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2005年7月10日
X線天文衛星、予定軌道に乗る…﹁すざく﹂と命名
宇宙航空研究開発機構︵JAXA︶は10日午後0時30分、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から、エックス線天文衛星﹁アストロE2﹂をM5ロケット6号機で打ち上げた。衛星は予定の軌道へ投入され、﹁すざく﹂と命名された。
国産大型ロケットM5の打ち上げは2003年5月の小惑星探査機﹁はやぶさ﹂を積んだ5号機以来、約2年ぶり。
今後は観測を行う高度へ移動し、4日後に太陽電池パネルを開き、観測機器の調整へ入る。1か月後には試験観測を始める見込み。
アストロE2は軌道上での全長6・9メートル、重さ1・7トン。天体から放射され、宇宙空間でしか観測できないエックス線を高精度でとらえ、ブラックホールなど活動的な天体を調べる高性能の科学衛星。国産のものとしては5基目となる。2000年2月に打ち上げに失敗した﹁アストロE﹂を作り直した。﹁すざく﹂は、古代中国で天を守る想像上の鳥の名前。
日本のエックス線天文学は国際的に評価が高い。2000年以来、自前の観測手段を失って、空白期が続いていただけに、今回の成功は“お家芸”の復活へ弾みになりそうだ。
︵2005年7月11日12時14分 読売新聞︶
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20050711ik01.htm
Astro-E2
日本の5番目のX線天文衛星として計画されているASTRO-EII衛星は、その優れた分光能力と、軟X線からγ線までの広い帯域︵0.3?600 keV︶を観測できることが特徴です。高い分光能力と、広い観測帯域は、ブラックホールや超新星といった、宇宙の高エネルギー現象を物理的に解明する上で極めて重要であり、﹁あすか﹂の例にも︵﹁あすか﹂科学的成果‥参照︶示されている通り、日本のお家芸でもあります。ASTRO-EII衛星はこれを飛躍的に発展させたものです。
この衛星によって、宇宙プラズマの状態への理解が画期的に進むだけでなく、これまでの観測装置では難しかった、ドップラー効果の高精度の測定や、粒子加速の現場を直接とらえることで、活発に動き回る宇宙を鮮明にとらえることができます。これにより、宇宙最大の天体﹁銀河団﹂が衝突・合体する様子や、巨大ブラックホールに吸い込まれる直前の物質からの放射などを観測し、宇宙の進化や、一般相対論的な時空構造の解明など、多くの科学的な貢献が期待されます︵﹁科学的目標﹂を参照︶。
http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/astro-e2/
﹁アストロE2﹂(Astro-E2)衛星はわが国5番目のX線天文衛星で、2000年2月10日に打ち上げに失敗したAstro-E衛星の2号機です。X線観測衛星として、他国の比ではないほどの分解能を誇ります。
衛星の打ち上げは、どうやら順調に推移しているようです。
日本の新しい宇宙技術時代の幕開けを期待します。
Computer Graphics: Courtesy of JAXA