安楽の法門としての坐禅 ~正身端坐の参究~

大本山總持寺二祖峨山禅師650回大遠忌本法要に際し、日本のみならず国外各地より国際布教師、信者さんたちが集まりました。
この機に、10月21日夜間、總持寺三松閣大講堂を会場に曹洞宗教化部国際課主催のワークショップが開催されました。

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安楽の法門としての坐禅 ~正身端坐の参究~
Zazen as the dharma gate of joyful ease

講師は曹洞宗国際センター所長 藤田一照師と藤本靖氏でした。

初めに、近くの人と握手をして簡単な挨拶。アイスブレイクとして会場の雰囲気がガラリと変わります。このようなアプローチで坐禅を考えるのが、この講座の主題でした。
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(藤田師のイントロダクション)
世界のどの地域から来たのかを挙手であらためて確認してみましょう、各地から集っていることがわかります。
さて、坐禅について誰もが安楽を求めていると思います。それは”ここ”にあるので、それを持ち帰っていただきたいと思います。
道元禅師は安楽の法門を説いていますが、長い間、我々にとっては痛みと緊張の法門でした。何故でしょうか。
それは坐禅が悪いわけではなく、アプローチが悪いということに気づきました。
そこでもう一度坐禅を学び直しました。
そのプロセスにおいて、ここにいる藤田靖さんに出逢いました。
今日は彼から学んだ2つのことに絞ってご紹介します。
1つ目は割り箸を使った深層筋のリラックス、2つ目は紐を使った水平を感じるアプローチです。


姿勢、息、心のうち、姿勢を例に取ると、理想の姿勢に向かってそれをしようと試みるのですが、それでは上手く行かない事が多い。
ある人の姿勢は、自分にとっては必ずしも理想の姿勢ではない。自分の身体に合った姿勢でなければなりません。
同じことが、息、心にも言えます。
身体に「良い姿勢を押しつける」のではなく、身体の自己調整機能に学びながら自分にとっての理想の姿勢を体得します。
理想の姿勢になるために筋肉を緊張させるけれども、そうではなく、逆に筋肉を緩和させて、力みを取ったうえで身体から良い姿勢を探していくことが必要なのです。

 

(藤本氏へバトンタッチ)
私は5歳で尼だった祖母に坐禅を習いました。そこで得た直接体験というものをご紹介します。

顎の筋肉には表層筋と深層筋があり、表層筋はだいたいよくわかるが、深層筋はなかなか意識できないしコントロールが難しいのです。
その深層筋にアクセスするためにはプロに頼まなければならない(私に頼むと2万円位かかります<笑い>)ですが、実は割り箸を使って同様のことができます。

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2人ペアになって、一人が仰向けになり、割り箸を片方(右側)の奥歯に挟む。その右側にもう一人がすわり、肩にやさしく触れる。もう一方の手で腕や脚などに触れる。
しばらくして、割り箸を外し、坐ってみる。
奥歯で噛んでいた方の側の筋肉のリラックスを感覚の変化として感じることができる。考える世界と感じる世界は違う。その感じる世界は一人ひとりの結果として現れる。
反対側の奥歯も試してみる。強く噛むとそれは緊張になってしまうのでそっと噛む。


第二のアプローチは、紐を使って身体の水平を感じる方法です。
なぜ水平が大事かというと、正身端坐のための水平、垂直というものが大事だからです。そこで紐を使って横隔膜の水平ラインを感じることで、垂直のラインが結果的に生まれてきます。
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紐を横隔膜のラインに軽く結んで立ってみる。
海岸に立っているイメージをする。
海に入り、だんだん深く、紐のラインまで水面が来ている。紐のラインに360度水に包まれていることを感じます。
手を前に出し海面に手を浮かせる。横隔膜が水面に広がるようなイメージで息を吸います。
ゆっくりと息を吐く。前だけでなく、左右や後ろにも空間があることを忘れずに。
身体には、水平のラインが3つあります。1つは横隔膜、2つ目は目のライン、3つ目は骨盤底。
目のラインの水平を感じるには、両中指を左右それぞれの耳の穴に入れ、親指を耳の後ろ側をつまみ、そっとゆっくり外側に広げていきます。目は開けたまま遠くを見で、水平線を左右ゆっくりと首を振りながら感じます。
頭蓋骨の中に水平にスペースができる感じで。

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最後に今日の2つのアプローチを感じながら坐禅。
<止静鐘>

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このような体験型のワークショップはとても新鮮で貴重な機会になりました。


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投稿者: kameno 日時: 2015年11月 2日 00:06

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