
︵神奈川新聞1月13日:文中の名前を一部伏字にしました︶
サイエンスカフェが横浜で行われていたのですね!
しかも鶴見大学で・・・・
サイエンスカフェとは、科学者と、ごく一般の方々が、カフェのような場所で気楽にコーヒーなどを飲みながら、科学についてざっくばらんに語り合う場をつくろうという試みです。
科学の社会的な理解を深める新しいコミュニケーション手法として、世界各地で行われています。
論文発表会やシンポジウム、大学での講座などは、なかなか一般の方、とくに子どもたちには参加するような機会は少ないでしょう。
かねてから、このブログでも 理科離れを防ぐために などの記事を書いてきましたが、サイエンスカフェはその一つの具体策といえます。
今回開催されたサイエンスカフェの内容も、実に興味深いものでした。
第一部の﹁ピアノはなぜ黒いか﹂については、元来ピアノは黒くはなく、木目調だったり豪華な装飾が施されたりするのが一般的でした。
ところが18世紀後半以降、その様相はがらっと変わります。
ピアノに限らず、演奏者の服装までもが黒へと変化していきます。
それは何故か。
以前﹃ピアノはなぜ黒いのか﹄︵幻冬舎新書︶という本を読んだことがありましたが、個人的に今ひとつしっくり来ませんでした。
サイエンスカフェでは、ピアノが黒くなったのは、日本の漆器の影響だったということを学術的に解き明かしていくような内容だったそうです。
つまり、当時海外に輸出され高い評価を受けていた日本の漆器があったということですが、まさに、日本文化とヨーロッパ文化のコラボレーションともいえそうです。
そう考えると、昨年秋、フランスに開単された宗立専門僧堂に山中塗りの応量器を送ったことも、何か別の意味の縁を感じたりします・・・・・
関連記事‥山中塗りの応量器、フランスへ
第二部の﹁人体の矛盾﹂も、進化の過程での合理性と矛盾を解き明かす興味深い内容です。
一般になじみの薄いと思い込まれているこのようなアカデミックな内容に対し、コーヒー+ドーナツ代の500円程度を参加費としたカジュアルな会が開かれるということはとても嬉しい話題です。
合間にバイオリンとチェンバロの演奏があるというのもいいですね。
きっと、チェンバロとピアノにおける白黒鍵の歴史的背景などについても解説をおりまぜながらの演奏だったのではないでしょうか。
鶴見大学でのサイエンスカフェは、文学部文化財学科と歯学部を持つ大学の特色を生かしたものだといえます。
今回は参加できず残念でしたが、またの機会には是非参加したいものです。
サイエンスカフェは、日本では3年ほど前から開催されるようになり、急速に増えつつあります。
内容も会場も主催者も多様に亘ります。
そのような錯綜する情報を集約してくれるポータルサイトがありました。
実に有難いことです。
⇒ サイエンスカフェ・ポータル by NPO法人サイエンス・コミュニケーション
⇒ 横浜国立大学のサイト
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