道元禅師と皆既月食

5月26日、夕方、東の空で皆既月食が観測できます。
今回の月食は、今年一番月が大きく見えるスーパームーンでの月食となりますから、皆既中の暗赤銅色から煌々と輝く大きな満月へと移りかわる見ごたえのある天体ショーとなるでしょう。

YouTubeで生中継を予定しております。
ぜひ、生中継もご覧ください。



Dogen.jpg さて、私たちの生活は月の存在と深い関りを持っています。お釈迦様や道元禅師、瑩山禅師など、祖師様方も、月を特別なものとして捉えていました。 (右画像は道元禅師「月見の像」。宝慶寺蔵:パブリック・ドメイン)

太陽、地球、月の軌道から過去の月食を計算してみると、道元禅師が越前・吉峰寺から大仏寺(後に永平寺と改名)に移動された寛元2(1244)年に2度の皆既月食が見られたことがわかります。

1つは寛元2年1月16日(旧暦)の皆既月食です。
夕方、月の出あたりからの皆既月食でした。

lecl849886.png
寛元2年1月16日(旧暦)の皆既月食


もう1つは寛元2年7月16日(旧暦)の皆既月食。
こちらは、道元禅師が道元禅師が吉峰寺から大仏寺に移動された2日前の暁天にみられた皆既月食です。

lecl787228.png
寛元2年7月16日(旧暦)の皆既月食


永平寺に移られる年に2度の皆既月食、そのうち移られる直前に皆既月食があったこともあり、それが印象に残っていたためかどうかはわかりませんが、のちの永平寺の上堂で
「月を食べ月蝕を起こす能力を持つ羅睺羅阿修羅王が月を呑み込んだものの、釈尊に諭されてそれをやめた」という『大智度論』の説話を引用し、満月の欠けることなく世間の闇を照らす様子を讃嘆されました。
『永平広録』巻7-521上堂
(この上堂の内容はtenjin95さんのつらつら日暮らしに詳しいので合わせて参照ください) 


26日の皆既月食、天気が良ければ全国で観測できます。
是非、月に思いをはせ、眺めてみてください。

投稿者: kameno 日時: 2021年5月25日 12:38

コメントを送る