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第34回正力松太郎賞の授賞式があり、前年度受賞関係者として参加してきました。
正力松太郎賞とは、仏教精神に基づいた青少幼年の育成活動に尽力し、社会の情操教育振興に努力している個人・団体を顕彰するために贈られる賞です。
本年も地道かつ継続的に教化活動を続けておられる仏教者の皆さまが受賞されました。
本当におめでとうございました。
ゆめ観音アジアフェスティバルを運営するゆめ観音実行委員会がこの本賞受賞者リストに名前をつらねているということは、改めて名誉あることであると実感し、昨年この場で発表をしたのだなあと感慨深く参加させていただきました。
今回の活動報告も、どれも刺激をいただき、頭が下がる思いのものばかりです。
寺院の果たすべき役割、僧侶のあるべき姿とはどういうものかということを考えさせられる時間でした。
本年、第34回正力松太郎賞受賞者は下記の皆さまです。
【本賞 2件】
●長谷川 実彰 師 真言宗智山派大智院住職/愛知県
長谷川実彰さんは学生時代より子ども会活動を開始、昭和初期より開かれている自坊での子ども会を引き継ぎ活動するほか、内外で精力的に青少幼年教化に尽力しています。各地で子ども会等の指導者研修企画や講師を務めるほか、民生児童委員や教戒師としても活動しています。
●岩国演劇研究会『劇団のんた』
代表・藤谷光信 師/浄土真宗本願寺派教蓮寺前住職/山口県
『劇団のんた』は、地域の人びととともに昭和35年に結成されました。以来、教蓮寺を活動の中心として、演劇活動を通じて子どもたちをはじめとする演者のこころの鍛錬を目指すとともに、観客への物語を通じた教化、そして真剣に取り組むことの素晴らしさを伝えています。
【青年奨励賞 1件】
●子どもの寺 童楽寺
代表・安武隆信 師/救世観音宗童楽寺住職/和歌山県
『子どもの寺 童楽寺』は、専修学院で修行を共にした仲間2人で、子どものための新寺を平成19年に落慶させたものです。以来、養育里親活動を開始するほか、子どもたちのための活動を通じて、地域の世代間交流や人間関係の構築をすすめるお寺づくりに力を注いでいます。
青年奨励賞を受賞された子どもの寺 童楽寺さんは、里親の環境の変化について提起されておりました。
元来、都市部の小学校や中学生が長期間に亘って親元を離れ、自然豊かな農山漁村で生活をすることが山村留学の目的でありました。
しかし、近年は親から虐待を受けた児童の保護や、親が素行に問題があったり情緒不安定の子供を手放したいという理由で山村留学を選択する事例が増えているそうです。
童楽寺では、永年に亘ってそのような児童を積極的に受け入れ、里親として育て、地域の児童と交流を深める行事を行なっています。
かつての地域社会は寺院と学校が核となり形成されていました。
子どもたちは境内で遊び、学び、僧侶の話を聞きながら育ちました。
子どもたちを取り巻く環境は劣悪になっているのではないかと最近特に感じます。
心が少なからず蝕まれてしまっているとすれば、寺院に求められる役割、果たすべき役割は重い筈です。
21世紀の日本を担う世代を育成するために僧侶は何が出来るのかを真剣に考え、その実践を行なってきた活動に対し心から共感いたします。
全国に7万を数える寺院の中には、まだまだ正力松太郎賞の精神にふさわしい活動をされているところがたくさんあると思います。
第35回の募集も昨年同様行なわれるそうです。詳細は、主催の財団法人全国青少年教化協議会のサイトをご参照ください。
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