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相関関係を考慮した多値論理真理表の作成を行いましょう。
二つの命題p及びqに相関関係が無い場合、もしくは、関係があるのかどうか分からない場合、命題の真理値を求めることはさらに困難を極めます。
しかし、実際の人間の思考を考えると、話のつじつまは合わない場合が多いし、前後の相関関係もわからない場合が多はずです。
「Aが真であること、そうでないこと」は、「Bが真であること、そうでないこと」とは次元の異なる論理なのです。
「雨が降るか降らないか」といったような同じ次元の論理であれば、簡単に検証することができますが、「雨が降るか雷がなるか」といった場合には、次元が異なると言って良いでしょう。
複雑を避ける意味から、簡単のために三値の真理表についてまず作成してみます。
pが1である確率(可能性)をa、 pとqとの相関関係をγとすると
(0<a<1、?1<γ<1)
※相関係数は、負の値をとるので、0?1の値に置き換えるため r=(γ+1)/2 とします。
表1 真偽値不明の命題がとりうる真偽値
命題 p 命題q 確 率
命題 p |
命題q |
確 率 |
1 |
1 |
ar |
1 |
0 |
a(1-r) |
0 |
1 |
(1-a)(1-r) |
0 |
0 |
(1-a)r |
当然全ての確率を合計すると、
ar+a(1-r)+(1-a)(1-r)+(1-a)r=ar+a-ar+1-a-r+ar +r-ar =1
となります。
pという命題はaだけ確からしいとし、qはpとの相関がγである(Pとqと同じになる確率がr)とうことであるから、それぞれの確率と値は次の表のようになります。
表2
命題 p 命題 q 確 率 p∧q p∨q p⊃q p≡q
命題 p |
命題 q |
確 率 |
p∧q |
p∨q |
p⊃q |
p≡q |
1 |
1 |
ar |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
0 |
a(1-r) |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
(1-a)(1-r) |
0 |
1 |
1 |
0 |
0 |
0 |
(1-a)r |
0 |
0 |
1 |
1 |
表1と表2から、三値の真理表が次のようにできます。
表3 p∧q
p| q |
1 |
r |
0 |
1 |
1 |
r |
0 |
a |
a |
ar |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
表4 p∨q
p| q |
1 |
r |
0 |
1 |
1 |
1 |
1 |
a |
1 |
1+am-m |
a |
0 |
1 |
r |
0 |
表5 p⊃q
p| q |
1 |
r |
0 |
1 |
1 |
r |
0 |
a |
1 |
1-a+am |
1-a |
0 |
1 |
1 |
1 |
表6 p≡q
p| q |
1 |
r |
0 |
1 |
1 |
r |
0 |
a |
a |
r |
1-a |
0 |
0 |
r |
1 |
以上の表3?6ように作ることができました。
a,rにそれぞれ任意の値を代入することによって、命題が真である確率が求められます。
この値が1となれば、真である確率が1ですから、命題自体が真、真である確率が0であれば、命題自体は偽であると確定できます。
興味深いことに、ここで算出された真理表は、前回提示した、ルカシェビッチ、ポスト、ゲーテル、ハイティングのどれとも異なっています。
ちなみに、p∨?p を計算してみると、 p=a , γ=-1 (r =0)となりますから
p∨?p= 1+ar-r = 1+0-0 = 1
となり、p∨?p が 真となる確率は1。すなわち命題は真であると考えられます。(排中律が成立する)
もう事例を考えてみましょう。
「英語が好きならば、数学が好きである」という命題があり、「英語が好きか判断不明、数学が好きかも判断不明」だとします。
英語がどの程度好きかは判断不明でありますが、真と偽の間にあることは間違いありません。
数学にしても同様です。「英語が好き」と「数学が好き」との関係はわかりません。
このような場合は、 p⊃q = 1-a+ar = 不定値 となりますから、命題の真偽不明のままよいでしょう。
確率論的に論じれば、数学と英語の相関関係の度合いによって、真偽値はそれに応じて変化していきます。
なお、今回考えた表は、三値の表ですが、b= (1-a) を追加し、mに 0、1 を代入すれば、四値以上の真理表を作成することができます。
(以下続く)