苔が地球を救う

境内を巡ると苔がいたるところに生育していることに気づきます。
土の上はもとより、石や木の表面、一見厳しい条件だと思える場所にしっかりと生えています。


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苔は禅の庭には欠かせない存在となっています。
侘び寂びといえば、その象徴として苔のある光景を思い描く方も多いと思います。

この苔が、今注目されています。
それは、夏の暑さを和らげ、街に潤いを与えるグラウンドカバーとしての苔の役割です。

都市部のヒートアイランド対策としてのグラウンドカバーの中で、一番可能性があるのは屋上・壁面緑化の部分でしょう。
地面の部分は都市部ではなかなかまとまった面積を緑化のために使うことは難しいですが、建物の屋根、屋上はあまり活用されていないというのが現状です。
それは航空写真を見れば一目瞭然です。
都市を真上から眺めれば、利用されていない屋根が一面を覆いつくしています。

この屋上部分を緑化に利用できれば、都市部の相当面積を緑化することができるでしょう。
緑化とはいっても構造物の屋上に植物を生育させることは簡単なことではありません。
木を植えることはもとより、芝生であっても土や潅水をどうするか、防水の問題をどう克服するかということがあり、敷居はかなり高くなってしまいます。

そこで開発されたのが「苔シート」です。
簡単に言えば、スポンジの上に苔を植えつけただけのもの。
これを屋上に敷き詰めていきます。

苔は、自重の20倍以上もの水を体内に蓄えることが出来ます。
また、乾燥に強く、種類によっては高温や逆に低温といって過酷な環境にも耐えることが可能です。
そして、大きく成長することがないために管理も簡単です。
極端な話、放っておいてもよいので屋上緑化には最適といえます。


苔緑化については様々な製品が出されており、大体材工込みで 1.5?2万円/m2 くらいの製品が主流のようです。

さらに、自治体により屋上緑化の補助金も出されており、1/2?2/3程度の補助を受けることが可能です。

貞昌院でも機会があれば近いうちに、この苔緑化シートを試してみたいと考えています。
実施することになった段階でまたご報告いたします。

見た目にもよい雰囲気を醸し出す苔が、見た目だけでなく実際に私たちの生活に「潤い」をもたらしてくれるということなのですね。

やまかげの 岩間をつたふ苔水の かすかにわれは すみわたるかも

今日から臘月(ろうげつ=12月)。
12月8日の成道の日に向けて臘八摂心の期間になります。
定例の坐禅会のほか、6日には近隣寺院による摂心坐禅が貞昌院を会場に行じられます。


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快適な環境をもたらす「グラウンドカバー」

投稿者: kameno 日時: 2009年12月 1日 10:32

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