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2007年2月25日
東京・神奈川の青年僧侶を中心に構成される研修会で、法要解説についての研修が行われました。
法式法要が僧侶のみによって行持綿密に行われる場合は別ですが、檀信徒の方々の参列を戴く場合、法要の意味合い、進退に関するポイントをかいつまんで解説することは重要な教化活動の一端であると考えています。
曹洞宗宗憲第十一条
﹁本宗の教化は、坐禅、言説、放送、文書、儀式及び各種の事業のほか、時宜に適する方法で行う﹂
とある中で、儀式と言説を統合させて行う教化活動が法要解説であります。
ちなみに、当教区でも、配役の中で、法要解説は重要なものとして位置づけられていて、例えば夏場に毎日各寺で順番に行われている施食会法要などでは、若い僧侶を中心に配役を回し、解説そのものに慣れていくということが行われています。
研修会での資料をもとにポイントを見ていきましょう。
なお、資料のうち、見出し部分は、講師のE師によるものです。
それに続く内容ポイントは、研修会での亀野メモから記載しております。
■法要解説の注意点
︻準備︼
1.原稿は必ず作成すること。
これは、最低限必要なことですね。
法要全体の流れ、そして、導師を初め、各配役者の名前、寺院名、関係などを事前調査することは大切なことです。
読み方を間違えることのないように注意しなければなりません。
2.マイクテスト
意外と多いのですが、ハウリングを起したり、二つのマイクの周波数がバッティングしてしまったりということがあると、法要の雰囲気を損なってしまいます。
その場になって慌てないように、充分なテストが必要となります。
3.法を説く場でもあるため、前説の内容を充分考えておくこと。
法要の内容、予めお知らせしておく事項︵お読みする経典、焼香の流れなど︶を、短時間でポイントを抑えてご案内する必要があります。
4.携帯電話の電源がOFFかマナーモードになっているか、確認する。
ここ数年ならではの注意事項ですね。
︻解説にあたり︼
1.マイクを通すと声がこもるため、ハツキリと口を開けて話す。
自分の声が、マイクを通してどのように聞こえるかを知っておく事は大切な事だそうです。
そして、がなり声やボソボソ声は聞きづらいので避けること。
目立たず自然と耳に入ってくる声を心がける。
発声練習を日頃から行うことも良いことです。﹁あえいうえおあお・かけきくけこかこ・させしすせそさそ・・・﹂
苦手な部分を浮き彫りにすることができます。
ノウハウの一つとして勉強になったのは、﹁○○です﹂という、語尾が意外と尻つぼみになって聞きづらいということ。
その対策として、﹁○○ですぅ﹂というように、語尾に﹁ぅ﹂をつけると明瞭に聞こえるということでした。
2.過度な解説をしない
当然ですが、法要解説は目立ってはいけません。あくまでも法要が主となります。
法要の雰囲気を壊す事の無いよう、﹁鳥啼いて、山更に静かなり﹂を心がけることが大切です。
3.解説のタイミングに注意する
動作の前だけで解説すると、指示されて動いている感じを与える。
御詠歌・雅楽がある場合は、事前に打ち合わせをしておく。
そして、もしも、解説のタイミングを逃した場合は、無理に解説をせず、割り切って飛ばしてしまうということが必要です。
4.言葉使いは、場の雰囲気により使い分けても良い
慶の行事、弔の行事、厳粛性を求められる場面など、臨機応変に対応すること。
5.早口になりやすいので、意識してゆっくりと
自分では意識しなくても、次第に早口になってしまうことがあります。
逆に、ゆったりと話す事を意識していくことが大切です。
6.参詣者に対してお願いするのではなく、主催者側であることの認識を促す。
これは、意外と盲点であったのですけれど、参列者は演劇の観客ではなく、あくまでも法要の主催者であるという認識を持っていただくということは大切な事です。
例えば、謝拝の際は、その寺院の住職が導師や随喜の方丈様方にお礼の御拝をする訳ですが、その際に、参詣の方が何もしなかったり、東西の方丈様と同じようにお拝を受けるということは、やはり不自然な訳です。
参詣者にはその寺院の住職が謝拝をしている間、ずっと合掌戴くのが筋だろうとう事です。
そして、合掌をお願いするのではなく、合掌していただきますというように、﹁お願い﹂という表現は避けることが大切です。
<例>﹁当山方丈様は、壇信徒の皆様を代表し、導師様並びにご随喜いただいたご寺院様方にお礼のお拝をいたします。皆様には合掌していただきます﹂
このような講義及び、質疑応答のあと、実践の場として涅槃会法要を行いながら、法要解説の実践を順番で行っていきました。
末筆ながら、ご講義をいただきましたE老師には心より感謝いたします。