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2007年4月18日
銃撃された伊藤・長崎市長が死亡…銃創で大量出血
長崎市のJR長崎駅前で17日夜、暴力団幹部に銃撃されて危篤状態だった伊藤一長︵いっちょう︶・長崎市長︵61︶が18日午前2時28分、収容先の長崎大医学部・歯学部付属病院で銃創による大量出血のため死亡した。
長崎県警の捜査本部は、殺人未遂の現行犯で逮捕した同市風頭町、指定暴力団山口組系水心会会長代行の城尾哲弥容疑者︵59︶について、殺人容疑に切り替えて調べる。
15日に告示された長崎市長選に、4選を目指して立候補していた伊藤市長の死去に伴い、公職選挙法に基づいて投票日3日前の19日午後5時まで、新たな立候補︵補充立候補︶が可能となる。市長選はすでに立候補している他の3人と補充立候補者で争われ、日程通り22日に投開票される。
伊藤一長市長には心より哀悼の意を表します。
被爆地である長崎市の発信するメッセージは、重要な意味を持ちます。
長崎平和宣言では﹁平成18年を再出発の年とすることを決意し、恒久平和の実現に力を尽くす﹂と宣言し、北朝鮮の核実験声明についても﹁断じて許せない﹂とコメントしています。また、被爆遺構の保存問題や被爆の語り部継承などに積極的に取り組んでいた市長だけに、本当に残念でなりません。
核廃絶はもとより、殺人を許さない、暴力を許さないという取組みは、いかなる妨害にも屈してはなりません。
本島?伊藤市長の積み上げてきた実績が継承されていくことを望みます。
今回の事件で、法律の盲点も露呈しました。
公職選挙法
第9章 公職の候補者
︵衆議院議員又は参議院比例代表選出議員の選挙以外の選挙における候補者の立候補の届出等︶
第86条の4
6 地方公共団体の長の選挙については、第1項の告示があつた日に届出のあつた候補者が2人以上ある場合において、その日後、当該候補者が死亡し又は候補者たることを辞したものとみなされたときは、第1項から第4項までの規定の例により、都道府県知事又は市長の選挙にあつてはその選挙の期日前3日までに、町村の長の選挙にあつてはその選挙の期日前2日までに、当該選挙における候補者の届出をすることができる。
第11章 特別選挙
︵衆議院小選挙区選出議員、参議院選挙区選出議員又は地方公共団体の長の再選挙︶
第109条 衆議院︵小選挙区選出︶議員、参議院︵選挙区選出︶議員︵在任期間を同じくするものをいう。︶又は地方公共団体の長の選挙について次の各号に掲げる事由のいずれかが生じた場合においては、第96条、第97条又は第98条の規定により当選人を定めることができるときを除くほか、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会は、選挙の期日を告示し、再選挙を行わせなければならない。ただし、同一人に関し、次に掲げるその他の事由により又は第113条若しくは第114条︵長が欠けた場合及び退職の申立てがあつた場合の選挙︶の規定により選挙の期日を告示したときは、この限りでない。
2.当選人が死亡者であるとき。
4選を目指す無所属現職の伊藤一長氏︵61︶の他の候補者は、次の3候補です。
前川智子氏︵無所属新・大学非常勤講師・59︶
山本誠一氏︵共産新・元市議・71︶
前川悦子氏︵無所属新・主婦・57︶
もしも、期日前3日までに候補者の届出が間に合わなかった場合には、残りの候補者の中から市長を選出することになります。
駆け込みで候補者が何名か出たとしても、僅か3日程度で判断ができるものなのか。
予測される大量の無効票はどうなるのか。
特に長崎のような、世界的に見ても重要な意味を持つ都市の市長選において、不測の事態があった場合には、市の行政のみならず、重大な影響を与えることは想像に難くありません。
選挙を延期するなどの規定を設ける必要もあるのではないかと思います。
法律の不備という点では、日本国憲法第96条の関連法案に関する不備も挙げられます。
日本国憲法
第9章 改 正
第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
憲法には規定されているものの、条文上の﹁国民﹂とは?、﹁提案の方法は?﹂﹁過半数とは?﹂などその具体的な手続については定められておらず、改正を実現するためには法律により国民投票等に関する規則を定める必要があると考えられています。
ようやく、その法律案である国民投票法案が、先日13日に衆議院本会議で可決され、参議院に送られました。
国民投票法案が不要であるという意見も散見されますが、私は必要不可欠な重要な法案であると考えています。
その内容については、慎重に審議していただきたいところです。
現在の国民投票法案の概略は次のようなものです。
︵1︶国民投票の対象は憲法改正のみに限定。
︵2︶投票権者は18歳以上の日本国民。公民権を停止された者も選挙権を有する。ただし、民法の成人年齢︵20歳以上︶や公職選挙法の選挙権の年齢︵同︶などの規定を18歳以上に改正するまでは、国民投票の投票権者も20歳以上とすることを附則で規定。
︵3︶投票は相互に内容が関連する国民投票に係る憲法改正案ごとに1人1票。
︵4︶投票用紙︵縦書き︶にあらかじめ印刷された﹁賛成﹂または﹁反対﹂の文字︵いずれもルビ付き︶のどちらかに○をつける方法で投票を実施。
︵5︶印刷されている﹁賛成﹂を二重線を引く等して消した票は反対として扱い、﹁反対﹂を二重線で引く等して消した票は賛成として扱う。
︵6︶有効投票総数の過半数の賛成で憲法改正案は成立。
︵7︶最低投票率制度は設けない。
この︵1︶︵2︶︵7︶あたりが重要なポイントですね。
︵1︶については、憲法改正のみに限定するということで、まさに第96条に特化した法案となります。
︵2︶については、投票権者の年齢、公民権を停止されたものについての論議です。第96条の﹁国民﹂についての定義です。
︵6︶は、例えば投票率が10%の場合は、投票権者の5%を超える賛成で成立することの意義。
そのほか、細かい点はたくさんありますが、特に上記について、充分に国民の理解が得られるように審議していただきたいところです。
このブログ上では、国民投票法案は必要不可欠な法案であり、慎重に審議していく必要があることと、私たち国民も関心を持ち続けていくことが大切だということまでを結論といたします。