かながわの名木100選・アカガシ

神奈川県が昭和59年に選定した「かながわの名木100選」のうちの一つが、貞昌院の裏山、天神山にあります。



上永谷の天神社のカシ


アカガシ(ブナ科)

天神社の社叢林の中にある巨木で、幹が根元近くで3本に別れ、それぞれ上部で枝が多数分岐し、大きな樹冠を形成している。
樹高 25m
胸高 6.0m
樹齢 350年(推定)
横浜市名木古木指定樹


木の根元付近に設置されている銘板には、選定当時の説明がされておりますが、その後、感情2号線などの幹線道路が近くにできたり、宅地化が進むなど、樹勢に影響を及ぼす要因もあり、3本に分かれていた内の2本の幹は枯れてしまいました。

このように、名木100選の選定から20年余が経過したため、選定当時から変化が名木も多く、その実態調査が先日(7月28日)行われました。


日本樹木医会神奈川県支部 100名木を統一調査

選定から20年 港南区では2本が対象

神奈川県が1984年(昭和59年)に選定した「かながわの名木100選」のうち、県内26市町村に現存する約90本を対象に、日本樹木医会神奈川県支部(冨田改支部長)が現状調査に乗り出した。港南区内に現存する「上永谷の天神社のカシ」「日野のシイ」の調査も7月28日、29日に行われた。
 「かながわの名木100選」が選定されてから20年以上が経過しているが、統一した調査、診断を行うのは今回が初めて。日本樹木医会は、全国の名木・古木を保存する技術者を育成することを目的として91年に発足。昨年同支部の支部長に就任した冨田氏は「人間でも年に1回は健康診断を受けている。木も同じ。現状を診断、把握して地域のシンボルとして残すかどうか考えてほしい」と、(財)日本造園修景協会神奈川県支部とともに、ボランティアで調査を開始した。
 調査項目は、生育環境や管理状況、形状寸法のほか、樹木の活力度、被害状況、処置の必要性など多岐に渡る。また、名木実態調査として「遠方からの視認性が高く、シンボルやランドマークとしての価値が高い」といった景観性や、「防風効果」「遮音効果」といった地域環境からみた樹木の価値も調査対象となっている。
選定された100本の名木のうち約10本が台風の被害などで滅失してしまったが、港南区内では樹齢約350年の「天神社のカシ」(上永谷5の1の5)と樹齢約370年の「日野のシイ」(日野中央1の6の9)が現存している。7月28日にカシ、29日にシイの調査がそれぞれ行われた。

天神社のカシは、選定当初は3本あった幹が現在は1本のみで、診断した樹木医は「大枝から伸びる枝の先端が枯死している。いい状態ではない」と話し、「今後、治療が必要になるのでは」と説明した。一方、県の天然記念物でもある日野のシイについては特に問題は見受けられなかったが、樹木医は「安全面から枯れ枝の処分や、枝を支えるワイヤーの張り直しが必要になるのでは」と話した。
 今回の調査は日本樹木医会神奈川県支部に所属する93人の樹木医の技術向上や交流も目的。全ての調査結果は11月中に関係する市町村に提出する予定。
 冨田支部長は「木を守り、大切にしていきたい。1本の木がたくさんのエネルギーを与えてくれ、楽しませてくれる。地域の人たちにも関心を持ってもらえれば」と話している。
(タウンニュース港南版)



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先ほど、このカシの木の写真を撮影してきました。
あまり大きいので広角レンズで撮影し、3枚を合成しています。

ニュース記事にあるように、3本あった幹が現在は1本のみ、大枝から伸びる枝の先端が枯死している・・・ということがよくわかると思います。
写真の右上部に写っている枯死した枝は、カシの木の上部から折れて垂れ下がっている状態です。

やはり、数十メートル先をかすめる幹線道路の影響が少なからずあると思います。

ただ、元、幹のあった部分からは新たな ひこばえ も生えてきており、植物の生命力の強さを改めて思い知らされます。

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↑一枚目の写真の反対側から撮影。幹を切断した箇所から新たな芽が生えています。

古木は、何か私たちに、不思議な力をあたえてくれます。
幹に耳を当てると生命の営みが聞こえてきます。

古木は、出来る限り後世に残していきたいものだと考えています。


なお、かながわの名木100選とは別に、横浜市指定の名木古木というものがあります。
こちらは、横浜市の「緑の環境をつくり育てる条例」 第7条(昭和48年6月)に基づき、古くから町の象徴として親しまれ、故事来歴などのある樹木に指定されています。
平成18年度までに、「名木古木」として指定された樹木は、899本6群となっています。


天神社・貞昌院境内に数本が選定されておりますが、なんと、その指定第一号(昭和48年指定)も、天神山の境内にあります。

それが天神社の御神木・大杉です。

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こちらは残念ながら数十年前に落雷をまともに受けてしまい、このような姿になってしまっています。
天神社の参道を上がって、御社手前の階段左側にあります。

投稿者: kameno 日時: 2007年8月 3日 10:36

コメント: かながわの名木100選・アカガシ

天神山は原始の森なんですねー。そんな聖地のお膝元にkameno様の寺院がある・・まだおたずねしたことがないけれど、きっと感動で立ち尽くしてしまいそう。
屋久島や紀州の大台ケ原や箕面の勝尾寺のある原生林、みんなそれぞれに特有の聖なる気みたいなのものがただよっていて、不思議です。
雑木林とはやはりなんか違う感じ。
「もののけ姫」にでてくる「木霊」、がいるのかな?

投稿者 ゆが | 2007年8月 5日 08:35

天神山は原生林というよりは雑木林の類ですが、森の作り出す場の雰囲気というのはありますね。
山の下草の草刈をしていて、数時間作業をしたあと木の切り株に腰掛けてゆっくり休んでいると、木々の息遣いとかが聞こえてくるような気がします。
それが楽しみで草刈をしていると言っても過言ではありません。

投稿者 kameno | 2007年8月 5日 08:51

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