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2005年5月 1日
以前、六曜についての考察を行いました。
http://teishoin.net/blog/000019.html
今回は、現在もっとも使われている七曜について見てみましょう。
︻七曜の歴史︼
歴史上、最初にみられるのは、紀元前19世紀、メソポタミアの統一国家・古代のバビロニアで、占星術師が週のそれぞれの日に、太陽と月、そして惑星の神の名をあてはめていったことが始まりのようです。天体信仰により、5惑星+日月を重要な神として祭っていたことによるわけです。
日、月は言うまでもなく、以下次のように続きます
火曜日 Tiw=軍神
水曜日 Woden=主神
木曜日 Thor=雷神
金曜日 Freya=愛と美と豊穣の女神
土曜日 Saturnus=農耕神
古代バビロニアでは天文学の知識もかなり進んでいました。
天体の観測の中で、きれいな日周運動をする恒星の他に、この動きに当てはまらない動きをする星をいくつか見つけます。
それが、太陽、月、水星、金星、火星、木星、土星 です。
この7つの天体を順番に日にあてはめ、現在のような7つの区切りが出来たわけです。
次に七曜の名前と順序についてですが
ローマ人は、七つの惑星が順ぐりに毎日の最初の1時間を﹁支配する﹂と考えたが、われわれになじみぶかい1週間の曜日は、それらの惑星の順番に由来する。
当時の天文学者は、地上からの推定距離による惑星の﹁順位﹂を利用し、それぞれの惑星が地上の出来事に及ぼす﹁影響力﹂を計算した。
彼らが信じていたところでは、各惑星は1時間だけ支配力をふるい、そのあとの1時間はそれに次いで地球に近い惑星に支配がゆだねられる。
このようにして、七つの惑星すべてが順番に支配力をふるうのである。七時間かかて一巡すると、この惑星の支配は最初からまったく同じ順序でくりかえされることになっていた。
したがって、それぞれの日を﹁支配する﹂惑星は、その日の第1時間をつかさどる惑星ということになり、こうして週の曜日は最初の1時間を支配する惑星の名で呼ばれるようになった。このような算定方法から、誰でも知っている現行の順序が生まれたのである。
D、バスティン﹁大発見︵1︶﹂集英社文庫 p. 43
当時の宇宙観は、天動説︵プトレマイオス体系︶が定説となっていましたから、それに基づくものとなっています。
7つの天体︵太陽、月、水星、金星、火星、木星、土星︶の動きや位置を一応数学的に説明できることから、天動説は16世紀までヨーロッパの宇宙観を支配してきました。
﹁支配する﹂惑星をプトレマイオス体系を元に影響力を当時考えられていた天文学の知識から計算し、その影響力の少ない順番︵地球から遠い順︶で並べています。
その順番は以下のようになります。
︵1︶土星 ︵2︶木星 ︵3︶火星 ︵4︶太陽 ︵5︶金星 ︵6︶水星 ︵7︶月
・・・・・ん?
曜日の並びと違いますね。
ここで、﹁最初の1時間を支配﹂ということがポイントになってきます。
週の初めを仮に土曜日とすると、最初の1時間を土星、次の1時間を木星が支配していきます。
・・・・すると、1日は24時間ですから、1日目は24÷7=3あまり3で、火星までで終わり。
次の日の1時間目は、太陽から始まりますね。
同様に、1日ごとに3づつ進んでいきますから、土、日、月、火、水、木、金、そして土の順番となりました。
︻では、週の始まりは何曜日?︼
グーグルでイメージ検索してみると
http://images.google.com/images?q=calendar&hl=ja&lr=&rls=GGLD,GGLD:2003-50,GGLD:en&sa=N&tab=wi
やはり、日曜日で始まっているものが多いようです。
このブログのカレンダーもそうなってますね。
日曜日が休日という習慣はキリスト教の﹁神は天地創造に6日を費やし、最後の1日を安息日とした﹂により広まりましたし、イエスが日曜日の朝復活したとの伝承により、日曜日を週の始めとすることが多いようです。
ところが、
あんそく-にち4︻安息日︼ ︹﹁あんそくじつ﹂﹁あんそくび﹂とも︺
(1)ユダヤ教で一週の七日目の聖日。現在の金曜の日没から土曜の日没まで。一切の業務・労働を停止し、休息をとる。
(2)キリスト教で、日曜日。仕事を休み、儀式を行う。イエスが日曜日の朝復活したとの伝承に起因する。
大辞林 第二版 ︵三省堂︶
このように、安息日は宗教によって異なり、イスラム教が金曜日、ユダヤ教が土曜日、キリスト教が日曜日です。なお、イスラム教・ユダヤ教の1日はキリスト教の暦でいうところの前日の日没から始まり、その日の日没で終わります。
どこに週の始めを持って来るのかは、習慣によってある程度ばらつぎがあり、普遍的な決まりはないようですね。
辞書を見てもばらばらです。
︻週末︼ 一週間の末。土曜日から日曜日にかけてをいう。ウイークエンド。︹金曜日を含めていうこともある︺
︻週明け︼ 新しい週に入ること。普通、月曜日をいう。
︻週︼ 日・月・火・水・木・金・土の七日を一区切りとした日時の単位。一週間。
︻週間︼ (1)一週の間。すなわち日曜日から土曜日までの七日間。週。
大辞林 第二版 ︵三省堂︶
︻week︼1 a : any of a series of 7-day cycles used in various calendars; especially : a 7-day cycle beginning on Sunday and ending on Saturday
︻国際標準化機関︵ISO)︼A week begins with a Monday・・・・
ISO 8601:1988 Date/Time Representations
さらに、日本のカレンダーで日曜日始まりが多いのは、宗教的な意味合いの他に、単純にデザイン的な要素で決められていることもあるようです。
日曜始まり、玉横並びのルール
ほとんどのカレンダーが玉は横並び、日曜始まりになっています。
縦並びの数字を考えてみて下さい。
仮にデザイン的にうまく配列できたとしても、人間の目は横の視野を見るほうが得意です。
玉デザインの、横並びは人間の目にとって自然な運びなのですね。
日曜始まりはどうでしょうか。
ビジネス手帳には月曜始まりのものがありますが、カレンダーはほとんど日曜始まりです。
これは長年の利用者の慣れによるものと思われます。
一週間の真中は水曜日という感覚が身についていますよね。
使いにくいカレンダーは生き残れないということでしょうか。
七曜の起源をたどれば日曜始まりにたどり着きますが、それとは別にデザイン的な意味もあるようです。
土曜と日曜を色変えするなら、ちょうど平日をサンドするような感じになりますね。
暦.com
最近は週休二日も多くなり、土日を連続して休みとすることが多くなりました。
会社でも学校でも同様です。
ましてや、寺院の場合は元々土日に様々な行事や法事などが集中します。
そこで、声を大にして言いたい!
固定概念に縛られず、週の始めは月曜日としたほうが、ずっと便利だと思うのです。
・・・と、このブログを書きながら、ふと子どもの学習教材に目をやると、月曜日始まりになっているではないですか。
やはり、月曜日始まりのカレンダーは便利です。
ぜひぜひ月曜日始まりのカレンダーが標準になって欲しいものです。
追記
日本に七曜をもたらしたのは弘法大師と言われています。
宿曜経のなかに、七曜の記述があり、七曜が取り入れられたというものです。
西洋の七曜と独自に、日本において七曜の計算がされていきました。
その後、1000年の時を経て、西洋の暦と再び出合った日本の七曜は、一日の狂いもなくぴったり合致していたということです。
六曜もそうですが、七曜も大切に受継がれてきたという事実に驚かされます。
> kameno先生
拙僧も、以前自身のブログでカレンダーについて考えましたが、利便性の問題から月曜始まりに賛成であります!!
投稿者 tenjin95 | 2005年5月 1日 14:12