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2006年3月17日
ホタルの光、なぜ黄緑色? 京大助教授らが解明
﹁ホタルの光﹂が黄緑色に光る秘密は、発光に関係する酵素ルシフェラーゼの立体構造にあることが、わかった。理化学研究所播磨研究所の加藤博章チームリーダーや京都大の中津亨・助教授らの研究チームが解明し、16日付の英科学誌ネイチャーに発表する。
ホタルの発光は、発光のもとになるたんぱく質が、この酵素と反応して、発光体になることで起きる。
黄緑に光るには、赤く光るより多くのエネルギーが必要で、ホタルは、発光体の化学エネルギーの約9割を発光エネルギーに変えて光っている。だが、色の決まる仕組みは不明だった。
研究チームは、ゲンジボタルのこの酵素を精製し、たんぱく質と反応させた。大型放射光施設﹁スプリング8﹂︵兵庫県︶で、反応中の酵素の立体構造を調べた結果、取り込んだ発光体を、かなり緊密に囲んでいる構造であることが分かった。一方、酵素のアミノ酸を一つだけ変えて囲みを緩めると、赤く光るようになった。酵素が、発光体の化学エネルギーを逃がさない構造になっていることが、黄緑色の光を生み出していた。
中津助教授は﹁ホタルの光は精巧な分子装置で制御されていた。新しい発光システムの開発などにつながる可能性がある﹂と話している。
http://www.asahi.com/science/news/TKY200603150522.html
音もなく、熱も発生せずに静寂の中で幻想的に飛び交うホタルの飛翔。
この仕組みはある程度解明されていたと思うのですが、なぜ、エネルギー負担の大きい黄緑色に発光させることができるのかというメカニズムに関する研究成果のニュースです。
結婚披露宴などでは、キャンドルサービスに代わって、最近は﹁フェアリーイリュージョン﹂も多くなってきました。
これは、新郎新婦で同時に2種類の水をグラスに注ぐことによって、化学的にさまざまな色に光る幻想的な演出です。
フェアリーイリュージョンの原料は、ホタルの遺伝子を研究して作られた発光物質です。
ホタルは、発光によって愛のメッセージを交わしていますが、その幻想的な光景がフェアリーイリュージョンとして再現されているわけですね。
下の写真は、一昨年前に撮影したゲンジボタルの飛翔の写真です。
空には満点の星が輝き、それは素晴らしい光景でした。
星の瞬きもホタルの光も、私たちには同じような明るさで届きます。
しかし、星の発光は、核融合という私たちの想像をはるかに超える、ダイナミックなエネルギーによって作り出されています。
対してホタルの光は繊細な生体エネルギーによって作り出されています。
そのように考えると、自然の仕組みは実に驚異的ですし、そのような仕組みの一端を知ることができる私たちはなんて幸せなのでしょうか。
︻追記︼
ほたるの光は、﹁ホタルルシフェリン﹂という発光物質と、その化学変化を助ける﹁ルシフェラーゼ﹂という酵素を触媒として、次のような仕組みで発光していきます。
﹁ホタルルシフェリン﹂
↓ ← ﹁ルシフェラーゼ﹂
﹁ルシフェリン-AMP﹂
↓ ← ﹁ルシフェラーゼ﹂﹁酸素﹂
﹁ペルオキシドアニオン﹂
↓ → ﹁AMP﹂
﹁ジオキセタン誘導体﹂ ︵基底状態︶
↓ → ﹁二酸化炭素﹂
﹁オキシルシフェリン﹂ ︵励起状態︶
↓ ︵分解︶
﹁光﹂+﹁分解物質﹂ ︵基底状態︶
発光物質はほたるの体内で次々に生産され、空気中の酸素によって酸化反応が進行します。
その結果、生体活動に合わせて点滅したりするわけです。
ほたるの発光がコミュニケーション手段となりうるのは、このような仕組みによるものです。
ありが
投稿者 Anonymous | 2014年5月 1日 09:12