« 愛語の禅僧・良寛さん |
最新記事
| 貝の化石がざくざく »
2005年3月22日
このたびの福岡沖玄界地震は、福岡市博多区で1人が死亡、負傷者700人以上︵21日午後6時現在︶になり、玄界島では家屋800棟が損壊、ほぼ全住民が島外に避難する大きな被害をもたらしました。
昨年は新潟中越地方が大震災に見舞われました。そして、インド洋の大震災、昨日の福岡沖玄界地震と、立続けに地震が発生しています。
いつ、どこで発生しても不思議ではないわけで、地震と隣り合わせに生活しているのだということを常日頃から心に留めておく必要がありそうです。
一つ前のトピックスで愛語の禅僧・良寛さんを書かせていただきましたので、今回は地震に関する良寛さんの書簡をご紹介します。
江戸時代︵文政11年︶に、新潟越後地方にM7.4の大震災があり、広い範囲で大きな被害をもたらしました。
この地震では、良寛さんも被災しています。
そして、良寛さんが、親類の山田杜皐氏に送ったお見舞いの書簡が遺されています。
長らえん ことや思いし かくばかり 変わりはてぬる 世とは知らずて
かにかくに 止まらぬものは 涙なり 人の見る目も 忍ぶばかりに
地震は信に大変に候 野僧草庵は何事もなく親類中死人もなくめで度候
うちつけに死なば 死なずてながらえて かゝるうきめをみるがわびしき
しかし災難に逢う時節には 災難に逢うがよく候 死ぬ時節には 死ぬがよく候
是はこれ 災難をのがるる妙法にて候。 かしこ
|
つまり、大地震に逢ったが、こうして生き延びたために、さまざまな変わり果てた惨状をみるのがとても辛い。
災難にあうときには災難に逢うのが良い。死ぬときには死ぬのがよい。これが災難を逃れるよい方法だ・・・・と書いています。
ちょっと分かりづらいですが、ここには良寛さんの暖かい心遣いが込められています。
大災害の後には、さまざまな混乱が生じます。食料の奪い合い、住処をめぐるトラブルなど、パニックと理性を失った状況が作り出すものです。
しかしながら、自然の流れに従い、それをきちんと受け入れることが、不要な混乱を抑え、平安を保つことができることを教えているのです。
非日常の状況の中にこそ、如何に冷静な心持でいられるかということが大切なのです。そこから前向きに、積極的に災難を乗り切るための未来が展開されていくのです。
--------------------------------------------
いま、世をあげて﹁自然﹂がテーマだという。いわく﹁自然との共存﹂﹁自然との共生﹂が語られ、その揚句が﹁自然にやさしく﹂である。しかし、筆者は賛成しない。自然の手のヒラに生活しているものどもが、﹁自然にやさしく﹂とは、人間の傲慢︵ごうまん︶もついにここまできたか、という他はない。それというのも、共存や共生は、本来対等なもの同士が使う言葉で、人間同士が﹁共に生きていこう﹂というのはわかる。しかし、私たちにとって、自然はそういうものではない。自然が穏やかだったり荒れ狂ったりするのは、その摂理に従っているだけで、人間の都合など一顧だにしない。だから、自然はパートナーではなく、ときに大きな被害をもたらす自然のおそろしさに畏怖︵いふ︶し、一方、その穏やかな恵みに敬愛し感謝する、そういう畏敬の対象ではないのか。 ︵興福寺貫首・多川俊映老師のことば︶
------------------------------------------
地震により亡くなられた方には心よりご冥福をお祈りいたします。また被災された方には御見舞いの意を表します。
そして、一日も早く復興されますように願うばかりです。
3ヶ月前、福岡の禅寺を巡ってきました。福岡は歴史の深い名刹が多いのです。
本当に感銘をうけました。その時の写真をいくつかご紹介します
聖福寺。栄西禅師が建文6年︵1195年︶に開いた日本最古の禅寺です。
仏殿の内部は滅多に見ることが出来ないのですが、運良く見せていただくことが出来ました。
それはそれは見事な天井画です
承天寺。石が配置された禅庭が素晴らしいです。
このほかにも素晴らしい伽藍がたくさんあります。被災状況が本当に心配です。
コメントありがとうございます。
あちこちで引用される有名な書簡だとおもいます。
例えば『仏教名言辞典』奈良康明(編著)東京書籍 P187 とか・・・・
投稿者 kameno | 2005年3月21日 22:16
http://www.hamq.jp/stdB.cfm?i=ez&pn=18
で無料で震災地に募金ができるそうです。
投稿者 私も心配… | 2005年3月25日 14:21