« 能登地方で震度6強の地震が発生 |
最新記事
| 坐蒲棚製作記(後編) »
2007年3月27日
25日9時56分 に発生した能登半島地震は、阪神大震災に匹敵する強い揺れを観測し、輪島市門前町を中心に局地的ながらも大きな被害をもたらしました。
能登半島地震により被災された方には改めて心より御見舞い申し上げます。
客観的かつ総合的な被害状況については、下記サイトにまとめられています。
国土交通省防災情報
石川県消防防災WEB
さて、今回の地震では冒頭のとおり、石川県志賀町で945.4ガル 注︶を観測するなど、阪神大震災の818ガルを超える揺れを観測しました。
それにも関わらず、死者や被害状況は阪神大震災とは比較にならないほど少なくなっています。
これには、複合的な要因が重なったことが指摘されています。
注︶ガルは加速度の単位です。その単位は、cm/sec2 で表わされます。
なお、地表における重力加速度は約980ガルです。
それは
︵1︶人口密度が輪島市では100人/km2で、神戸市の約30分の1だった。
︵2︶地震発生が火を使う時間からずれていた為、火災が発生しなかった。
︵3︶﹁高齢者マップ﹂など過疎特有の地域コミュニティーが発達しており迅速に声かけなどを行った。
︵4︶高齢化は進んでいるものの、元気な方が多かった。
︵5︶休日で留守が多く、明るい時間だったため非難が迅速に出来た。
︵6︶暖冬のため降雪が無く、屋根の重みによる建物の倒壊が少なかった。
︵7︶建物が、木造ながらも降雪に耐える比較的丈夫な構造だった。
︻参考︼
﹁死者1人﹂は奇跡に近い=発生時間や少ない雪など要因?能登地震
<能登半島地震>被害が比較的拡大しなかった要因は…
などの不幸中の幸いともいえる幸運が重なったことが、被害の拡大を防いだといってよいでしょう。
また、電気・電話などのライフラインも順調に回復しており︵水道はやはり多少遅れてしまうのが残念ですが︶、27日には﹁市災害対策ボランティア現地本部﹂が門前町の市立門前東小学校内に開設されるなど、災害普及へ向けての一歩をスムースに踏み出す事が出来つつあることは、喜ばしいことです。
もう一つ、注目すべきは、以前の記事 地震直前の心構え でご紹介した、気象庁の﹁緊急地震速報﹂がきちんと機能したということです。
震源にごく近い羽咋市では実際に揺れが伝わる3.6秒前と、直前の情報になってしまっていますが、それでも、数秒前に、﹁震源の深さ10キロ、M7.0、石川県能登で推定震度5弱以上の地震﹂という速報が出されてています。
震源から離れるにつれ、能登町︵震度6弱︶で約5秒前、珠洲市︵震度5強︶で約7秒前、富山市︵震度5弱︶で約12秒前の時間があり、少なくともガスの供給線を事前に止めるなど、被害を最小限に抑えるなんらかの手段を講じることができる有効なシステムであることがいえそうです。
能登半島地震による被災地への公的な義援金の受付は下記のとおりです。
一日も早い復旧が望まれるところです。
石川県災害対策本部
能登半島地震輪島市義援金
志賀町災害対策本部
穴水町災害対策本部
日本赤十字社 石川県支部
社会福祉法人石川県共同募金会
など、郵便振替による災害義援金の受付も始まっています。
送金先及び取扱期間は下記をご覧下さい。
能登半島地震による被災地への日本郵政公社の救援対策
私たちもできる限りの支援をさせていただく予定です。
能登半島地震は、地震調査委員会の作成した﹁全国を概観した地震動予測地図﹂報告書によると、きわめて地震の少ない地域でした。
しかしながら、そういう地域でも、大きな地震が発生してしまうのが実情です。
いくら確率が低いといえども、残念ながら絶対に地震が起こらないということはありません。
Latest Earthquakes in the World - Past 7 days を見てみると、過去7日間に限っても︵分布はかたよっているとはいえ︶世界中で地震が発生している事がわかります。
ここで、 ﹁全国を概観した地震動予測地図﹂報告書︵平成18年9月25日改訂︶ 地震調査研究推進本部地震調査委員会
を改めて読んでみましょう。
その評価手法は下記のとおりです。
2.確率論的地震動予測地図の評価モデルの説明
2.1 評価手法
2.1.1 確率論的地震ハザード評価手法
(1) 評価手法の概要
確率論的地震動予測地図を作成するには、まず、各地震に対して、長期評価︵地震が発生する確率、形状評価、地震規模評価︶や強震動評価︵その地震による特定の地点における揺れの強さ︶を実施する。次に、全国を格子状に区切り︵約1km メッシュ︶、各格子内の代表点での地震動の強さの確率を評価︵地震ハザード評価︶すること等により、確率論的地震動予測地図を作成する。
地震ハザード評価とは、ある地点における地震動の強さとそれを特定の期間内に超える確率の関係︵ハザードカーブと呼ばれる︶を算定するものである。一般的には、図2.1.1-1 に示すフローにしたがって評価される。大まかな手順は、以下のようになっている。
?対象地点周辺の地震活動を確率モデルで評価する。ここでは震源断層を特定した地震︵活断層に発生する地震、海溝型地震︶および震源断層を予め特定しにくい地震に分けてモデルを検討している。
?分類したそれぞれの地震について、地震規模の確率、距離の確率、地震の発生確率︵あるいは頻度︶を評価する。
?地震の規模と距離が与えられた場合の地震動強さを推定する確率モデルを設定する。通常は、距離減衰式とそのばらつきによって評価される。
?確率モデルを設定された個々の地震について、着目期間内にその地震によって地震動の強さがある値を超える確率を評価する。
?これを評価した地震数だけ繰り返し、それらの結果を統合することにより、全ての地震を考慮した場合に地震動の強さが着目期間内に少なくとも1度、ある値を超える確率を算定する。
確率論的地震動予測地図は、以上の手順によって地点ごとに実施された地震ハザード評価の結果に基づいて、期間、地震動の強さ、確率のうちの2つを固定し、残りの一つの地域分布を示したものである。
■震源断層を予め特定しにくい地震
震源断層を予め特定しにくい地震とは、陸域で発生する地震のうち活断層が特定されていない場所で発生する地震や、プレート間やプレート内で発生する地震のうち海溝型地震として評価される大地震以外の地震等である。これらの地震は、上記1︶と異なり、対象とする地震を複数の規模と距離の組み合わせからなる群として取り扱う必要がある。
※下線はkamenoが記載
能登半島については、震源断層を予め特定しにくい地震であり、かつ海底にある断層の調査が充分に進んでいない地域でした。
したがって、長期評価の精度がその分低下していることは認識しておく必要があります。
また、
全国を概観した地震動予測地図に関するFAQ
Q05.今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を示した地図をどのように捉えればよいですか。
A. 今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が相対的に小さいとしても、0%ではありません。
例えば、30年以内に火事に被災する確率は1.9%、交通事故で死亡する確率は0.2%ですから、これらの数値と比較しても、例えば地震の発生確率3%という数値は決して低くないことが理解できます。また、たとえ地震の発生確率が高くなくても、一度地震が発生すればその被害は甚大なものとなります。これらを考えあわせれば、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が3%を﹁高い﹂と捉えることには十分意味があります。
このように、確率の低い地域だからといって備えが不要であるということは決してありません。
どの地域であっても、普段からの災害に対する備え・心構えが必要なのです。