『1000年悠久の調べ』演奏会報告

貞昌院大施餓鬼会法要に先立ち、劉宏軍(リュウ・ホンジュン)氏と、中国琵琶奏者 邵容(シャオ・ロン)さんをお招きし、正倉院復元五弦琵琶ほか、正倉院に伝わる楽器および再現楽譜による『1000年悠久の調べ』演奏会が開催されました。

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『1000年悠久の調べ』演奏会 

プログラム
1.仏国残照  劉宏軍作曲――五弦琵琶と笙・横笛・拜簫のための
2.如意娘(五弦琵琶独奏)劉宏軍譯譜―――唐伝陽明文庫五弦琴譜より
3.蘇勒蜜(五弦琵琶独奏)劉宏軍譯譜―――唐伝陽明文庫五弦琴譜より
4.秦王破陣楽(五弦琵琶独奏)劉宏軍譯譜――唐伝陽明文庫五弦琴譜より
5.地籟 (壎独奏)  劉宏軍作曲
6.夢甘州(笙独奏)  劉宏軍作曲
7.水の夢(バーウ独奏)劉宏軍作曲
8.疏勒廻旋曲(五弦琵琶独奏)
9.ふるさと
10.アメージング・グレース

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主な使用楽器
【五弦琵琶・ごげんびわ】
奈良・正倉院に所蔵されている五弦琵琶は、現存するものとしては世界唯一であります。
普通の琵琶と比較して、このように頭部が屈曲しないでまっすぐであることが特長です。
また、胴の幅が狭く、厚みがあります。

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表面のバチがあたる部分には亀甲・そして、螺鈿細工では、西域の人物がラクダに乗り、(五弦琵琶ではなく)四弦琵琶を奏でています。周囲には熱帯樹と五羽の飛鳥が描かれています。

背面は、紫檀材を使用し、螺鈿により上下に大宝相華文と二羽の含綬鳥と飛雲が配されています。
とても美しい楽器です。

螺鈿細工については、このような報道もありました。


最大級の貝使い装飾 正倉院宝物の五弦琵琶

正倉院(奈良市)宝物の「螺鈿紫檀五絃琵琶」を飾るために加工した貝は、収められた宝物の中で最大級だったことが28日、分かった。螺鈿技法の重要無形文化財保持者(人間国宝)、北村昭斎さん(70)=奈良市=の検証で判明、28日に発表された正倉院紀要30号に論文が掲載された。
この琵琶は世界で唯一残る5弦の琵琶で、長さ108センチ、幅31センチ、厚さ8センチ。ラクダに乗って琵琶を弾く人の姿がデザインされている。
螺鈿は、夜光貝やアワビなどの貝殻を加工して木地などにはめ、研ぎ出す装飾技法。北村さんの検証によると、琵琶を弾く人やラクダなどは厚さ2ミリ程度の夜光貝で表現。人の足、敷物部分は縦5センチ、横3・9センチ、ラクダの下半身などの部分は縦6・1センチ、横2・5センチの大きさの貝が使われ、これらは宝物中でも最大級の貝になるという。
北村さんは、貝は糸のこぎりのような工具で加工したとみており「加工や表現力の技術は極めて高度」としている。
(イザ!ニュース 2008/5/28)



この五弦琵琶は、インドより発祥し、中央アジアから北魏を伝わって日本に伝達されてたと考えられています。正倉院の五弦琵琶は、当然気軽に触れることができるものではありません。


また、当時演奏されていた楽譜は、京都にある近衛家の陽明文庫に所蔵されている『五弦琵琶譜』(重要文化財)と、敦煌の莫高窟で発見された『敦煌琵琶譜』より、本日演奏をいただいた劉宏軍氏をはじめとする多くの学者により再現されました。

素晴らしい遺産を作った人、それを伝えた人、残そうとした人、往時の演奏を再現する人。
全てにおいて一流の人々の、文化に対する篤いや敬虔なる気持ちが重なっることによって初めて、私たちは五弦琵琶を目にし、音を楽しむことができると思うと、感慨も一入です。

劉宏軍氏自らのご説明をいただきながら間近で楽器を拝見させていただきました。

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したがって、このように忠実に復元された楽器と、譯譜により楽譜が蘇ることにより、私たちは往時の音を楽しむことができるのです。ありがたいことです。


その他、【拜簫・はいしょう】、【壎・つちぶえ】、【笙】、【シュン】、【バーウ】などの楽器をご紹介、演奏いただきました。


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このような貴重なご縁をいただきましたことに感謝し、本日のブログを書かせていただきました。

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■関連インフォメーション

「王朝音楽のみやび」
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近衛家に千年渡って保存されてきた古楽譜が蘇りました。現在は陽明文庫に収蔵されている「五弦琴譜集」に納められている曲の多くは唐の高宗帝、則天武后が愛でた曲とされています。なかでも則天武后が作曲したとされる「如意娘」などを五弦琵琶の名手、邵容が奏でる五弦琵琶は千年の時空を越えて現代に蘇る。

定価2500円(税込)+送料80円

投稿者: kameno 日時: 2008年7月27日 01:48

コメント: 『1000年悠久の調べ』演奏会報告

失礼致します。

CD「天空の島」と「王朝音楽のみやび」をぜひ購入したいのですが、
どちらに問い合わせすればよろしいでしょうか?

投稿者 maru | 2011年4月 4日 11:57

maru様
コメント有難うございます。
CDにつきましては下記のホームページから注文できます。
http://tenpyougakufu.com/ryu/
メールまたは電話にての注文も可能です。

投稿者 kameno | 2011年4月 4日 12:15

kameno様

お返事頂き有難うございます。
早速ホームページを確認し、注文させて頂こうと思います。

本当に有難うございました。

投稿者 maru | 2011年4月 4日 17:58

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