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2005年5月30日
かつては田んぼといえば、日本の風景の代表でもありましたが、高度成長期に雑木林や野原はどんどん宅地化され、食生活の変化と相俟って田んぼも急速に減少していきました。
田んぼは生物の宝庫です。
一反の田んぼは、約500kgのお米と500kgの稲藁、そして500種類の生物が田んぼで育っているといいます。
ホタルの飛ぶ環境も、ウシガエルの鳴く環境も、だんだんと希少なものとなってしまっているのが残念です。
http://teishoin.net/blog/000132.htmlを撮影した直ぐ近くの光景。
撮影日 May 22, 2005
︻田んぼの効用︼
■降雨の急激な流れ込みを緩和し、洪水を防いでくれます。
整備された田んぼ140万ヘクタールには30センチ、未整備の田んぼ140万ヘクタールに10センチの貯水能力があるとして、60億トンの水を溜めることができます。これは現在、日本における300ケ所以上の洪水調節ダムの約4倍の能力を持っています。
■地下水を涵養し、井戸枯れ、地盤沈下を防ぎます。
垂直浸透が1日15mmとして、稲作期間を120日とすると280万ヘクタールでは年間に500億トンの水を地下に送ります。そのうちの60%が伏流水などとなって川に流れていき、残りがさらに地下深く浸透して地下水となります。
■地下水の涵養により水不足を緩和します。
涵養する地下水の60%を河川にゆるやかに放出し、河川の流れを安定させる役割を果たしています。
■水質を浄化します
ゴミが田んぼを流れているうちに沈澱したり、土の層を通過するときに濾過︵ろか︶されます。土の中にはパイプのような水路があり、そこを汚水が流れる間にも、ゴミや細菌が除去されます。
水に溶けている塩類やイオンは土に吸着されます。土の中の粘土粒子や腐植はマイナス電荷をもっており、これに重金属イオンなどの陽イオンが吸着して除去されるわけです。
水に溶けている窒素=アンモニアや硝酸は、田んぼの土の層を通過するときに微生物によって窒素ガスに分解されて、空気中に放出されます。これを田んぼの脱窒作用といいます。
下水処理場と全く同じ原理で水を浄化しているのです。
■ヒートアイランドを防止します。
水を溜めた田んぼは蒸発と蒸散のダブル効果で畑や林よりもクーラー効果が高くなっています。
日本の田んぼ280万ヘクタールのほぼ60%が都市周辺を含めた平地にあり、ヒートアイランド化しやすい都会のクーラーとなっています。